麻帆良祭

「終わったな~」

その後お昼を過ぎた頃まで休む暇もなく働いた横島達は、担当の時間を終えて木乃香達と昼食にしていた

せっかくだから最後はここでお昼にしようということになったのだが、今まで散々食べた料理でも最後だとなると寂しい気もしてしまう

調理の練習から数えれば何度と食べており食べ慣れた味ではあったのだが、自分達で作り上げた料理だと思うと木乃香達は感慨深いものがあるようである


「そういえば今年の学園全体イベントなんだっけ?」

「学園全体鬼ごっこじゃなかったかしら?」

達成感を感じながら昼食を食べる横島達だが、ふと美砂が思い出したように口にしたのは最終日の目玉とも言える大規模イベントの話だった


「学園全体鬼ごっこって……」

「毎年最終日に行われる恒例行事ですよ。 幼稚園から一般人まで幅広い麻帆良学園の人全員が楽しめるイベントが元々のコンセプトなようです」

麻帆良学園の規模で学園全体イベントと言われると流石に想像出来ずに首を傾げる横島に、例によって夕映は説明するが内容はその名の通りらしい

みんなで鬼ごっこしようというアイデアを誰が出したのか少し興味があったが、幼稚園の年長や小学生と大学生や大人が一緒に楽しめるイベントとなると考えるだけで苦労したのだろう


「なんかカオスなイメージしか沸かないんだが……」

「いろいろと細かいルールがあるんよ」

「結構賞金も出るのよね~」

どうやってゲームとして成立させるのだろいと不思議そうな横島だが、細かなルールが決まってると聞き興味をそそられたのか内容を聞いていく

木乃香や夕映の説明によると鬼は基本的に志願者で構成されており、参加者は基本的に逃亡者側なようだった

ただ鬼はゲームバランスの関係から、自分の年齢以上の者しか捕まえられないらしい

つまり幼稚園児を捕まえられるのは幼稚園児だけでになり、逆に大人の場合は鬼なら誰でも捕まえられる仕組みなようだ

基本的にポイント制のゲームであり、逃げた時間や鬼に捕まった仲間を助けたらポイントが入るらしい

このポイントもまた年齢で差があり、年齢が低いほど優遇されてるようだ

捕まえたかどうかの判別は専用に開発した装備で判別するらしく、判定は機械式というアナログなのかハイテクなのか分からないゲームだった


「へ~、よく考えてるな」

「アスナ出れば? 足が早いしいいとこ行くかもよ」

「どうしようかな~ 全体イベントキツイのよね」

よく考えられたルールに横島は感心するが、一方で美砂達は明日菜を出場させようと誘っている

この手のゲームは参加者が多い方が有利だし明日菜は運動系が得意なだけに上位入賞も期待してるらしい


「始めに考えたヤツの顔が見てみたいな」

「流石にそれはわかりませんが、全体イベントから後夜祭は学園中が相当な馬鹿騒ぎになるです」

麻帆良学園の規模でイベントやるなど誰が考えたのか気になった横島だが、麻帆良の人間は誰も気にしないらしくみんなはもう後夜祭の話題で盛り上がっていた



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