真の歴史へ・その二

そして夕方

異界のいつもの場所で横島達は老師と修行をしていた

あの後ゲームを思う存分買った老師は機嫌が良く、修行の為にわざわざ老師の本体が横島の事務所に来ていたのだ


「ハアハア…」

息を切らし疲れた表情の横島達四人を相手に、老師は涼しげな顔でタバコを吹かす


「少し鈍っておるの… まあ人界でおぬしらに危機感を与える相手が居ないとはいえ、もう少し精進せい」

そんな老師と横島達の修行は圧倒的であった

得意の如意棒で横島達の攻撃は全て防ぎ、なおかつ攻撃もする

パワー、スピード共にレベルが違い過ぎていた


「世の中、上には上が居るんだな…」

さすがの雪之丞も老師の強さには呆然とするしか出来ない


「まさか… あんな大物が横島達の上に居たとは…」

「貧ちゃん?」

老師の強さに思わず震えていた貧に、小鳩が言葉の意味を問い掛ける


「あのお方は、闘戦勝仏様と言う神界屈指の武闘派の神や… 斉天大聖孫悟空様と言えばわかるか?」

貧の言葉に聞いていた小鳩、雪之丞、おキヌ、愛子は顔色を変える


「えっ…!? あの西遊記のお話の?」

まさか実在するとは思わなかった愛子は驚き貧を見る


「そうや… もっとも現代に伝わる西遊記は長い年月を経過したせいで、事実とは結構変わったらしいが、大筋では合っとる。 わいなんかとは位の違い過ぎる神や」

貧の話に雪之丞達は驚きを隠せず、ただ横島達の修行を見つめていた


「あんまり脅かしたらダメなのね~」

そんな雪之丞達の背後に、クスクス笑いながらヒャクメが現れる

しばらく神界に帰っていたが、老師が来るのに合わせて来たようだ


「脅かすやなんて… わいは、ただ真実を教えただけやで?」

「老師は神界の煩わしい争いが嫌いだから、妙神山に居るのねー みんなは普通に接してあげて欲しいのね」

脅かすの言葉に慌てて否定する貧を、ヒャクメは笑いながら雪之丞達に説明をしていく


「神界の煩わしい争いって… 神界にも争いがあるんですか?」

神様の住む世界である神界の争い

その不思議な言葉におキヌは首を傾げていた


「それはたくさんあるのねー 神族と言っても、私達は全知でも全能でも無いのね… 私と小竜姫の意見が違う時があるように、神界でも様々な意見の対立や争いはあるのね。 老師くらい格の高い神族はいろいろ大変なのねー でも老師はそんな争いを嫌って妙神山に居るのね」

ヒャクメの説明に、わかったようなわからないような表情をするおキヌや雪之丞達

やはりなかなか想像が出来ないようだ


「まあ、小竜姫達の師匠なのは確かだからそこだけは覚えておいて、後は忘れて普通に相手したげたらいいのねー 特にゲームの相手をしたげたら喜ぶのね!」

ヒャクメの軽い言葉にぽかーんとするおキヌ達

敬うとか尊敬するとかしなくていいのだろうかと、悩んでしまう


「神様ってみんなこんな感じなのか?」

「そんな訳無いやろ… ここに居る神魔族は特別や。 神族の中には人間を嫌う神や軽蔑しとる連中も多い」

神族はみんなフレンドリーなのかと、雪之丞は貧に確認するが、貧は即座に否定した

そんな会話をしている最中も、横島達は老師との戦闘が続いていく


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