“陰“と“陽“の狭間にあるもの(2)
今日の名千は疲れていた。
仕事(本業の方)を紹介してくれた社長の愚痴を長々と聞かされ、更に円覚から「禍祓い」の依頼と雲行の話、「“あの女性“が何なのか、はよ説明せい」攻撃が一気にやってきたからだ。
心身ともにぐったりしながら鍵を開ける。
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「ただいまあ〜っと。……あれ?レッドくん、まだ帰ってきとらんのか?」
いつもなら賑やかなアニメの音が聞こえてくる時間なのに、リビングは暗くシーンとしていた。
明かりをつけ、そのまま座り込む。普段はそのまま仕事部屋に入るのだが、流石に今日は疲れた。
「仕事があるっちゅーのは自営業としては有難いことだけどな…」
ふういぃーっと大きく息を吐き、天井を見上げる。
社長の愚痴はいつもの事だでまあいいとして。問題は円覚の方だ。“あの女性“…紫音さんからの連絡が来ないことには説明も何も出来ん。
ちゃんと経緯を書いてお願いしたんだがなあ……。書き方が悪かったかな……?
ぼぉーっと考えていると、玄関の方がガタガタばたばたとやかましくなった。
「ただいまああっっっ!!!腹へったああっっっ!!!」
リビングの扉をばあんっと開けて、レッドが元気よく入ってきた。
「おお、お帰り。頼んどったもん、買ってきてくれたか?」
「ちゃんと買ってきたっっ!!」
レッドがドヤ顔で袋を渡してくる。
「買い物ありがとな。ほいじゃあチャーハンでも作るか」
「やったああ!!おれアニメ観て待っとるっっ!!」
手を洗うのもそこそこにお気に入りのアニメを見始めたレッドを横目に、キッチンへ向かった。
買ってきてもらったものを仕分けようとシンク横の調理台に置いた袋を開けると、見慣れた団子屋の包みが目に入った。一回開けたものをまた丁寧に包み直したようだが、レッドが寄り道でもしたのか??
「おーいっ!レッドくーんっっ!」
アニメの音でこっちの声が聞こえてないのか返事はない。仕方なく団子の包みを持ってリビングに行き、金の瞳をキラキラさせながらアニメに夢中になっているレッドに尋ねる。
「レッドくん、あそこの団子屋に行ったの??」
「行ったっっ!!」
俺の方を見向きもしないでレッドが答える。
「一人で??!」
こう見えてレッドはかなりの人見知りだ。買い物はともかく、一人で団子屋に行くなんてことは(どえりゃあ腹が減っとるとか)よっぽどのことがない限りしないと思う。
「一人じゃあなーいっっ!!」
「じゃあ誰と???」
「紫音さんとっっっ!!!」
……………は???
「いやっちょちょちょっっ!!」
思わずリモコンを取ってアニメを止める。動かなくなった映像を見て、レッドが不服そうに見上げてくる。
「紫音さんに会ったの??!!」
「会ったっっ!!んで団子買ってくれた!!名千にもどうぞって言っとったっっ!!」
「なんで紫音さんが大須におったんだ??」
「分かんない!!」
「紫音さんとなに話したの??」
「“名千さんはお元気?“って聞かれたから、だいたい元気って言っといたっっ!!!」
……大体って何だ大体って。んな曖昧に答えられたら紫音さんも戸惑ったろうに。当のレッドはアニメの先が気になるのか、がっくりと肩を落とした俺からリモコンを奪い返しアニメを再生する。まだ聞きたいことはあったが諦めてキッチンへ戻ろうとした時、レッドが思い出したように声を上げた。
「あっっそうだっっ!!紫音さんに頼まれとることあったっっっ!!」
「なに??」
驚いて振り向くと、キョトンとした表情のレッドと目が合った。
「“連絡はどうしますか?“って。連絡ってなに???」
「はあ??」
俺の方もキョトンとしてしまう。
「“これで伝わるから“って言っとった!!なんか紫音さん笑っとったっっ!!!」
これで自分の役目は終わったとばかりに、再びアニメに夢中になっているレッドを見ながら固まってしまった。
連絡??伝わる??俺に伝えたかったって???……待て待て。まさか。
ちゃんとお礼は書いた。誤解されとることも、それを解きたいってことも書いた。
連絡先…連絡先は…書いとらんかった…か??!あれ???……………
書いてねええっっっ!!!!
