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二年目の春・2

「ねえ、このままじゃヤバくない?」

「うーん、確かに客観的に見ると楽観視は出来ないとは思うわね。」

同じ日の放課後、チアリーディング部の練習をしていた美砂達三人は休憩しながらふと前日の魔法協会の食事会の時に横島にアタックしていた女性達のことを話していた。

正直さほど危機感を抱くほど相手が美人だった訳でも横島が興味を示した訳でもないが、未だに自分達は横島から異性というより妹のような扱いをされてることが危機感を抱かせている。

美砂達の場合は横島に好意を持つ美砂と桜子に友人以上の感情がない円が居るので、客観的な見方が出来る円の存在が意外に大きく貴重だった。

現状で横島と美砂達は他にはない秘密を共有しているので木乃香達や刀子と歩調を合わせて上手くやっているが、この先に第三者が本格的に横島を口説きにかかるとどうなるかは分からない。


「私は大丈夫だと思うな~。」

「桜子がそう言うとホッとするんだけど現状に甘えるのはどうかとも思うのよね。」

ただ三人の中でも桜子は少なくとも昨夜の女性達には危機感を抱いてはないが彼女の場合は理屈よりも横島すら認める直感のようなものもであり、意外に当たるので美砂なんかはひと安心するもそれで現状のままにしていいのかは別問題だった。


「でもあんた達の場合、今の関係を変えるとなると勝ち残るの一人で後は身をひくはめになること考えなきゃだめじゃない? それともアラブとかアフリカみたくみんな揃って彼女になるの?」

しかしそれ以上に問題なのは横島に彼女が出来ると身内や第三者問わず、一般論としては一人以外は身をひく必要が出てくることも考えねばならない。

世界には複数の妻を持つような国もあるにはあるが、ここは日本であり彼女達は日本人なのだ。

現実的に考えて横島には複数の妻を持つ経済力はあるが先を真剣に考えるならば、彼女達の場合は一般人である家族もいずれ問題になる。

ちなみに余談だが魔法世界でもヘラス帝国なんかは伝統的に一夫多妻制であり、一夫一妻のメガロメセンブリアとは文化や風習からして全く違うが。


「正直第三者なんてどうでもいいけど、その辺りを先にみんなで話し合わないと、あとになって友情とか今のみんなの関係壊れて辛い思いするよ。 好きな人が恋人出来て幸せにしてるの見てるだけなんて辛いもの。」

基本的に外への警戒感で悩んでいた美砂だが、円は第三者の問題より身内で固めてしまった中の方を先に考える必要があると二人の友人に語っていく。


「それにマスターって人間じゃないから年取らないみたいだから一緒に居るならそこも考えないとダメだし。 もっと言うなら家族の今後も考えないとダメよ。 ただマスターの場合は幽霊でさえ人間みたくしちゃうし例の不老の薬とか恩恵もけた違いだけどね。 多分病気なんかも治しちゃうんじゃないかな。」

正直なところ円は近右衛門達大人がその辺りどう考えてるのか知りたかった。

横島に恋する友人達はあまり深く考えてないが横島の恩恵は絶大であり富豪なんか目じゃない。

本当に横島の家族となれば人が抱える死や病気の恐怖なんか多分無縁になるし、生活も確実に楽にはなるだろう。

だが横島は普通の人間とは違う次元の存在であり、彼に着いていくならば一般の恋愛や結婚よりは覚悟が必要にはなる。

実は円は友人達がそちらを選んだら自分はどうするかと考えると彼女もまた悩むことだったのだが。

いずれ円に恋人が出来た時に横島や友人達は受け入れてくれるのかという問題や、友人達が永遠に近い時を生きる時に自分や自分の伴侶はどうなるかなど彼女の悩みも深い。

結局美砂達は自分達が置かれてる立場と未来をそろそろ真面目に考える必要があるのかと考え始めるしかなかった。




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