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平和な日常~秋~2

「明日からマスターとタマちゃんだけで大丈夫かしらね」

閉店後しばらくすると横島は木乃香とあやかとスイーツの委託先に出掛けたが、残りの少女達は店で後片付けをしていた。

先程までの熱気や騒ぎが嘘のように静まり返った店内は、見た目以上の広さを感じさせてしまう。

そんな店内に夕映達や明日菜は元より、美砂達までもが明日からの店の営業を心配する。


「明日からは数量を限定して販売にするしかないでしょうね。 委託先についてもお知らせする貼紙でも作りましょうか」

明日は平日なので学生は日中は来ないだろうが、それでも横島とタマモで対応出来る人数を越えるのは確かだった。

夕映は早々に販売個数と委託先を知らせる貼紙を作ろうと言い出す。

今日のクレーマーの件もあるので、販売個数や一人で購入出来る数なんかもきちんと記載して掲示するべきだと考えたようだ。


「今日はタマちゃん頑張ったわね」

「うん、がんばったよ!」

さっそく夕映とのどかは掲示する貼紙を書き始めるが、タマモは明日菜・さよ・美砂達に加え千鶴と夏美と一緒に何故かトランプをしていた。

後片付けが終わると暇になった少女達だが、横島達の帰りを待つことになり暇つぶしにトランプを始めたらしい。

幼いタマモも他の少女達と負けないくらい頑張ったのでみんなに褒められていたが、タマモは自分でも頑張ったと胸を張っている。


「タマちゃんと桜子ゲーム強いのよねー」

少女達は人数が多いことからシンプルなハバ抜きをしていたが、圧倒的に負けないのはタマモと桜子だった。

実はこの手のゲームが苦手な明日菜はよく負けるが、勘がいいタマモと運がいい桜子は連勝とまでは行かなくても全く負けないのだ。

店にはエヴァがよくやる囲碁の他にもテーブルゲームやカードゲームが何種類かあり、常連は自由に遊んでいるがタマモのゲームの強さは有名である。

流石に将棋などの頭を使うゲームは苦手だが、勘で勝てるゲームは何故か負けないのだ。


「そういえば昼間のクレーマー凄かったわね。 噂には聞くけどよくあんなこと恥ずかしげもなくやるもんだわ」

「あれはビックリしたです。 そこまでして欲しがるとは思いませんでしたから」

トランプ組の少女達はおしゃべりをしながらババ抜きを続けていたが、ふとしたきっかけで話は昼間のクレーマーの件に移る。

明日菜や夕映達を含めて噂ではクレーマーなる客が居るとは聞いたことがあるが直接見たのは初めてであり、珍しいモノを見たとまるで珍獣のような扱いだった。

対応した夕映もあんなことを堂々と言うのが恥ずかしくないのかと考えるとかなり驚いたらしい。


「今後はあのような客への対応を考えねばなりませんね」

「マスターの対応も少し問題かもしれないわ。 クレーマーにあの対応はよくないもの」

見た目は地味だが普通に見える男性がクレーマーで、一昔前の不良のような豪徳寺が善人だった今回の一件は少女達が接客業の難しさを知るにはいい勉強だった。

夕映とのどかは今後の対応を考えなければならないと考えていたし、千鶴なんかは横島の対応が問題だったと言い切る。

結局美砂達も含めてみんなで考えていくが、横島にはもう少し穏便に対応してもらった方がいいとの意見は一致していた。



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