真の歴史へ・その二

横島達やメドーサ達が影で互いを警戒しながらも、原始風水盤に向けて動いている頃、彼女も一人で動いていた


「はい…、ありがとうございます。 引き続きお願いします」

そう美神美智恵である

香港からの国際電話を切った美智恵は、原始風水盤に関する資料を見ながら考え込む


(やはり主犯はメドーサね… ただ、この黒岩と言う男は一体…)

本来居るはずの無い謎の男に美智恵は頭を悩ませる

彼に関してはオカルトGメンのデータバンク及び、ICPOにある霊能以外の犯罪者なども探していた

しかし黒岩に関する情報は、一年ほど前に日本の戸籍を違法取得したことまでしかわからなかったのだ


(戸籍の違法取得はGS試験用でしょうしね… 少し高いお金を出せばアジア系のマフィアが戸籍の違法取得なんてやってるから、これ以上は調べても無駄だし…)

GS試験後美智恵は、一人でメドーサ及びアシュタロス一派を調べていた

しかし、あまり状況は芳しく無い


派手に動けばアシュタロス一派や横島達に見つかる可能性があるし

現時点で使える人材の西条は令子の補佐に回してるため、結局一人で調べるしかなかったのだ


「戦力が圧倒的に劣る私達には情報が命だって言うのに… 結局メドーサが香港に潜伏してることまでしか掴めないなんて…」

少し疲れた表情の美智恵は、怒りと苛立ちで頭に血が上りそうであった


「は~ ダメね… 少し頭を冷やさないと」

資料をデスクに放り出し、休憩しようと窓から外を眺める


(横島君達はどうするのかしら…)

休憩しようと席を立った美智恵だが、結局気分転換も出来ないで横島達の出方を予想していく



そんな美智恵が一人で悩む頃、令子と西条は車で除霊現場へ向かっていた


「本当に毎日忙しいわね~ こんなに働いてるのに給料安すぎない? って言うか、謝礼金くらい出すのが常識ってもんでしょう!」

相変わらず助手席でぶつぶつ文句をつける令子だが、西条はほとんど聞いてない

毎日毎日愚痴に付き合うのも嫌な為、聞き流すようになっていたのだ


「西条さん、ちょっと聞いてるの?」

「ああ、聞いてるよ。 次の現場が終わったら少し休憩しようか」

少し引き攣った笑顔を見せて令子を慰める西条

頭の中では、かつての子供の頃の令子を思い出して昔を懐かしんでいた

(昔は可愛かったのにな… どうやって育てばこんな人間になるんだ?)

まるで別人のように変わった令子に、西条は内心ウンザリしている


(令子ちゃんと付き合う人は大変だろうな…)

すでに西条の中では、令子に対して恋愛感情は無くなっていた

妹のような存在としてはいいが、恋人にして一緒に生きるのは無理だと感じているのだ


「そういえばさ、ママは毎日何を残業して調べてるの? 現場にもほとんど出ないし…」

西条が考え込んでる間に、令子は美智恵の行動について話していた


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