二年目の春・10
「うむ。 何かあるとは思ったがの。」
同じ頃、穂乃香は近右衛門に横島の過去の話を語っていた。
無論横島の許可を受けてのことだが、正直近右衛門の想定すら上回る過去だったと言って過言ではない。
近右衛門とすればよほどの事を成したかやらかしたかと考えていたので、方向性は間違ってはなかったが。
「ザジ君の正体は土偶羅殿から聞いたが、魔法協会では把握しとらん。 何故A組に入れたのかも不明じゃ。 明日菜君の身辺は少し調べ直す必要があるかもしれんのう。」
それとザジの正体は土偶羅から聞いて近右衛門は把握していたが、明日菜や木乃香の居るA組に入れた理由が偶然なのか工作なのかはっきりしない。
あまり騒ぎたくないのでザジの正体を魔法協会に伏せてることもあり、調査は進んでなかった。
「高畑君には確かに、そろそろ全てを打ち明ける時かもしれんのう。 横島君と出会ってから彼も変わった。」
横島の過去については軽々しくどうこうと言えるものではなく、近右衛門としては受け止めてやるしか出来ない。
しかし高畑にはいろいろ隠してる真相を打ち明ける時なのだろうと思うようだ。
自らの人生を二の次にするほど過去に捕らわれていた時とは随分と変わった。
過去と向き合い今を生きる事が出来てる現状ならば問題はないと近右衛門も思う。
「ガトウの事も助ける事が出来るの。」
「ええ。 大人になった高畑君と大きくなった明日菜ちゃんに会わせてあげられるわ。」
近右衛門は感極まったのか、目頭を押さえながらガトウの名を口にする。
魔法使いと言われながらも、たった一人の人も助けられない事に近右衛門もまた長年苦悩していた。
一目でいいから、明日菜や高畑と会わせてやりたいと考えたのは一度や二度ではない。
「ただガトウが今の魔法世界を見てどう思うか気になるの。」
「動くかしら?」
「かもしれん。 じゃがそれならそれで構うまい。 こちらが後手に回り魔法世界の負債を押し付けられる事にならぬようにすればいいだけのこと。」
唯一の懸念はガトウが崩壊を前にしても何もしてない魔法世界を見て、どう思いどうするかだが。
近右衛門はガトウが魔法世界を救うべく立ち上がるなら、それはそれで構わないと思うらしい。
自分達が火中の栗を拾うのは避けたいが、志ある者を邪魔する事まではしたくはない。
「メガロメセンブリアは一度過去の悪行をはっきりさせた方がいいと思うわ。」
「それは魔法世界が存続するならば、その時に考えれば良かろう。」
問題は歴史の闇で好き勝手にしてきたメガロメセンブリアを、魔法世界が存続するならば歴史の勝者から引きずり下ろす必要があることか。
地球側の魔法協会にメガロメセンブリアの秩序を押し付けられるのは冗談ではなかった。
「責任は取らせる必要がある。 魔法世界は本来やつらの物ではないからの。」
元々中世ヨーロッパの魔女狩りなどから助けた者達の子孫がメガロメセンブリアの市民になり、難民だった彼らを受け入れたが故に魔法世界は混乱し戦争にまでなった。
極めつけは上層部が魔法世界の限界を知りつつ、無策のまま自分達だけ逃げ出して見捨てるつもりのことだろう。
超鈴音の未来では見捨てられた者達の生き残りが超鈴音を過去に送り込んだのであり、果てしなく迷惑な存在だった。
まあすべてはガトウ次第であるが、近右衛門は魔法世界の救済に協力しつつ問題のメガロメセンブリアを潰す事も場合によってら必要かと考え始めていた。
同じ頃、穂乃香は近右衛門に横島の過去の話を語っていた。
無論横島の許可を受けてのことだが、正直近右衛門の想定すら上回る過去だったと言って過言ではない。
近右衛門とすればよほどの事を成したかやらかしたかと考えていたので、方向性は間違ってはなかったが。
「ザジ君の正体は土偶羅殿から聞いたが、魔法協会では把握しとらん。 何故A組に入れたのかも不明じゃ。 明日菜君の身辺は少し調べ直す必要があるかもしれんのう。」
それとザジの正体は土偶羅から聞いて近右衛門は把握していたが、明日菜や木乃香の居るA組に入れた理由が偶然なのか工作なのかはっきりしない。
あまり騒ぎたくないのでザジの正体を魔法協会に伏せてることもあり、調査は進んでなかった。
「高畑君には確かに、そろそろ全てを打ち明ける時かもしれんのう。 横島君と出会ってから彼も変わった。」
横島の過去については軽々しくどうこうと言えるものではなく、近右衛門としては受け止めてやるしか出来ない。
しかし高畑にはいろいろ隠してる真相を打ち明ける時なのだろうと思うようだ。
自らの人生を二の次にするほど過去に捕らわれていた時とは随分と変わった。
過去と向き合い今を生きる事が出来てる現状ならば問題はないと近右衛門も思う。
「ガトウの事も助ける事が出来るの。」
「ええ。 大人になった高畑君と大きくなった明日菜ちゃんに会わせてあげられるわ。」
近右衛門は感極まったのか、目頭を押さえながらガトウの名を口にする。
魔法使いと言われながらも、たった一人の人も助けられない事に近右衛門もまた長年苦悩していた。
一目でいいから、明日菜や高畑と会わせてやりたいと考えたのは一度や二度ではない。
「ただガトウが今の魔法世界を見てどう思うか気になるの。」
「動くかしら?」
「かもしれん。 じゃがそれならそれで構うまい。 こちらが後手に回り魔法世界の負債を押し付けられる事にならぬようにすればいいだけのこと。」
唯一の懸念はガトウが崩壊を前にしても何もしてない魔法世界を見て、どう思いどうするかだが。
近右衛門はガトウが魔法世界を救うべく立ち上がるなら、それはそれで構わないと思うらしい。
自分達が火中の栗を拾うのは避けたいが、志ある者を邪魔する事まではしたくはない。
「メガロメセンブリアは一度過去の悪行をはっきりさせた方がいいと思うわ。」
「それは魔法世界が存続するならば、その時に考えれば良かろう。」
問題は歴史の闇で好き勝手にしてきたメガロメセンブリアを、魔法世界が存続するならば歴史の勝者から引きずり下ろす必要があることか。
地球側の魔法協会にメガロメセンブリアの秩序を押し付けられるのは冗談ではなかった。
「責任は取らせる必要がある。 魔法世界は本来やつらの物ではないからの。」
元々中世ヨーロッパの魔女狩りなどから助けた者達の子孫がメガロメセンブリアの市民になり、難民だった彼らを受け入れたが故に魔法世界は混乱し戦争にまでなった。
極めつけは上層部が魔法世界の限界を知りつつ、無策のまま自分達だけ逃げ出して見捨てるつもりのことだろう。
超鈴音の未来では見捨てられた者達の生き残りが超鈴音を過去に送り込んだのであり、果てしなく迷惑な存在だった。
まあすべてはガトウ次第であるが、近右衛門は魔法世界の救済に協力しつつ問題のメガロメセンブリアを潰す事も場合によってら必要かと考え始めていた。