二年目の春・2
同じ頃千鶴はあやかと帰宅途中に美砂達と同じ話をしていた。
「お祖母様達は、一言で言えば取り込みたいのでしょうね。」
「客観的に見て横島さんを他者に持っていかれたら困るのは明かですわね。」
千鶴とあやかは横島への好意を隠さぬ千鶴と一歩引いたあやかという立場が少し違う二人だが、実は千鶴はあやかの気持ちもかなり横島に傾いていることに気付いている。
そんな二人であるがそれぞれに責任ある立場の家に生まれた者という共通点は同じであり、美砂達とは違い横島の立場がすでに個人の色恋沙汰をどうのこうの言えるレベルではないことは理解していた。
雪広・那波両家の肩には自社の社員や家族はおろか同じ麻帆良派の企業に下請け企業や末端まで会わせると数十万人にも及ぶ人達の生活と未来がかかっている。
それに麻帆良学園や魔法協会を加えると影響を与える範囲は計り知れない。
客観的に見て横島ほど影響ある立場ならば近衛家か雪広家か那波家辺りからいつ嫁でもと声がかかっても可笑しくはなく、候補が居ないならば親戚筋からでも引っ張ってくればいいのだ。
現状でそれがないのは自分達が横島の周囲を固めてるからであり、逆に言えば下手な第三者が入り込みそうならば大人達は動くかと二人は見ている。
横島は他人に縛られるのを嫌うが別に横島が嫌がることをしなくとも横島好みの嫁を用意し、公私とも自然な形で支援して気が付いたら取り込まれていたという具合にも雪広家などならば可能だった。
綺麗事と建前ばかり並べても権謀術数渦巻く世界は生きてはいけないし、特に戦前からの財閥である雪広家はその辺りのやり方は上手い家柄になる。
「可能性が高いのはあやかね。」
そして横島に嫁として大人達が選ぶ可能性が一番高いのは他ならぬあやかである。
何より二女という立場から横島に余計な仕事や責任を与えることもないし、雪広家を継ぐ姉との仲も良好なのだから。
「私っ!? 私は……それより知ってますか? ハニワさん達が私達の世界の太陽系外の宇宙で惑星を開発してることを?」
「惑星の開発? あのハニワランドではなく? 一体何のために……。」
このまま行けば横島の妻になる可能性が一番出てきたと突然意味ありげな笑みで千鶴に言われたあやかは、不覚にも慌ててしまい不自然なまでに唐突に話を変えようとした。
まあ実際には他の友人達が黙ってないのでそうすんなりとあやかと婚約などにはならないが。
「さあ、私もお祖父様からちらりと聞いただけですから。」
「まさか第三世界でも作ろうと言うの? そんな荒唐無稽な……。」
あやかが突然変えた話は少女達にはまだ伝えられてない外宇宙での惑星開発だった。
横島の存在が人知を越えるとはいえ異空間アジトがある横島が新たにこの世界の惑星を開発し始めたのは、少なくとも現状で異空間アジトに行ったことのある自分達以外の誰かが住む可能性があるということだ。
それはもしかすれば何かしらの理由で横島のように生まれた世界を離れねばならぬ横島の生まれた世界の人達かもしれないかと思うが、他にも近右衛門達が一枚噛んでるとすれば自分達が将来的にそこに移住する可能性もゼロではない。
流石に魔法世界の危機までは二人には想像出来ないが複雑な歴史と微妙な立場の魔法協会の未来を考えると、第三世界を新天地とし地球とも魔法世界とも違う勢力になれればもしかすると三つの世界は変われるかもしれないとは思ってしまう。
「どうやら私達だけ何も知らされてない現状は変えねばなりませんわね。 私達の焦りが良くない方に向く前に。」
「そうね。」
一体横島と大人達は何をしてるのかと疑問を深めたあやかと千鶴は、横島と自分達の関係や未来を考えると同時に大人達の隠してることも聞き出さねばならないとの意見で纏まる。
大人達は一体どんな未来を描き動いているのかで自分達の関係や未来も変わってしまうのだから、特に昨日の件で焦りが見えた少女達が下手に動く前に情報を集めねばならなかった。
