二年目の春・5
結局その後も一日ほぼ勉強を教えることで終えた横島であるが、夕方になるとそろそろ夕食を作らねばと厨房に入っていた。
業務用の大型冷蔵庫の中身を確認しながら今日食べてしまった方がいい食材を見極め献立を考えていくが、世の中の奥様方が悩むように横島も夕食の献立は悩むことがよくある。
横島自身は人ではない為に食事は嗜好品と言えて食べたい物を食べるだけでいいのだが、育ち盛りの少女達の健康や成長を考えるとバランスのいい食事にしなくてはならない。
「何にすっかな~。」
この日は午後にはバイトが休みな木乃香とのどかはタマモを連れて図書館島に行ってるので、バイトをしている明日菜と夕映はフロアに居るものの厨房には横島一人であった。
久々に一人で夕食作りとなると献立に悩むようでどうしようかと考えて居たが、そこに一人の少女が厨房に入ってくる。
「千鶴ちゃんか、どうした?」
「父からお裾分けです。」
やって来たのは千鶴であり彼女は今日は実家に戻っていたらしく、お土産というかお裾分けとして贈答用の大きなハムが二本入った贈答品を持ってきていた。
「美味そうなハムだな。 いつも悪いな。」
「いえ、家では食べきれませんから。」
千鶴というか那波家からは贈答品などで頂いた食材や洗剤などいろいろな物をよく横島は貰っている。
日本を代表する企業を経営する那波家ではお歳暮やお中元以外にも季節の挨拶代わりに贈答品を頂くことが多いようだが、現在の那波家は千鶴の両親と祖母の三人暮らしなためせっかく頂いても食べきれなかったり余ることがよくあるらしい。
立場的に近い雪広家は家に執事やらメイドを雇っているので頂き物を配る相手には事欠かないが、那波家では以外に配る相手が居ないらしく友人や知人なんかに配ったりもしていて横島にもよく回ってくるのだ。
「ちょうどいいから今夜の夕食にするか。 ハムステーキなんてどうだ?」
「いいですね。 お手伝いしますわ。」
美味しいハムはそのままでも美味しいが一手間加えると更に美味しく、せっかくのハムなのでそのままシンプルにハムステーキにして今夜のメインにすることにする。
「こういうのって、貰わないとなかなか食えないんだよな~。 家の親父は商社の会社員でさ、子供の頃にお歳暮とかでハムとか送られてくると嬉しかった記憶があるよ。 食べ掛けのハムが冷蔵庫にあった時なんかこっそり切って食べたら半分くらい食べちゃっておふくろに怒られてな。」
基本的に肉好きな横島は千鶴の持ってきた高級ハムに嬉しそうな表情を見せると、少し昔を懐かしむように子供の頃の話をふと語り出す。
あまり昔のことを語りたがらない横島にしては珍しいが、それはまだ本当に普通の子供の頃のことであり話を聞いている千鶴は横島がどんな子供だったのだろうとボランティアで世話をしている子供達を思いだし想像していく。
「ふふふ、楽しそうな家ですね。」
「うーん、まあ楽しいと言えば楽しかったかな。」
恐らくやんちゃだったのだろうなと今の横島から想像出来るが、きっと賑やかで楽しい家だったのだろうと思う。
ただどういう訳かは知らないが横島はもうそんな家に戻れないのだ。
横島自身は楽しそうな家だと言われて少し悩む仕草を見せているも、千鶴は自分達が代わりにと言っては何なんだが横島にとって安らぎ楽しいと思える場所になってやりたいと思っていた。
業務用の大型冷蔵庫の中身を確認しながら今日食べてしまった方がいい食材を見極め献立を考えていくが、世の中の奥様方が悩むように横島も夕食の献立は悩むことがよくある。
横島自身は人ではない為に食事は嗜好品と言えて食べたい物を食べるだけでいいのだが、育ち盛りの少女達の健康や成長を考えるとバランスのいい食事にしなくてはならない。
「何にすっかな~。」
この日は午後にはバイトが休みな木乃香とのどかはタマモを連れて図書館島に行ってるので、バイトをしている明日菜と夕映はフロアに居るものの厨房には横島一人であった。
久々に一人で夕食作りとなると献立に悩むようでどうしようかと考えて居たが、そこに一人の少女が厨房に入ってくる。
「千鶴ちゃんか、どうした?」
「父からお裾分けです。」
やって来たのは千鶴であり彼女は今日は実家に戻っていたらしく、お土産というかお裾分けとして贈答用の大きなハムが二本入った贈答品を持ってきていた。
「美味そうなハムだな。 いつも悪いな。」
「いえ、家では食べきれませんから。」
千鶴というか那波家からは贈答品などで頂いた食材や洗剤などいろいろな物をよく横島は貰っている。
日本を代表する企業を経営する那波家ではお歳暮やお中元以外にも季節の挨拶代わりに贈答品を頂くことが多いようだが、現在の那波家は千鶴の両親と祖母の三人暮らしなためせっかく頂いても食べきれなかったり余ることがよくあるらしい。
立場的に近い雪広家は家に執事やらメイドを雇っているので頂き物を配る相手には事欠かないが、那波家では以外に配る相手が居ないらしく友人や知人なんかに配ったりもしていて横島にもよく回ってくるのだ。
「ちょうどいいから今夜の夕食にするか。 ハムステーキなんてどうだ?」
「いいですね。 お手伝いしますわ。」
美味しいハムはそのままでも美味しいが一手間加えると更に美味しく、せっかくのハムなのでそのままシンプルにハムステーキにして今夜のメインにすることにする。
「こういうのって、貰わないとなかなか食えないんだよな~。 家の親父は商社の会社員でさ、子供の頃にお歳暮とかでハムとか送られてくると嬉しかった記憶があるよ。 食べ掛けのハムが冷蔵庫にあった時なんかこっそり切って食べたら半分くらい食べちゃっておふくろに怒られてな。」
基本的に肉好きな横島は千鶴の持ってきた高級ハムに嬉しそうな表情を見せると、少し昔を懐かしむように子供の頃の話をふと語り出す。
あまり昔のことを語りたがらない横島にしては珍しいが、それはまだ本当に普通の子供の頃のことであり話を聞いている千鶴は横島がどんな子供だったのだろうとボランティアで世話をしている子供達を思いだし想像していく。
「ふふふ、楽しそうな家ですね。」
「うーん、まあ楽しいと言えば楽しかったかな。」
恐らくやんちゃだったのだろうなと今の横島から想像出来るが、きっと賑やかで楽しい家だったのだろうと思う。
ただどういう訳かは知らないが横島はもうそんな家に戻れないのだ。
横島自身は楽しそうな家だと言われて少し悩む仕草を見せているも、千鶴は自分達が代わりにと言っては何なんだが横島にとって安らぎ楽しいと思える場所になってやりたいと思っていた。