龍に触れたその先に(1)
今の時代は便利だ。指先一つ動かせば、インターネットで何でも調べることができる。
嘘も真も、妄想も現実も入り混じった場所で、有名人かどうかも分からない二人を探すのは難しいかと思ったが意外と簡単に見つけることができた。
「レッド」で検索するのはあまりに対象が多いと分かりきっていたので、「龍導院」で検索してみた。
たまにネットで話題になっている(美し過ぎる僧侶がいるとか何とかで)お寺の名前と同じだったからだ。
『お、あった。…今時はお寺もサイトを持ってるんだな。』
時代の流れとはいえ、なんかちょっと面白い。
行事の日程や折々の写真が綺麗に揃えられて載っている。更新頻度も高く、丁寧に運営されているのが分かる。
つらつらとスクロールしていくと、「龍導院名千」の文字が見えた。
『少しでも引っかかればと思ったけど、いきなりヒットするとは思わなかったな』
あまり時間をかけずに済んでラッキーだったと思いながら、名千の名前が載っている場所をクリックする。
『「禍祓い」??』
禍祓い…“まがばらい“。何をするものだろうと説明を読んでいくと、どうやら怪奇現象を起こす物(髪の伸びる人形とか、姿を映すと呪われる鏡とか)を祓ってくれるらしいことが分かった。
『こんな、いろんなものが発達した時代でもこういうのが商売になるのか…』
しかも寺がやっているということなら、こういう(ある意味胡散臭い)ものでも信憑性は高いってことか。
<何やってんだ?紫音>
自分の内から少しだるそうな声がした。
『ああ、紅音。起きたの?』
<おう>
私に「紅音(くおん)」と呼ばれた声の主は、いつからか私の内に存在していた。どういうカラクリなのか分からないが、私の姿と入れ替わって表に出てくることもできるしこうやって会話をすることもできる。
表に出る時の姿が、真っ白な毛並みの紅い瞳の猫らしいので「紅音」と呼ぶことにしたのだが、けっこう気に入ってるらしい。
(「何で猫なの?」っと聞いたら、私の源が猫なのだそうだ。私の前に入ってた人のはやたらとデカい
猿だったらしく<表に出にくくて参った>っとぼやいていた)
ただ。他の猫と違うのが、紅音は尻尾が二本あるということ。これも私の源と関係があるようで、猫又の一種らしい。
普通は、長生きした猫の尾先が二つに分かれることで「猫又」と呼ばれると思うのだが、私の場合は根元から二本生えてるんだそうだ。
今のところ、紅音がいることで不思議な目に遭ったりちょっと死にかけたりしたことはあるものの、困った事はないのでそのまま受け入れている。
まだ少し眠そうな紅音に、こないだ大須で見かけた二人を調べていたこと、一人は龍導院の「禍祓い」のページで見つけたことを話した。
「龍導院」と聞いた瞬間、紅音の尻尾がぴくりと動いた。
<龍導院…。お前が大須で面白いっつってたやつ、龍導院っていうのか?>
『え、なに知ってるの?』
<……そいつ、綺麗な蒼い瞳をしてるか?>
『とても綺麗な蒼だったよ。何で分かったの?』
私の問いには答えず、遠い昔の思いをたぐり寄せているようだった紅音がふっと笑った気がした。
<ふうん、「禍祓い」、ね。あの坊主ならやれるわな>
何だかとても嬉しそうに笑っている。
『ちょっとー、嬉しそうなの気になるじゃんっ!教えてよー』
<気が向いたらな>
上機嫌に二本の尻尾をぱたぱたとさせながら紅音が答えた。
<で?お前はどうすんだ?>
そう。問題はどうするか、だ。いや、私がどうしたいか、だ。
あの二人の瞳に似た光を見た。あの二人がいた方向にでんでん太鼓の音が聞こえた。背後に龍がいた。
私が見た夢に“たまたま“合致しただけの二人。それでも、興味を持ってしまったんだから仕方ない。
『とりあえず。遠くから見ただけじゃ分かんないからちゃんと話をしてみたいな。』
<そう言うと思ったぜ>
ため息混じりで紅音が呟く。
『とか言って、紅音だってほんとは龍導院さんに会いたいんじゃないの?』
<まあな>
紅音にしては珍しく素直に答えてきた。名千さんとの思い出がよほど楽しかったのか、「会えるかもしれない」ってことが嬉しいのが伝わってきた。
『よしっ!そしたら会いに行ける方法を探すとするかっ』
パソコンを操作しながらあれこれと考え始めた。
