平和な日常~春~

一方お昼を向かえた2-Aの教室では昼食を取りながら麻帆良祭の話し合いを続けていたのだが……


「これは美味いアル」

「パン作りもお上手なんですね」

みんな話し合いそっちのけで木乃香と明日菜が持って行ったパンに夢中だった


「皆さん、いい加減出し物を決めないと時間が……」

「いいんちょ食べないの? なら私が食べてあげる」

「待ちなさいまき絵さん! 私は食べないなど言ってませんよ!!」

クラス委員であるあやかは一人真面目に麻帆良祭の出し物を決めるようにクラスメートに促すが、まき絵があやかが頼んだパンを食べようとした事ではちゃめちゃになってしまう


「いっそマホラカフェのマスター巻き込んで喫茶店にしちゃえば?」

「あっ、それいい考えかも。 でも喫茶店よりはファミレスみたいな方がよくない?」

クラスメートがパンを取り合う姿を見ていた美砂は、ふいにボソッと喫茶店でもすればと口にする

美砂のそんな言葉に反応した円は横島だけでなく超包子の面々も居る事からファミレスの方がいいのではと告げると、その話は本人の意向などまるで無視して周囲で勝手に盛り上がっていく


「で、どうなのよアスナ。 マスター受けてくれるかな?」

いつの間にか横島と超包子を巻き込んで料理を売りにした飲食店にしようと盛り上がる一同だったが、朝倉は肝心な横島の反応を明日菜に尋ねる


「私に聞かれても……」

「横島さんのやる気はともかく、マホラカフェは人手不足ですし協力するにしてもあちらの店や超包子の調整などかなり大変だと思うです」

朝倉の問い掛けに困った様子の明日菜に夕映は助け舟を出すが、問題は横島のやる気と言うより調整だと語る


(あの人なら多分オーケーを出すです。 でも店の営業をしながらこちらもとは難しいですよ)

横島ならばこんな面白そうな話に参加するだろう事は、夕映のみならず明日菜や木乃香やのどかも感じていた

ただ問題は人気店の超包子や横島の店の営業をしつつ2-Aのクラスの店をやるのは簡単ではないと言う事である


「いっそ店を一つにするカ?」

夕映の冷静な意見に盛り上がっていた2-Aの面々がしょんぼりする中、超はニヤリと意味深な笑みを浮かべて呟く


「店を一つに?」

「超包子とマホラカフェの共同店舗にして麻帆良祭期間限定で統一店舗を出すと言うのはどうネ?」

クラスメートの注目が集まる中、超は超包子とマホラカフェで統一店舗を出す案を説明していく

人手が足りないならば統一店舗にすればいいし、超包子やマホラカフェの側も宣伝効果などを考えれば悪い提案ではなかった


「ただこれは広い店舗が見つかればの話ネ」

「店舗くらいでしたら私が用意出来ますが……、肝心の横島さんの意見を聞くのが先では?」

超の案は面白い案なのだが、問題は統一店舗を設ける場所が必要だという事である

しかしその場所をあやかが用意出来ると言うと、クラスは再び一気に盛り上がっていく

横島の知らないところで話は勝手に着々と進んでいた

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