二年目の春

一方もう一人の主役である円は、タマモのみんなで家族になりたいとの言葉に爆笑しながらも夢が膨らむような気持ちで受け止めてもいた。

ちょうど昼間に美砂とも話したが、横島と自分達はただの友達とは呼べない程度には親しい関係になりつつある。

以前にも少し話したが元々2ーAは仲がいいクラスではあったが、それでも互いに誕生日を知らないクラスメートがほとんどであるように個々のクラスメートと必ずしも親しい訳ではない。

改めて考えてみると木乃香辺りはまだ社交的だから可能性があるだろうが、夕映やのどかなんかはこんな機会でもなければ親しくなることはなかっただろうなと思う。

別に嫌いだという訳ではないが共通の話題なんかもなかったし、少し大げさに言えば生き方が違っていたと言っても過言ではない。


「冗談でもエヴァがそういう事を言うとは思わなかったな。」

「横島が羨ましいのか? だったら貴様も人から頼られるようになればいいだろうが。 いつまでもあのバカを追ってるから貴様はダメなんだ。」

そしてタマモ的には家族に入れてるメンバーの中で特に異色の存在はやはりエヴァとチャチャゼロであろう。

ぶっちゃけ夕映やのどか以上に関わる可能性がなかったような人物であり、元々ほとんど学校にも来なかったし来ても関わるなという雰囲気を出していた人物である。

円はふと気になって先程からエヴァの方も気にかけていたが、エヴァは高畑と先程の横島に養ってもらう発言の話をしていた。

元々言葉がキツいエヴァだけにどこまで本気かは分からないが、彼女の言葉は他の誰とも違う本当に住む世界が違うのだと改めて感じる。

ただ正直エヴァに関しては抽象的な都市伝説のような存在だと夕映達から聞いたが、そもそも彼女にどんな過去があるのかは円を含めた少女達は知らない。

本音では横島と同じくらい過去に興味があるが、聞いてはいけないんだろうなとはみんな感じていた。


「エヴァちゃんって高畑先生と話すと本当に偉そうになるわね。」

「高畑君は若い頃にエヴァに修行をつけてもらっとるからのう。 師のような存在でもあるのじゃよ。 当然ながら頭が上がらん。」

ちなみに高畑とエヴァの会話は当然ながら周囲の少女達の興味を引き、小学生にしか見えないようなエヴァに偉そうにお説教されるおっさんの姿は端から見ると奇妙である。

特に明日菜なんかはそんなエヴァが少し気に入らないようであるが、近右衛門から高畑の師のような存在だと告げられると驚き固まっていたが。


「僕と横島君の一番の違いは何処なんだろう?」

「そんなことは自分で考えろ。 あとお前たちも安易に教えるなよ。」

その後高畑はリアルに横島に頼るエヴァの姿に自分と横島の違いを悩み始めるが、エヴァは自分で考えろと突き放したばかりか安易に教えそうな夕映やあやかに口止めまでしていた。


「俺、そんなに頼りになるか? あんまり言われたことないんだが。」

そして比較されている横島本人はと言えば、昔の経験からかあからさまに頼りにされたことがないだけに高畑と比べられて素で戸惑っていたが。

円や少女達はそんな相変わらず自分を理解してない横島が可笑しくてたまらなかった。



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