嘘も真も、妄想も現実も入り混じった場所で、有名人かどうかも分からない二人を探すのは難しいかと思ったが意外と簡単に見つけることができた。
「レッド」で検索するのはあまりに対象が多いと分かりきっていたので、「龍導院」で検索してみた。
たまにネットで話題になっている(美し過ぎる僧侶がいるとか何とかで)お寺の名前と同じだったからだ。
『お、あった。…今時はお寺もサイトを持ってるんだな。』
時代の流れとはいえ、なんかちょっと面白い。
行事の日程や折々の写真が綺麗に揃えられて載っている。更新頻度も高く、丁寧に運営されているのが分かる。
つらつらとスクロールしていくと、「龍導院名千」の文字が見えた。
『少しでも引っかかればと思ったけど、いきなりヒットするとは思わなかったな』
あまり時間をかけずに済んでラッキーだったと思いながら、名千の名前が載っている場所をクリックする。
『「禍祓い」??』
禍祓い…“まがばらい“。何をするものだろうと説明を読んでいくと、どうやら怪奇現象を起こす物(髪の伸びる人形とか、姿を映すと呪われる鏡とか)を祓ってくれるらしいことが分かった。
『こんな、いろんなものが発達した時代でもこういうのが商売になるのか…』
しかも寺がやっているということなら、こういう(ある意味胡散臭い)ものでも信憑性は高いってことか。
<何やってんだ?紫音>
自分の内から少しだるそうな声がした。
『ああ、紅音。起きたの?』
<おう>
私に「紅音(くおん)」と呼ばれた声の主は、いつからか私の内に存在していた。どういうカラクリなのか分からないが、私の姿と入れ替わって表に出てくることもできるしこうやって会話をすることもできる。
表に出る時の姿が、真っ白な毛並みの紅い瞳の猫らしいので「紅音」と呼ぶことにしたのだが、けっこう気に入ってるらしい。
(「何で猫なの?」っと聞いたら、私の源が猫なのだそうだ。私の前に入ってた人のはやたらとデカい
猿だったらしく<表に出にくくて参った>っとぼやいていた)
ただ。他の猫と違うのが、紅音は尻尾が二本あるということ。これも私の源と関係があるようで、猫又の一種らしい。
普通は、長生きした猫の尾先が二つに分かれることで「猫又」と呼ばれると思うのだが、私の場合は根元から二本生えてるんだそうだ。
今のところ、紅音がいることで不思議な目に遭ったりちょっと死にかけたりしたことはあるものの、困った事はないのでそのまま受け入れている。
まだ少し眠そうな紅音に、こないだ大須で見かけた二人を調べていたこと、一人は龍導院の「禍祓い」のページで見つけたことを話した。
「龍導院」と聞いた瞬間、紅音の尻尾がぴくりと動いた。
<龍導院…。お前が大須で面白いっつってたやつ、龍導院っていうのか?>
『え、なに知ってるの?』
<……そいつ、綺麗な蒼い瞳をしてるか?>
『とても綺麗な蒼だったよ。何で分かったの?』
私の問いには答えず、遠い昔の思いをたぐり寄せているようだった紅音がふっと笑った気がした。
<ふうん、「禍祓い」、ね。あの坊主ならやれるわな>
何だかとても嬉しそうに笑っている。
『ちょっとー、嬉しそうなの気になるじゃんっ!教えてよー』
<気が向いたらな>
上機嫌に二本の尻尾をぱたぱたとさせながら紅音が答えた。
<で?お前はどうすんだ?>
そう。問題はどうするか、だ。いや、私がどうしたいか、だ。
あの二人の瞳に似た光を見た。あの二人がいた方向にでんでん太鼓の音が聞こえた。背後に龍がいた。
私が見た夢に“たまたま“合致しただけの二人。それでも、興味を持ってしまったんだから仕方ない。
『とりあえず。遠くから見ただけじゃ分かんないからちゃんと話をしてみたいな。』
<そう言うと思ったぜ>
ため息混じりで紅音が呟く。
『とか言って、紅音だってほんとは龍導院さんに会いたいんじゃないの?』
<まあな>
紅音にしては珍しく素直に答えてきた。名千さんとの思い出がよほど楽しかったのか、「会えるかもしれない」ってことが嬉しいのが伝わってきた。
『よしっ!そしたら会いに行ける方法を探すとするかっ』
パソコンを操作しながらあれこれと考え始めた。
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