二年目の春・2
一方始業式のこの日、大半の少女達は放課後になると部活に顔を出していた。
新年度ということもあり何処の部も新入生の勧誘や歓迎会の計画を考えるなどの為である。
尤も図書館探検部のように学校単位ではなく学園単位のサークルや部などは、基本的に大学生が中心となり動くのでこの日に中学生が集まる予定はないが。
「明日菜ちゃん部活に行かなくてよかったんか?」
「私は元々幽霊部員みたいなもんですから。」
そんなこの日いち早く学校から戻り横島の店で働いていたのは美術部の明日菜であった。
元々新聞配達のアルバイトがあったことからほぼ幽霊部員と化していた明日菜は、時々忘れた頃に顔を出す程度らしい。
美術部自体が基本的に個人で活動する部であることや顧問の高畑が忙しいことから、大半が幽霊部員だという事実がある。
「それに放課後は誰か来ないとダメですから。」
ただ明日菜がこの日いち早く戻ったのは横島の店の事情の方が大きいかもしれない。
学生の客が多い横島の店では放課後は横島とタマモだけでは厳しいのだ。
麻帆良学園では部活動は任意の参加なので、始業式のこの日なんかは明日菜と同じくらい早く帰って来た学生達で店は賑わっている。
木乃香も夕映ものどかもいろいろ忙しいしさよでさえ今日は茶道部に顔を出してるので、明日菜が自発的にバイトに入っていた。
「いつも悪いな。 よっしゃ、特別にボーナスでも……。」
「いいですよ。 新聞配達辞めたんで暇なんです。」
日頃から何かと忙しい他の少女達とは違い、明日菜は活動がまださほど広くないので店のアルバイトを一番入っていて優先させている。
横島は常々そんな明日菜に感謝していて、思い出したように時々ボーナスをあげようとするが明日菜は何故かいつも拒否するのが定番であった。
「欲がないな。 もっと貪欲にならないと損するぞ。」
「十分給料は貰ってますよ。 それに横島さんと関わるようになってからは何だかんだっていろいろ得してばっかりですし。」
自身は欲深いタイプである横島は暮れるというものを拒否するのは損するタイプだとシンプルに考えてるようだが、明日菜は相変わらず横島との関係をきちんとしたいと考えている。
基本的に不器用な性格であるという訳もあるのだろうが、明日菜自身も横島に対して異性として意識しつつある現状をようやく認めつつあった。
高畑との関係が家族という形に落ち着くに従って、自身の感情や気持ちの整理がついてきたのだろう。
それにこのまま横島に流されると、いつの間にか娘のようなポジションにされるのではとの疑念もある。
「明日菜ちゃんも立派になったなぁ。」
「そういうの年寄りくさいですよ。」
ただ本心はともかく扱いは相変わらず子供扱いであり、先日雪広邸で会った年配の人達のようにしみじみと立派になったと涙ぐむような仕草をする横島に明日菜は不機嫌そうに抗議をする。
異性として意識する相手に子供扱いされるのは不愉快でしかなく、明日菜は横島がそこを理解出来てないことになんとも言えない表情を浮かべた。
「高畑先生ならともかく、その辺に居るような顔だけの野郎を彼氏が出来たなんて連れて来たらどうしよう。」
一方の横島は明日菜の成長を感じたからか、何故か明日菜に顔だけが取り柄のような彼氏が出来たという前提で悩み始めている。
勝手に有りもしない妄想をして、ぶん殴ってやろうかとか呪いをかけてやろうとか物騒なことを口走ってしまい明日菜を呆れさせてしまう。
新年度ということもあり何処の部も新入生の勧誘や歓迎会の計画を考えるなどの為である。
尤も図書館探検部のように学校単位ではなく学園単位のサークルや部などは、基本的に大学生が中心となり動くのでこの日に中学生が集まる予定はないが。
「明日菜ちゃん部活に行かなくてよかったんか?」
「私は元々幽霊部員みたいなもんですから。」
そんなこの日いち早く学校から戻り横島の店で働いていたのは美術部の明日菜であった。
元々新聞配達のアルバイトがあったことからほぼ幽霊部員と化していた明日菜は、時々忘れた頃に顔を出す程度らしい。
美術部自体が基本的に個人で活動する部であることや顧問の高畑が忙しいことから、大半が幽霊部員だという事実がある。
「それに放課後は誰か来ないとダメですから。」
ただ明日菜がこの日いち早く戻ったのは横島の店の事情の方が大きいかもしれない。
学生の客が多い横島の店では放課後は横島とタマモだけでは厳しいのだ。
麻帆良学園では部活動は任意の参加なので、始業式のこの日なんかは明日菜と同じくらい早く帰って来た学生達で店は賑わっている。
木乃香も夕映ものどかもいろいろ忙しいしさよでさえ今日は茶道部に顔を出してるので、明日菜が自発的にバイトに入っていた。
「いつも悪いな。 よっしゃ、特別にボーナスでも……。」
「いいですよ。 新聞配達辞めたんで暇なんです。」
日頃から何かと忙しい他の少女達とは違い、明日菜は活動がまださほど広くないので店のアルバイトを一番入っていて優先させている。
横島は常々そんな明日菜に感謝していて、思い出したように時々ボーナスをあげようとするが明日菜は何故かいつも拒否するのが定番であった。
「欲がないな。 もっと貪欲にならないと損するぞ。」
「十分給料は貰ってますよ。 それに横島さんと関わるようになってからは何だかんだっていろいろ得してばっかりですし。」
自身は欲深いタイプである横島は暮れるというものを拒否するのは損するタイプだとシンプルに考えてるようだが、明日菜は相変わらず横島との関係をきちんとしたいと考えている。
基本的に不器用な性格であるという訳もあるのだろうが、明日菜自身も横島に対して異性として意識しつつある現状をようやく認めつつあった。
高畑との関係が家族という形に落ち着くに従って、自身の感情や気持ちの整理がついてきたのだろう。
それにこのまま横島に流されると、いつの間にか娘のようなポジションにされるのではとの疑念もある。
「明日菜ちゃんも立派になったなぁ。」
「そういうの年寄りくさいですよ。」
ただ本心はともかく扱いは相変わらず子供扱いであり、先日雪広邸で会った年配の人達のようにしみじみと立派になったと涙ぐむような仕草をする横島に明日菜は不機嫌そうに抗議をする。
異性として意識する相手に子供扱いされるのは不愉快でしかなく、明日菜は横島がそこを理解出来てないことになんとも言えない表情を浮かべた。
「高畑先生ならともかく、その辺に居るような顔だけの野郎を彼氏が出来たなんて連れて来たらどうしよう。」
一方の横島は明日菜の成長を感じたからか、何故か明日菜に顔だけが取り柄のような彼氏が出来たという前提で悩み始めている。
勝手に有りもしない妄想をして、ぶん殴ってやろうかとか呪いをかけてやろうとか物騒なことを口走ってしまい明日菜を呆れさせてしまう。