平和な日常~春~

次の日さっそく2-Aではレストランの詳細を話し合うが、話し合いは当然のように紛糾し脱線する

メイド服を着たいだとかコスプレしたいだとか内装も自分達で飾り付けしたいだとか、次々に言いたいことを言うクラスメートの要望をあやかはなんとかまとめながら進行していく

細かい要望が多くなかなか物事が決まらないが、とりあえずクラスメートの中から調理が得意な人間が選ばれ超包子や横島との顔合わせに参加することが決まる

レストランの方向性やメニューに関しては意見が分かれ現状では決まらないが、調理担当者達でいくつか考えて欲しいとなった



一方雪広グループの方でも今回の企画に関して慌ただしく動き出していた

企画の変更に伴い様々な仕事や調整が増えることになり、担当部署は慌ただしく各方面との調整を計っている

2ーAの生徒達はノリと勢いで楽しいだろうが、こちらはただでさえ忙しい時期に仕事が増えて大変だった

しかし前年度の麻帆良祭で注目を集めた超包子との提携は、雪広グループ側にとっても好意的に受け取られている

麻帆良祭自体は麻帆良学園との付き合いのイベントでありさほど利益は求めてないが、宣伝効果が大きいのも確かだったのだ

まあマホラカフェに関してはどちらかと言えばおまけ程度の感覚だったが……



そしてその日の夜は早々と店じまいした横島の店で、昨日のメンバーに加えて雪広グループの担当者数人が訪れ具体的な話し合いを始めようとしていた


「ねえ、私って場違いじゃない?」

雪広グループの担当者が居るせいか、店内は微妙な緊張感に包まれている

まあ緊張してるのは雪広グループの担当者であり、彼らはあやかの存在により緊張してるのだが明日菜はそこまで理解出来てないらしい


「私もそうかも……」

明日菜に加えて見知らぬ大人の男性にのどかも若干緊張気味だが、二人は今回のイベントを主導した訳でなく横島と親しいのを理由にクラスの実行担当者に選ばれたため困惑気味だった


「お待たせしました」

そんな集まったメンバーだったが、横島と木乃香が何故か土鍋を運んで来ると不思議そうな表情になる


「あの……これは?」

話し合いに来たはずなのに頼んでもない土鍋が出て来た時点で慣れてる夕映達以外はぽかーんとしてしまうが、先に我に帰ったあやかはいち早く理由を尋ねていた


「みんなメシまだなんだろ? 軽く食いながら話をすればいいかと思ってさ」

あやかを始め超や五月ですら驚く中、横島と木乃香は皿や飲み物を配っていく


「今日は何を作ったのですか?」

「急に来るって言うから時間がなくってさ~ 寄せ鍋にしたよ」

無言になるあやか達を前に夕映は慣れた様子で横島と話をしていくが、思ったより普通で安心する


「皆さんもどうぞ、よかったらお酒もありますよ」

「いえ、私達は仕事中ですから……」

横島は慣れた様子で雪広グループ担当者にお酒を勧めるが、仕事中でありあやかの前で酒など飲めるはずはなかった




83/86ページ
スキ