番外編・動き出す心
その後令子がタマモを保護する事に納得がいかないシロが騒いで一悶着あるが、最終的にはシロも美神事務所に住み込みで人間社会を勉強する事で収まる
帰りの車の後部席で自分を真ん中に挟んで微妙に険悪な空気になるタマモとシロを宥めつつ、横島は現状に困っていた
(なんでシロまで……)
すでに美神事務所を辞めるつもりで、タイミングを探していた横島としては全てが予想外である
あの令子がタマモを保護した上にシロまで面倒見るなど、横島は夢にも思わなかった
(俺が辞めたらこいつらどうなるんだろ?)
令子やおキヌは自分が居なくなっても変わらず生きていけるが、タマモとシロは微妙である
タマモは正体がバレたら令子や美智恵に退治される可能性があったし、シロは見た目と違い精神的に幼過ぎるためGSに関わるのは危険なのだ
「ねえ、あんたの名前は?」
ニコニコと二人を宥めつつ密かに考え込んでいた横島に、ずっと外を見ていたはずのタマモが声をかけていた
「えっ!? 言わなかったっけ?」
ずっと無言だったタマモの突然の言葉に、横島は驚いてしまう
横島としては出会ってからいろいろ考えていたため、とっくに自己紹介くらいした気でいたのである
「聞いてないわよ」
「横島忠夫だ。 よろしくな、タマモ」
素っ気なく冷たくあしらうタマモに、横島は苦笑いを浮かべて答える
その様子を微笑ましそうに見ていたおキヌは、続けて自分や令子やシロの自己紹介を軽くするがタマモは再び無言のままだった
(なんか変なのよね。 違和感を感じるわ)
外を眺めつつ神経を横島に集中するタマモは、何か言葉に出来ないほど僅かな違和感を感じる
(まあいいわ。 いずれわかるだろうし…… それに……)
見れば見るほど普通の人間にしか見えない横島から僅かに感じる違和感の理由を、タマモはゆっくり見極めようと思う
(それに、貴方が私の命を助けたのは変わらない真実なのよね)
横島が仮に大馬鹿だろうと天才だろうと、タマモにはあまり関係ないような気がして来た
何もかも信じられないタマモが現状でただ一つ信じられるのは、横島が救ってくれたという真実だけである
(ありがとう……横島)
今は伝える事は出来ないその言葉を、いつか伝えたいと思う
(今こいつらは俺の手の届く場所に居る。 それが唯一の救いだな)
一方タマモが無言になった事で、横島も再び密かに考え始めていた
何も知らぬ二人を自分とルシオラの二の舞にはしたくない
(ルシオラ……、少し遠回りになるけどいいよな)
横島自身、何故これほどタマモとシロが心配になるのかわからなかった
しかし、このまま二人を残したまま辞める事が何故か出来ないと感じる
(強くなりたい。 せめてこの手の届く範囲くらいは守れるように…… そしていつか、お前に会えるように……)
この時横島は誰にも知られる事なく、二人を守る道を選んでいた
しかしこの決断が、逆に横島自身を守り支える存在を作るきっかけとなる事を知らないままだった
そしてタマモも、この出会いが数千年に渡る金毛白面九尾の悲劇の歴史に終止符を打つ出会いである事に気付いてない
かつて伝説となった妖狐が生まれ変わり、やがて伝説となる少年と出会ったのは運命だったのだろう
この後横島とタマモはしばらくの間、互いに心を偽ったまま不思議な関係を続けていく事になる
そして、横島と魔鈴を影から支える大きな力になるのだが……
それはもう少し先の事になる
帰りの車の後部席で自分を真ん中に挟んで微妙に険悪な空気になるタマモとシロを宥めつつ、横島は現状に困っていた
(なんでシロまで……)
すでに美神事務所を辞めるつもりで、タイミングを探していた横島としては全てが予想外である
あの令子がタマモを保護した上にシロまで面倒見るなど、横島は夢にも思わなかった
(俺が辞めたらこいつらどうなるんだろ?)
令子やおキヌは自分が居なくなっても変わらず生きていけるが、タマモとシロは微妙である
タマモは正体がバレたら令子や美智恵に退治される可能性があったし、シロは見た目と違い精神的に幼過ぎるためGSに関わるのは危険なのだ
「ねえ、あんたの名前は?」
ニコニコと二人を宥めつつ密かに考え込んでいた横島に、ずっと外を見ていたはずのタマモが声をかけていた
「えっ!? 言わなかったっけ?」
ずっと無言だったタマモの突然の言葉に、横島は驚いてしまう
横島としては出会ってからいろいろ考えていたため、とっくに自己紹介くらいした気でいたのである
「聞いてないわよ」
「横島忠夫だ。 よろしくな、タマモ」
素っ気なく冷たくあしらうタマモに、横島は苦笑いを浮かべて答える
その様子を微笑ましそうに見ていたおキヌは、続けて自分や令子やシロの自己紹介を軽くするがタマモは再び無言のままだった
(なんか変なのよね。 違和感を感じるわ)
外を眺めつつ神経を横島に集中するタマモは、何か言葉に出来ないほど僅かな違和感を感じる
(まあいいわ。 いずれわかるだろうし…… それに……)
見れば見るほど普通の人間にしか見えない横島から僅かに感じる違和感の理由を、タマモはゆっくり見極めようと思う
(それに、貴方が私の命を助けたのは変わらない真実なのよね)
横島が仮に大馬鹿だろうと天才だろうと、タマモにはあまり関係ないような気がして来た
何もかも信じられないタマモが現状でただ一つ信じられるのは、横島が救ってくれたという真実だけである
(ありがとう……横島)
今は伝える事は出来ないその言葉を、いつか伝えたいと思う
(今こいつらは俺の手の届く場所に居る。 それが唯一の救いだな)
一方タマモが無言になった事で、横島も再び密かに考え始めていた
何も知らぬ二人を自分とルシオラの二の舞にはしたくない
(ルシオラ……、少し遠回りになるけどいいよな)
横島自身、何故これほどタマモとシロが心配になるのかわからなかった
しかし、このまま二人を残したまま辞める事が何故か出来ないと感じる
(強くなりたい。 せめてこの手の届く範囲くらいは守れるように…… そしていつか、お前に会えるように……)
この時横島は誰にも知られる事なく、二人を守る道を選んでいた
しかしこの決断が、逆に横島自身を守り支える存在を作るきっかけとなる事を知らないままだった
そしてタマモも、この出会いが数千年に渡る金毛白面九尾の悲劇の歴史に終止符を打つ出会いである事に気付いてない
かつて伝説となった妖狐が生まれ変わり、やがて伝説となる少年と出会ったのは運命だったのだろう
この後横島とタマモはしばらくの間、互いに心を偽ったまま不思議な関係を続けていく事になる
そして、横島と魔鈴を影から支える大きな力になるのだが……
それはもう少し先の事になる