二人は二人の視点から前に進もうとしていた。
「お祖母様達は、一言で言えば取り込みたいのでしょうね。」
「客観的に見て横島さんを他者に持っていかれたら困るのは明かですわね。」
千鶴とあやかは横島への好意を隠さぬ千鶴と一歩引いたあやかという立場が少し違う二人だが、実は千鶴はあやかの気持ちもかなり横島に傾いていることに気付いている。
そんな二人であるがそれぞれに責任ある立場の家に生まれた者という共通点は同じであり、美砂達とは違い横島の立場がすでに個人の色恋沙汰をどうのこうの言えるレベルではないことは理解していた。
雪広・那波両家の肩には自社の社員や家族はおろか同じ麻帆良派の企業に下請け企業や末端まで会わせると数十万人にも及ぶ人達の生活と未来がかかっている。
それに麻帆良学園や魔法協会を加えると影響を与える範囲は計り知れない。
客観的に見て横島ほど影響ある立場ならば近衛家か雪広家か那波家辺りからいつ嫁でもと声がかかっても可笑しくはなく、候補が居ないならば親戚筋からでも引っ張ってくればいいのだ。
現状でそれがないのは自分達が横島の周囲を固めてるからであり、逆に言えば下手な第三者が入り込みそうならば大人達は動くかと二人は見ている。
横島は他人に縛られるのを嫌うが別に横島が嫌がることをしなくとも横島好みの嫁を用意し、公私とも自然な形で支援して気が付いたら取り込まれていたという具合にも雪広家などならば可能だった。
綺麗事と建前ばかり並べても権謀術数渦巻く世界は生きてはいけないし、特に戦前からの財閥である雪広家はその辺りのやり方は上手い家柄になる。
「可能性が高いのはあやかね。」
そして横島に嫁として大人達が選ぶ可能性が一番高いのは他ならぬあやかである。
何より二女という立場から横島に余計な仕事や責任を与えることもないし、雪広家を継ぐ姉との仲も良好なのだから。
「私っ!? 私は……それより知ってますか? ハニワさん達が私達の世界の太陽系外の宇宙で惑星を開発してることを?」
「惑星の開発? あのハニワランドではなく? 一体何のために……。」
このまま行けば横島の妻になる可能性が一番出てきたと突然意味ありげな笑みで千鶴に言われたあやかは、不覚にも慌ててしまい不自然なまでに唐突に話を変えようとした。
まあ実際には他の友人達が黙ってないのでそうすんなりとあやかと婚約などにはならないが。
「さあ、私もお祖父様からちらりと聞いただけですから。」
「まさか第三世界でも作ろうと言うの? そんな荒唐無稽な……。」
あやかが突然変えた話は少女達にはまだ伝えられてない外宇宙での惑星開発だった。
横島の存在が人知を越えるとはいえ異空間アジトがある横島が新たにこの世界の惑星を開発し始めたのは、少なくとも現状で異空間アジトに行ったことのある自分達以外の誰かが住む可能性があるということだ。
それはもしかすれば何かしらの理由で横島のように生まれた世界を離れねばならぬ横島の生まれた世界の人達かもしれないかと思うが、他にも近右衛門達が一枚噛んでるとすれば自分達が将来的にそこに移住する可能性もゼロではない。
流石に魔法世界の危機までは二人には想像出来ないが複雑な歴史と微妙な立場の魔法協会の未来を考えると、第三世界を新天地とし地球とも魔法世界とも違う勢力になれればもしかすると三つの世界は変われるかもしれないとは思ってしまう。
「どうやら私達だけ何も知らされてない現状は変えねばなりませんわね。 私達の焦りが良くない方に向く前に。」
「そうね。」
一体横島と大人達は何をしてるのかと疑問を深めたあやかと千鶴は、横島と自分達の関係や未来を考えると同時に大人達の隠してることも聞き出さねばならないとの意見で纏まる。
大人達は一体どんな未来を描き動いているのかで自分達の関係や未来も変わってしまうのだから、特に昨日の件で焦りが見えた少女達が下手に動く前に情報を集めねばならなかった。
二人は二人の視点から前に進もうとしていた。