平和な日常~夏~2
楽しかった海水浴も終わり八月も半ばに差し掛かる頃になると、麻帆良では徐々に生徒の数が減っていく。
それというのも麻帆良市内に自宅がない生徒が、夏休みを利用して自宅に帰るのが八月のお盆をピークにして増えていくのだ。
初等部を除けば麻帆良学園全体では七割にも上る生徒の実家が麻帆良市外にあるとの統計もあり、お盆と正月は麻帆良から最も生徒が減る期間である。
まあその分だけ麻帆良市内には観光客が増える期間でもあるが、学園都市である麻帆良から生徒が減るとなんとも物足りないような空気が街を支配していた。
「ほら、切り口がウサギさんになったぞ」
そんなこの日は横島の店も結構暇なようである。
相変わらずスイーツの持ち帰り客は減らないが、客の中心である学生が減ると無駄に広い店内は見事に寂しくなっていた。
店の一番の常連でありバイトもしている木乃香・夕映・のどかの三人も里帰り中のため、今日からは明日菜が朝から晩までバイトに入っている。
横島同様に天涯孤独な明日菜はお盆期間中も含めてしばらく暇らしく、木乃香達が戻るまで毎日バイトに入る予定だった。
正直この日のように暇ならバイトが必要ない気もするが、明日菜自身が暇だったことと横島がゆっくり出来るからとバイトをすることになっている。
「金太郎飴なんて懐かしいわね」
例によってこの日も暇だった横島は、突然の思い付きで何故か金太郎飴を作っていた。
興味津々なタマモとさよと懐かしそうな明日菜を前に、横島は慣れた手つきで飴を作っていく。
ウサギや花などタマモやさよのリクエストに応えた金太郎飴は見事に出来ているが、正直無駄に量も多く出来ている。
「でもこんなに作って売れるんですか?」
見事な手捌きに感心しながら見ていた明日菜だが、ふと気付くと大量に出来た飴をどうするのか不思議に思う。
正直金太郎飴を買うような客層は店にはあまり来ないのだ。
「うーん、どうしようか?」
可愛い金太郎飴が次々に出来上がりタマモやさよは喜ぶが、横島は売ることまで考えてない。
明日菜の指摘にもどうしようかと笑ってるだけである。
「……また考えてないんですか?」
「欲しい客に無料であげるか。 夏休み特別サービスだ!」
基本的に作りたい物を作りたい時に作る横島に、明日菜は若干呆れた表情を見せるが今更なことであった。
「これは貰ってもいいのか?」
大量に作った金太郎飴をどうするか悩んだ横島達だが、結局は小分けにして店の客に無料で配ることになる。
しかし段ボールに二箱分くらい作ってしまった金太郎飴は当分減りそうにない。
そんな金太郎飴だったが偶然店を訪れていた思わぬ人物が興味を持っていた。
「いいぞ。 まだまだいっぱいあるしな。 好きなだけ持っていってくれ」
「本当に好きなだけ持っていっていいのか?」
「ああ、いいけど……。 そんなに食えるか?」
興味を持ち何度も確認するように尋ねていたのは龍宮真名である。
横島の了解を得ると段ボール約一箱分を貰っていくと告げて袋に大量に詰めていく。
「知り合いの孤児院に持って行ってやりたいんだ。 小さい子も多いから喜ぶかと思ってな」
両手に大量の飴を抱えた真名は一言理由を説明すると店を後にするが、横島と明日菜は真名の意外な行動に驚きを隠せなかった。
それというのも麻帆良市内に自宅がない生徒が、夏休みを利用して自宅に帰るのが八月のお盆をピークにして増えていくのだ。
初等部を除けば麻帆良学園全体では七割にも上る生徒の実家が麻帆良市外にあるとの統計もあり、お盆と正月は麻帆良から最も生徒が減る期間である。
まあその分だけ麻帆良市内には観光客が増える期間でもあるが、学園都市である麻帆良から生徒が減るとなんとも物足りないような空気が街を支配していた。
「ほら、切り口がウサギさんになったぞ」
そんなこの日は横島の店も結構暇なようである。
相変わらずスイーツの持ち帰り客は減らないが、客の中心である学生が減ると無駄に広い店内は見事に寂しくなっていた。
店の一番の常連でありバイトもしている木乃香・夕映・のどかの三人も里帰り中のため、今日からは明日菜が朝から晩までバイトに入っている。
横島同様に天涯孤独な明日菜はお盆期間中も含めてしばらく暇らしく、木乃香達が戻るまで毎日バイトに入る予定だった。
正直この日のように暇ならバイトが必要ない気もするが、明日菜自身が暇だったことと横島がゆっくり出来るからとバイトをすることになっている。
「金太郎飴なんて懐かしいわね」
例によってこの日も暇だった横島は、突然の思い付きで何故か金太郎飴を作っていた。
興味津々なタマモとさよと懐かしそうな明日菜を前に、横島は慣れた手つきで飴を作っていく。
ウサギや花などタマモやさよのリクエストに応えた金太郎飴は見事に出来ているが、正直無駄に量も多く出来ている。
「でもこんなに作って売れるんですか?」
見事な手捌きに感心しながら見ていた明日菜だが、ふと気付くと大量に出来た飴をどうするのか不思議に思う。
正直金太郎飴を買うような客層は店にはあまり来ないのだ。
「うーん、どうしようか?」
可愛い金太郎飴が次々に出来上がりタマモやさよは喜ぶが、横島は売ることまで考えてない。
明日菜の指摘にもどうしようかと笑ってるだけである。
「……また考えてないんですか?」
「欲しい客に無料であげるか。 夏休み特別サービスだ!」
基本的に作りたい物を作りたい時に作る横島に、明日菜は若干呆れた表情を見せるが今更なことであった。
「これは貰ってもいいのか?」
大量に作った金太郎飴をどうするか悩んだ横島達だが、結局は小分けにして店の客に無料で配ることになる。
しかし段ボールに二箱分くらい作ってしまった金太郎飴は当分減りそうにない。
そんな金太郎飴だったが偶然店を訪れていた思わぬ人物が興味を持っていた。
「いいぞ。 まだまだいっぱいあるしな。 好きなだけ持っていってくれ」
「本当に好きなだけ持っていっていいのか?」
「ああ、いいけど……。 そんなに食えるか?」
興味を持ち何度も確認するように尋ねていたのは龍宮真名である。
横島の了解を得ると段ボール約一箱分を貰っていくと告げて袋に大量に詰めていく。
「知り合いの孤児院に持って行ってやりたいんだ。 小さい子も多いから喜ぶかと思ってな」
両手に大量の飴を抱えた真名は一言理由を説明すると店を後にするが、横島と明日菜は真名の意外な行動に驚きを隠せなかった。