平和な日常~春~

店舗の細かな説明や要望などを話した雪広グループ担当者は、続いて資金関連の話を始める

雪広グループとしては店舗の建築費全額と食材の卸値を通常の半額で提供する事を提案した

これは元々レストランを運営する予定だった為、店舗の建築はすでに予算も予定されていたのだ

加えて食材の卸値の半額は雪広グループ側としてはいろいろ考慮した結果らしい

あやかの顔を立てるという意味では無料で提供しても構わないのだが、無料だと生徒の為にならないとの意見もあり半額になったようだ

ただその分売上に関しては取り分を要求しない事になっており、雪広グループの立ち位置はスポンサーに近いようである



「問題は利益の分配方法ですわね」

雪広グループ側の提案が終わり横島も超包子も概ね了承したのだが、問題は残る超包子とマホラカフェと2ーAの収益の分配割合であった

一番人数が多いのは2ーAなのだが、料理の主力は超包子と横島なのだ

あやかは横島と超に視線を向けつつ返答を待つが、先に口を開いたのは超だった


「超包子としては調理担当者を10人ほど用意するネ。 だから単純に人数割りでもいいのだガ……」

収益配分は正直微妙にデリケートな問題だった

統一店舗の規模から言えば超包子の調理担当者が主力なのだが、料理の腕前は横島が上なのだ

超包子としては利益をあまり追求しておらず、出す人員に対して2ーAの生徒と同じ割合の報酬でも構わないのだが問題は横島だった

自分の店を閉める横島にはそれ相応の報酬が必要なのは、あやかも超も理解している


「俺も単純な人数割りでいいぞ。 正直店の規模を考えると俺はオマケみたいなもんだしな」

「しかし、こちらのわがままで店を休まれる以上は休業分の保障は最低限必要かと……」

あやかや超は普通に横島に気を使うが、やはり横島は利益というか別途報酬をもらうつもりが全くない

横島の感覚的には2ーAのレストランを手伝うイメージが強いようだった

どちらかと言えば脇役の雑用のような感覚らしい


「まあ宣伝になるんだしいいんじゃないか? お祭りなんだしみんなで平等に分ければいいだろ」

相変わらず軽い調子の横島は笑っているが、あやかは若干困った表情をしている


実際横島の腕前クラスの料理人を頼むと安くはないのだ

加えてあやかとしては大人の横島に2ーAの生徒や超包子を纏めるような働きを期待してる為、同じ割合でいいのか悩んでしまう

彼女は横島を料理の腕前で判断してる分、過大評価してるのかもしれない


「それでええんとちゃう。 横島さんなら大丈夫やで」

「あまり利益を求める人じゃないのですよ。 本人は楽しみなようですし構わないと思うです」

横島への報酬が決まらず悩むあやかに、木乃香と夕映はみんなと同じでいいのではと横島の意見を後押しする

あやかは横島が遠慮してるのではと悩んでるが、横島本人は遠慮などしてなく楽しみにしてるだけなのだ

その辺りの価値観の違いを二人が説明すると、あやかはようやく納得したようである


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