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真の歴史へ・その二

横島達が作戦会議をしている頃、メドーサは香港の高台にある屋敷に居た


「黒岩、あいつに原始風水盤の作製を急ぐように伝えたかい?」

ブランデーを片手に香港の街を眺めるメドーサは、作戦の報告に来た黒岩と話しをしていた


「はい、ですがあのお方はイスタンブールにした方がいいとおっしゃられてますが…」

「何度も言わせるんじゃないよ。 なんでわざわざ術の相性が悪いイスタンブールでやる必要があるんだい!」

相変わらず無表情で報告する黒岩に、メドーサは苛立ちながら言い放つ


「それは香港は邪魔者が入る可能性が高いからと…」

「横島忠夫と小竜姫が来る可能性が高いって言いたいんだろ? 丁度いいじゃないか! この機会に纏めて殺してやるよ」

謎の魔族とメドーサの連絡要員になっている黒岩の言葉を遮り、メドーサは自信満々に言い切る


「その小竜姫ですが、やはり妙神山には居ません。 東京の横島事務所に住んでるようです。 他にも人外らしき人物が数名出入りしてますし、恐らく予想通り神界の密命を受けて動く連中かと…」

黒岩の報告が小竜姫の事になると、メドーサは考え込むように手元の資料に目を向けた

それは横島に関するGS協会の資料などである


「この横島忠夫は本当に人間かい? 明らかに人間の限界は越えてた気がするがね」

メドーサが黒岩に調べさせていたのは横島の正体であった

人間の霊力なのに超加速を使い、黒岩と互角に戦っていた不自然さに気が付き詳しく調べさせていたのだ


「経歴や過去は調べましたが、人間に間違いないと思われます。 ですが、随分前から小竜姫とは関わっていたようです」

黒岩が調べてきた経歴に不審な点は無い

しかし、数年前から小竜姫らしき人物と共に暮らしていたことが暴かれている


「そうかい、横島は人間か… なら先祖返りか突然変異かね」

酒を飲み干し資料をテーブルに置くメドーサは、少し目を閉じて考え込む


(先祖に竜族でも居るなら、小竜姫が目を付けたのもわかる。 神魔界に組しない連中もかなり人界に居るからね。 人界で使える人間を探したか…)

どちらにしろ、小竜姫が中心ではないだろうとメドーサは予想している

GS試験の時のやり方などは、組織的だった
 
予想以上に戦い慣れていたとはいえ、小竜姫があんな罠を仕組むようには見えなかったのだ


「まあいい。 気付かれたら全員殺しちまえば問題無いね」

いろいろ考え込んでいたメドーサだが、もし小竜姫達に見つかったら原始風水盤を利用して纏めて始末しようと決めた

原始風水盤さえ作動させて香港を魔界化してしまえば、自分は魔界での本来の力を出せる

そうすれば、小竜姫や横島達を殺せる自信があるのだ


「あのお方は油断するなとおっしゃってましたが…」

「ふん! 臆病者の言うことなんて聞いてられないよ! こっちはあいつと違ってずっと前線で戦って来たんだからね!!」

黒岩は謎の魔族の言葉を伝えるが、メドーサは聞く耳を持たない

そしてメドーサが押し切る形で、原始風水盤は香港を中心に進めることに決まっていく



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