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麻帆良祭

麻帆良祭後の問題はさておき、いよいよ最終日の営業が始まる

この日は開店前から並ぶ人が出来るほどの盛況ぶりであり、開店早々に店内は忙しくなっていく

よく慣れた頃が一番危険だと言う人がいるが、慣れた実感を感じる暇がないと無縁な言葉だった


「それにしてもカレと茶々丸は凄いネ」

そしてこの麻帆良祭で一番成長したのは他ならぬ茶々丸である

横島の動きや料理の技術を逐一見て学習する彼女の成長スピードは、生みの親である超をもってしても驚くレベルだった

横島は注文のスピードや客の入り具合で調整するが、茶々丸の場合は最速のスピードでの調理を選択するため横島以上に働いているのだ

まあ料理に必要な柔軟性が欠けるのが致命的と言えば致命的なのだが、横島がそこをカバーすることで茶々丸は見事な料理を次々に作り続けている

横島と同じグループの木乃香達は横島で非常識さに見慣れてる為かあまり驚きはないが、世間を知る超は横島と横島のコピー技術である茶々丸の料理は凄まじいとしか言いようがなかった


「本気だったんですね……」

一方あやかは店内に新たに貼られた貼紙を見て驚きというか呆れていた

麻帆良祭終了後のお知らせとして、一部の期間限定料理を超包子及び雪広グループでの販売を検討中との貼紙が貼られていたのだから

もちろん貼紙をしたのは横島であり、サラっと自分の店の名前を入れない辺りが本気度を表している

あやかとしては条件を話し合う前の情報公開に困惑していたが、横島は無条件でいいからと言い切り押し切っていた


「あの人は自由を失うのが嫌いなのネ」

「自由ですか?」

「何より自由を求める人ヨ。 彼を縛れば逆に機嫌を損ねるネ」

困惑を隠せないあやかの元にやって来たのは超である

横島は欲がない訳ではなく、何より自由を失うのが嫌いなのだと超は気付いていた

しかしあやかとしてはそれほど大袈裟な話なのかを疑問に感じ、何故全ての権利をアッサリと投げ出すのか理解出来ない


「ですがさすがに私達で勝手にする訳には……」

横島としては今回は超包子や雪広グループには世話になったのでメニューの一つや二つあげても一向に構わないのだが、雪広グループ側としてはそう単純には行かなかった

正式な特許ではないにしろ一流企業としての立場があり、子供の口約束のような真似は軽々しく出来ない

もし後々になって発案者の名が表に出た時に、まるで雪広グループが力に物を言わせて取り上げたような印象を与えることが出来るはずがないのである

横島は自分の都合と好意で無条件で丸投げするが、第三者がそれを見てどう思うかも問題だったのだ


「名前を出さないなら大丈夫だと思うヨ。 監修か開発協力者にして契約すればいいネ」

横島の扱いに悩むあやかに超は名前さえ出さないなら大丈夫だろうと告げ、適当な名目で契約すればいいと教える

超としてはせっかくだから自分もこのまま横島との協力関係を続けたい意図があるし、雪広グループの販売戦略に超包子も加わりたい意図もあった

現状の協力関係を維持する契約をしたいと考えてるようである



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