二年目の春
一方横島が夕映と打ち合わせをしているので、厨房では木乃香が客の注文などを受けて仕事をしていた。
最近はのどかも料理が上達しているが、それでも現状で店を任せられるのはまだ無理で相変わらず横島の代わりは木乃香が勤めている。
「こういうのどうやろ?」
「うん! とってもかわいい!!」
そんな木乃香は先程からタマモとさよが見守る中で調理をしているが、この日はケーキの売れ行きがいいので追加でケーキを焼いてデコレーションをしていた。
巷では天才パティシエと評価されていてお姫様や姫の愛称が定着している木乃香であるが、本人はそのうち噂も収まるだろうとあまり気にしていない。
ただ料理自体が好きなのは変わらないようでスイーツの方も練習を兼ねて時々作っている。
特にケーキのデコレーションなんかは横島に教わるばかりでなく、新堂や本などを参考に自身で試行錯誤もしていた。
この日は春ということで苺のショートケーキを作っているが、木乃香の調理を見ているタマモやさよの意見も聞きながら和気あいあいとケーキを作っている。
「そういえば新堂先輩も卒業なんですよね。」
「新堂先輩は麻帆良に店があるからそのまま残るみたいや。」
そんな木乃香を見ていたさよは、ふともうすぐ卒業する新堂のことを思い出していた。
体育祭以来何かと交流がある新堂は今年大学部を卒業するし女子中等部でも三年生が卒業する。
正式に中等部に通いだしたのが二学期からだったさよだが、店で知り合った人を含めて三年生にも親しい人が何人も出来ている。
そんな人達が卒業する寂しさをさよは最近感じていた。
「別れは寂しいですね。 こうしてみんなとお話しできるようになって余計に別れが寂しくなるなんて思ってもいませんでした。」
幽霊時代を合わせると数多の別れを見てきたはずのさよであるが、まさか自身がそんな別れを経験するとは思いもしなかったようである。
孤独や寂しさには慣れてるからと自身では思っていたが、そんな過去の孤独や寂しさとは別のモノに感じるような別れの寂しさには考えさせられるものがあるらしい。
「そうやね。 幸せになればなるほど別れの寂しさは感じるのかもしれへん。 それだけさよちゃんが今は幸せなんやって思う。」
別れの寂しさを語るさよにタマモは何も言わずにさよにピッタリと寄り添うと、さよもタマモを抱き抱えてあげていた。
そんな二人を見て心が温かくなるような気持ちになる木乃香は、別れの寂しさを感じるほどさよは今幸せなんだろうと語る。
木乃香自身、当然別れの寂しさは過去に何度か経験している。
理由も言わずに冷たくなった幼なじみとの別れや麻帆良に来る為に両親とも離れ離れになったことなど。
だからこそ木乃香はさよが今は幸せなんだろうなと思うようであった。
「わたしはさよちゃんとこのかちゃんとずっといっしょにいる!」
「そうだね。 ずっと一緒に居られればいいね。」
「ぜったいいっしょにいるの!!」
そのまま少ししんみりとした空気になるさよと木乃香にタマモも寂しくなったというか不安になったのか、突然さよと木乃香とずっと一緒に居ると宣言して二人を笑わせてしまう。
さよは希望的な願いを込めてずっと一緒に居られればいいねと答えるも、タマモは絶対だと何故か語気を強めて言い切り気合いが入っていく。
「大丈夫や。 うちらは何処にもいかへんよ。」
このままではタマモが納得をしないと理解した木乃香は簡単にタマモと何処にもいかないと約束をしてしまうが、タマモはその言葉を決して忘れることはなく胸に刻むことまで気づいてなかった。
最近はのどかも料理が上達しているが、それでも現状で店を任せられるのはまだ無理で相変わらず横島の代わりは木乃香が勤めている。
「こういうのどうやろ?」
「うん! とってもかわいい!!」
そんな木乃香は先程からタマモとさよが見守る中で調理をしているが、この日はケーキの売れ行きがいいので追加でケーキを焼いてデコレーションをしていた。
巷では天才パティシエと評価されていてお姫様や姫の愛称が定着している木乃香であるが、本人はそのうち噂も収まるだろうとあまり気にしていない。
ただ料理自体が好きなのは変わらないようでスイーツの方も練習を兼ねて時々作っている。
特にケーキのデコレーションなんかは横島に教わるばかりでなく、新堂や本などを参考に自身で試行錯誤もしていた。
この日は春ということで苺のショートケーキを作っているが、木乃香の調理を見ているタマモやさよの意見も聞きながら和気あいあいとケーキを作っている。
「そういえば新堂先輩も卒業なんですよね。」
「新堂先輩は麻帆良に店があるからそのまま残るみたいや。」
そんな木乃香を見ていたさよは、ふともうすぐ卒業する新堂のことを思い出していた。
体育祭以来何かと交流がある新堂は今年大学部を卒業するし女子中等部でも三年生が卒業する。
正式に中等部に通いだしたのが二学期からだったさよだが、店で知り合った人を含めて三年生にも親しい人が何人も出来ている。
そんな人達が卒業する寂しさをさよは最近感じていた。
「別れは寂しいですね。 こうしてみんなとお話しできるようになって余計に別れが寂しくなるなんて思ってもいませんでした。」
幽霊時代を合わせると数多の別れを見てきたはずのさよであるが、まさか自身がそんな別れを経験するとは思いもしなかったようである。
孤独や寂しさには慣れてるからと自身では思っていたが、そんな過去の孤独や寂しさとは別のモノに感じるような別れの寂しさには考えさせられるものがあるらしい。
「そうやね。 幸せになればなるほど別れの寂しさは感じるのかもしれへん。 それだけさよちゃんが今は幸せなんやって思う。」
別れの寂しさを語るさよにタマモは何も言わずにさよにピッタリと寄り添うと、さよもタマモを抱き抱えてあげていた。
そんな二人を見て心が温かくなるような気持ちになる木乃香は、別れの寂しさを感じるほどさよは今幸せなんだろうと語る。
木乃香自身、当然別れの寂しさは過去に何度か経験している。
理由も言わずに冷たくなった幼なじみとの別れや麻帆良に来る為に両親とも離れ離れになったことなど。
だからこそ木乃香はさよが今は幸せなんだろうなと思うようであった。
「わたしはさよちゃんとこのかちゃんとずっといっしょにいる!」
「そうだね。 ずっと一緒に居られればいいね。」
「ぜったいいっしょにいるの!!」
そのまま少ししんみりとした空気になるさよと木乃香にタマモも寂しくなったというか不安になったのか、突然さよと木乃香とずっと一緒に居ると宣言して二人を笑わせてしまう。
さよは希望的な願いを込めてずっと一緒に居られればいいねと答えるも、タマモは絶対だと何故か語気を強めて言い切り気合いが入っていく。
「大丈夫や。 うちらは何処にもいかへんよ。」
このままではタマモが納得をしないと理解した木乃香は簡単にタマモと何処にもいかないと約束をしてしまうが、タマモはその言葉を決して忘れることはなく胸に刻むことまで気づいてなかった。