その後無事に委託契約を終えた横島達は戻って来るが、木乃香やのどかなど数人は麻帆良に来ている両親と食事をするからと帰っていく。

横島は残りの少女達に夕食をご馳走するが、クレーマーへの対応について注意というか指摘されていた。

あの時横島は相手を見て話しても無駄だと一瞬で見抜いた故の行動だったが、少女達からすると話しても無駄かは分かるはずがない。

まあ一応とはいえ年上の横島を相手に指摘するので、夕映や千鶴はかなり言葉を選んでいたが恨みを買うような対応は良くないとやんわりと注意される。


「なかよくしないとだめなんだよ」

加えてタマモまで何故か少女達側であり、仲良くしようとしなかった横島に仲良くするようにと言いはじめた。

タマモの場合は危険な人には警戒心を抱くようだが、危険性がないただのおバカさんには警戒心があまり働かないらしい。

それにタマモの情操教育は事実上さよと木乃香達がしてるので、横島が時々驚くほど優しい子に育ちつつある。


（少し迂闊だったのかもな）

少女達とタマモの言葉は尤もなことだと感じ、横島は苦笑いを浮かべながら今度からは気をつけると素直に謝った。

横島には横島なりの理由もあるが、第三者から見て横島の行動が正しいと見えなかったのは事実である。

相手にするだけ無駄な男だと判断して横島は早々に追い出しにかかったが、他人に見られてる以上は誰にでも分かる形にしなければならなかったと思う。


（もっと気をつけないとダメか）

素直に謝った横島に少女達はホッとしたように笑顔を見せたが、横島は自身が異端なのだと改めて感じていた。

そして同時に近くに居るはずの少女達との住む世界の違いを改めて理解すると、少しだけ寂しさが込み上げてくる。


「ん、どうした？」

「なんでもないよ」

そのまま横島が考え込んでいたのは僅かな時間だったが、タマモは横島の膝の上に座ると甘えるように抱き着いていく。

突然の行動に横島は少し驚くが、タマモは特に何かを語ることはなくニコニコと笑顔を見せていた。


「あっ、タマちゃんずるい。　私も！」

「なんでそこでタマちゃんに張り合うのよ！」

タマモの行動により桜子が悪ふざけをして同じように横島の膝の上に座ろうとするが、明日菜により阻止される。


「えー、いいじゃん！　ねえ、タマちゃん」

「うん、いいよ」

「いや、タマちゃん。　ダメなんだって、桜子はもうほとんど大人なのよ」

明日菜に阻止された桜子は不満げな表情でタマモに同意を求めると、タマモは当然のようにいいと即答した。

タマモからすると別に問題ないのだが、一般的な常識からいえば桜子の行動は問題である。

明日菜は桜子を止めつつ四苦八苦しながらタマモに常識を教えようとするが、そんな明日菜と桜子に他の少女達は爆笑してしまい横島もつられるように笑っていた。


「なかよくするはいいことだよ！」

「えーと、どう説明すればいいの！？」

結局明日菜は夕映や千鶴に助けを求めるしかないが、助けを求められた二人も大人の男女の問題をタマモに教える難しさに笑ってごまかすしか出来ない。

最終的に横島はタマモと少女達に振り回されるが、そんな時間が横島は本当に心地良かった。