平和な日常~冬~5
坂本夫妻が店を訪れたのは予定通り夕方になってからであった。
すでに麻帆良の象徴ともいえる世界樹も雪化粧を纏っていて街全体もうっすらとだが雪が積もっている。
時期的に日の入りが早いこともあり麻帆良の街には街灯や家庭の照明などの夜の明かりが灯り始めていて、雪化粧をした麻帆良の街はまるで北欧のような普段とはまた違った異国情緒あふれる景色になっていた。
「いや~、完全に積もっちゃいましたね。」
今季初雪となった麻帆良であるがやはり年配者は落ち着いていて、坂本夫妻も寒さは堪えるようであったが特に動揺もなく落ち着いている。
「いつだったかしらね。 昔は一晩で三十センチくらい積った日があったわね。」
学生達はあわよくば明日は休みになるかとトラブルを楽しむような者も少なくないが、坂本夫妻と夫妻に会うために店を訪れてる年配者は窓の外で降り続く雪に昔あった大雪の話をしていた。
大雪と言っても三十センチほどだったらしいが、電車やバスが止まってしまい帰宅出来ない生徒や学園関係者や会社員の為に店を朝まで解放していたことがあったらしい。
その当時は今のように学園の寮が揃ってなく、生徒を下宿させている家が麻帆良や近郊の街にはたくさんあった頃の話らしいが。
「そんなこともあったな。」
相変わらず麻帆良亭の時代とほとんど変わらぬ店内に居ると、坂本夫妻や年配者はふと昔に戻ったような感覚に襲われるようである。
ましてこの日は部活やサークルが全て休みになった影響で店が混雑していることもあり、年配者達の若い頃の雰囲気に近いのだろう。
「それにしても貴方は多彩ね。」
さてそんなかつての常連達と昔話に花を咲かせる坂本夫妻だが、夫妻はこの日の日替りメニューであるコンソメスープを飲んではなんとも言えない表情を見せていた。
予報でも雪が降るかもしれないとあったので温かいスープを日替りメニューにしたのだが、当然ながら横島特製の本格的なコンソメスープである。
しかも値段はほぼ原価そのままなので坂本夫妻が驚くのは無理もない。
流石に以前のように原価割れの値段は付けてないが店の常連は女子中高生が大半なので、日替りメニューを中心にサービスメニューは毎日ではないが続けていた。
琥珀色に透き通るスープは雪で冷えた身体に染み渡るような香りと味であり、値段も手頃なことから多くの客が頼んでいる。
「いや、半分趣味みたいなもんですからね。」
一応店は喫茶店とはしているが別に喫茶店にこだわりがある訳ではなく料理は横島の気分で好きなメニューを作っていて、中には洋食屋の頃と同じようなメニューもあるのだ。
実際横島の店を純粋な喫茶店だと見てる人は常連にはほとんど居ない。
坂本夫妻もまた本格フレンチのようなコンソメスープを喫茶店感覚で出す横島には驚くが、元々麻帆良亭は初代が洋食を気軽に学生達に食べさせたいと始めた店だけにその理念は偶然にも通じるものがある。
そんな一見すると変わり者にも見える横島に、坂本夫妻はもしかすると麻帆良亭の初代もまた当時の人々からは異端のような扱いだったのかもしれないと思ってしまう。
その後学生の常連が少なくなり店内が落ち着くと次回の麻帆良亭復活の日時を話し合うが、横島からは定期的に麻帆良亭を復活させてはとの意見が出て坂本夫妻を考えさせることになる。
横島としては月一か2ヶ月に一回の割合で定期的にやればいいのではと思ったようであるが、坂本夫妻は自分達の年齢や横島の立場や状況を慎重に考え話し合いをしていった。
すでに麻帆良の象徴ともいえる世界樹も雪化粧を纏っていて街全体もうっすらとだが雪が積もっている。
時期的に日の入りが早いこともあり麻帆良の街には街灯や家庭の照明などの夜の明かりが灯り始めていて、雪化粧をした麻帆良の街はまるで北欧のような普段とはまた違った異国情緒あふれる景色になっていた。
「いや~、完全に積もっちゃいましたね。」
今季初雪となった麻帆良であるがやはり年配者は落ち着いていて、坂本夫妻も寒さは堪えるようであったが特に動揺もなく落ち着いている。
「いつだったかしらね。 昔は一晩で三十センチくらい積った日があったわね。」
学生達はあわよくば明日は休みになるかとトラブルを楽しむような者も少なくないが、坂本夫妻と夫妻に会うために店を訪れてる年配者は窓の外で降り続く雪に昔あった大雪の話をしていた。
大雪と言っても三十センチほどだったらしいが、電車やバスが止まってしまい帰宅出来ない生徒や学園関係者や会社員の為に店を朝まで解放していたことがあったらしい。
その当時は今のように学園の寮が揃ってなく、生徒を下宿させている家が麻帆良や近郊の街にはたくさんあった頃の話らしいが。
「そんなこともあったな。」
相変わらず麻帆良亭の時代とほとんど変わらぬ店内に居ると、坂本夫妻や年配者はふと昔に戻ったような感覚に襲われるようである。
ましてこの日は部活やサークルが全て休みになった影響で店が混雑していることもあり、年配者達の若い頃の雰囲気に近いのだろう。
「それにしても貴方は多彩ね。」
さてそんなかつての常連達と昔話に花を咲かせる坂本夫妻だが、夫妻はこの日の日替りメニューであるコンソメスープを飲んではなんとも言えない表情を見せていた。
予報でも雪が降るかもしれないとあったので温かいスープを日替りメニューにしたのだが、当然ながら横島特製の本格的なコンソメスープである。
しかも値段はほぼ原価そのままなので坂本夫妻が驚くのは無理もない。
流石に以前のように原価割れの値段は付けてないが店の常連は女子中高生が大半なので、日替りメニューを中心にサービスメニューは毎日ではないが続けていた。
琥珀色に透き通るスープは雪で冷えた身体に染み渡るような香りと味であり、値段も手頃なことから多くの客が頼んでいる。
「いや、半分趣味みたいなもんですからね。」
一応店は喫茶店とはしているが別に喫茶店にこだわりがある訳ではなく料理は横島の気分で好きなメニューを作っていて、中には洋食屋の頃と同じようなメニューもあるのだ。
実際横島の店を純粋な喫茶店だと見てる人は常連にはほとんど居ない。
坂本夫妻もまた本格フレンチのようなコンソメスープを喫茶店感覚で出す横島には驚くが、元々麻帆良亭は初代が洋食を気軽に学生達に食べさせたいと始めた店だけにその理念は偶然にも通じるものがある。
そんな一見すると変わり者にも見える横島に、坂本夫妻はもしかすると麻帆良亭の初代もまた当時の人々からは異端のような扱いだったのかもしれないと思ってしまう。
その後学生の常連が少なくなり店内が落ち着くと次回の麻帆良亭復活の日時を話し合うが、横島からは定期的に麻帆良亭を復活させてはとの意見が出て坂本夫妻を考えさせることになる。
横島としては月一か2ヶ月に一回の割合で定期的にやればいいのではと思ったようであるが、坂本夫妻は自分達の年齢や横島の立場や状況を慎重に考え話し合いをしていった。