龍に触れたその先に(3)

『お。回答がついた。やっぱりこれは龍導院さん行きっぽいな。』
<こういう時のお前の勘はほんとに外れねえな>
『まあね(笑)』
あとは、いつどこで「禍祓い」をするのか突き止めなきゃいけない。
『「禍祓い」の相談が開設されてからまだ日が浅い。ってことはまだ専属でやってるわけじゃないのかな』
始めたばかりではぶっちゃけそんなに稼げていないだろう。本業は何やってるんだろ?
龍導院名千の姿を思い浮かべる。…人を見た目で判断するのは良くないことだって重々承知の上で…うん、サラリーマンとかお堅い職業ではない気がする。自営業?だとすれば、休日が決まってなかったりするのだろうか?
パチ屋に来てた時も曜日や時間は決まってる感じじゃなかったし…。
うーーん……
『あ。龍導院さんと一緒にいた鬼の子の方から辿ればいけるかも』
<鬼の子?名千は鬼を連れてんのか??>
『そうだよ、さっき話したじゃん。龍導院さんの方に気を取られて聞いてなかったの?ってか、“名千“なんて呼び捨てにするとか、やっぱり昔の知り合いとかじゃないの?』
隠しごとをされてるようでちょっとムカつく。腹いせに撫でていた尻尾を軽く引っ張ってやる。
<痛ってえ!引っ張んじゃねえよ!気が向いたら話してやるって>
『いつ気が向いてくれるんだかねー?ま、いっか、そしたら私も名千さんって呼んじゃおっ。…それはそれとして。どうやって二人とコンタクトするか考えないとね。』
<鬼の子から辿るって言ってたが、どうやるんだ?>
名千さんから“レッドくん“と呼ばれていた少年。あちこちに駆けよっていく姿は、小さな子供が生まれて初めて見るものに興味を持ち、“あれはなに??これはどうなってるの??“と、あらゆる物事を自分の中に吸収しようと動き回るのに似ている気がした。そんなレッドくんに振り回され戸惑いながら面倒をみている名千さん、という感じだった。
…ってことは。
どこから来たのかは分からないが、レッドくんは「この世に生まれ出てきたばかり」で、初めて見た人間が名千さんだったのかも知れない。とても一人で生活できるとは思えない(生まれたばかりの人外だし)から名千さんと暮らしてて、こないだのお祭りの時のように一緒に行動することも多いんじゃないか?レッドくんだけではあまり遠くへも行けない気がする。
可能性としてはかなり高いと思う。
<そう考えりゃ、レッドを辿っていけば名千の動向も分かるってことか>
『一か八かみたいになっちゃうけどね。』
それでもやらないよりはマシだ。
<酷い目に遭ったばっかりだってーのに懲りねえな>
『あれはちょっと怪我しただけでしょ。巻き込まれ事故みたいなモンだったし、精神的には何のダメージも受けてないから大丈夫だって。』
<ボロボロだったじゃねーか>
揶揄っているような言い草に、さっきよりムカついたのでもっと強めに尻尾を引っ張ってやる。それに、今その話は関係無い。さすがに紅音も察したのか、痛いとも言わず尻尾を引っ込めて大人しくなった。
『そしたら、しばらく此処で過ごしてみるか。』
うーん、と伸びをしてバッグにスマホをしまった。
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