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二年目の春

その頃地下室では美砂達が楽器を持ち込み練習しようとしていた。

少しひんやりした空気の地下室は当然ながら窓もないので楽器の練習には最適である。

現在地下室には季節品や調理器具に保存が効く食材や横島手作りの加工食品などだいぶ荷物が増えたが、それでも地下室の三分の一も使ってない。


「ふいー、結構重かったわね。」

楽器は美砂の従兄弟からの貰い物でギターとベースとドラムと最低限の物は揃っているが、楽器くらいは自分達で運ぼうと女子寮から店まで自分で持って来たのだがドラムはかさばるしギターとベースは別途アンプが必要であり何度も女子寮と店を往復する羽目になっていた。

夜まで待てば横島が運んでくれると言っていたのだが、あまり頼りすぎるのも気が引けたので自分達で運んだらしい。


「流石に女子寮だと練習出来ないし、学校だと場所探すの大変なのよね。」

しかしまあタダで気兼ねなく練習出来る環境は結構貴重である。

女子寮の個室はそれなりに防音仕様であるが流石に楽器を練習出来るほどではないし、遊戯室などもあるにはあるがこちらも他の利用者のことを考えると練習することはためらってしまう。

学校に至っては練習出来ることは出来るがこちらは音楽室なんかは音楽系の部活やサークルが使うので無理なので空き教室を利用することになるが、ぶっちゃけほぼ初心者の三人が人に聴かれる環境で練習するのは少々抵抗感があった。

その点ここは気兼ねなく練習出来るし、どうせ毎日夕食を食べに来ているので放課後や夕食後に練習出来るので便利だった。


「魔法もぜんぜん使えないしね。」

「あれ毎日練習して数ヵ月なんでしょ? 私達そんな練習してないし。」

早速楽器の練習を始める美砂達だが、魔法よりは上達が早いだろうとやる気を出している。

ちなみに一月に魔法を知らされて約二ヶ月が過ぎたが、未だに少女達で魔法を使えた者は居ない。

一番のネックはやはり練習時間であり、基本的に夕食後に店に客が居ない時に店を閉めて一~二時間練習しているが同時に魔法関連の勉強もしてるので明らかに練習時間が足りてない。

そのうちエヴァの別荘か異空間アジトで魔法の練習の為の合宿をしようかとの話もちらほらとあるが、すぐに実行に移すほど魔法に夢中になってる者が居ないので現状では実現されてなかった。


「ほうきで空飛ぶのは楽しみなんだけどね。」

「この調子だとそれまでに何年かかるんだか。」

まあ美砂達もほうきで空を飛んだりするのは楽しみらしく魔法の練習は続けるつもりらしいが、とりあえず基本の魔法くらい使えるようにならないとイマイチやる気が出ないのが本音のようである。

実際美砂達にしてもチアリーディングの練習もあるし麻帆良祭まではバンドの練習もあるので、魔法だけを集中して練習する気はないのだが。

現状では中学卒業までに魔法の一つでも覚えられればいいかと考えてる程度だった。

別に魔法で身を立てるつもりはないし、魔法協会も今のところ加わるメリットも見当たらないので加わりたいとは思ってないのだ。

ぶっちゃけメリット云々を考えるなら横島と自分達の関係の方が、この先どうなるのか彼女達にとっては重要な問題だったりする。


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