「だあぁーーっっ!!やってまったあぁぁ!!」
「うわっっ!!びっくりしたっ!!!なにぃ???!!!」
急に頭を抱えてしゃがみ込んだもんだから、レッドがビクッとしてこっちを向いた。
「あーすまんすまん。チャーハンできるまで団子食べとって」
「分かったあっっ!!」
何とか気を取り直して団子の包みをレッドに手渡しキッチンに戻った。(しゃがみ込んだ時に落とさんくて良かった)
何はともあれ、連絡が来なかった原因も分かったし、後は夕飯食ってから考えよう。
俺の分の団子、レッドくんはちゃんと残しといてくれるんだろうか…?っと、ぼんやり思いながら具材を刻み始めたのだった。
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夕飯を済ませ、コーヒーと皿に乗っけた団子を持って仕事部屋に入る。“名千さんにも“って紫音さんに言われたのを律儀に守ったのか何なのか、いつもなら全部食べてしまうレッドが一本だけ残しておいてくれたのだ。まあ俺もそんなに食べる方じゃないんで一本あれば充分だ。
パソコンを立ち上げ、紹介された仕事の見積もりをある程度作成し、区切りがついたところで団子を齧る。醤油の香ばしいしょっぱい味が口の中に広がっていく。やっぱ冷めとってもここの団子はうみゃあわ。
コーヒーを一口啜り、ふうっと息をつく。
まさか連絡先を書いとらんかったとはなあ…そりゃあ連絡が来るわけないわ。紫音さんも自分から連絡していいかどうか分からんかっただろうし、悪いことしてまったな。まあでも怒っとるって事は無さそうで良かった、レッドくんも「笑っとった」って言っとったし。……何で笑っとったんだ??
いや、それより連絡をつけなかん。確か、グッズを買う時のメールフォームに連絡先を入れるところがあったはずだから、円覚さんに聞きゃあ分かるな。
とりあえず、今日はもう時間も遅いし明日にでも電話するか。
つらつらと考えながら電子タバコを咥え、深く息を吸い込む。
そういやあ、今度の依頼もなかなかに不穏だった。…「禍祓い」なんだから不穏なのは当たり前っちゃあ当たり前なんだが、“どんなに遠くに捨てても戻ってくる、壊そうとしても壊れないもの“を何とかしてくれというのは結構ヤバい気がする。
それに雲行のことも。
“美しすぎる僧侶“と呼ばれるほどの類稀なる美貌を持つ、歳の離れた俺のいとこ。雲行(くもゆき…仏門に入って今はうんぎょうか)には心底嫌われている。俺の顔を見ただけで烈火の如く怒り狂い、暴れる。(それには理由があるんだが俺にはどうにもできん事だで、龍導院の寺とは疎遠にすると決めたはずだったんだがな)
雲行だけじゃない。ガキの頃に関わってきた奴らはみんなそうだった。母や祖母のような身内、世話しとってくれた円覚なんかは違うが、それ以外の人間には雲行ほどではないがうっすら嫌われていたと思う。……というより妬まれたり怖がられていたのかもしれん。
だが。
それは俺のせいか?
「神童」と呼ばれるほどの才覚を持ってた。それがそこまで嫌われ、憎まれることなのか?
他の奴らが“持っていない“ものを“持っていた“だけで、なんで【負の感情】をぶつけられなきゃいかんのだ?
こんな、“俺が欲しがったんじゃないもの“のせいで。
……なんて迂闊に口に出そうもんなら「贅沢だ!」と責められるだろうな。
理不尽だ。
この歳になりゃあ「世の中は理不尽なことだらけ」だってのは散々思い知らされとる。それでも、こいつは最大級の「理不尽」じゃねーかと感じる。
………だめだ。仕事にならん。
パソコンを落とし電子タバコも片付け、ソファーに寝っ転がって目を閉じる。
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籠のような、檻のようなものの中で、ぐにゃぐにゃと歪んだ模様がぐるぐる回る。灰色が混ざったみたいなくすんだ光がゆらゆら揺れる。
小さな俺が、ひとりぼっちで立ち尽くしている。
暗い。重い。冷たい。寂しい。痛い。
ガキの頃によく見てた悪夢。今はほとんど見なくなったが、それでもこうして瞼に浮かんでくることがある。
これが【孤独】というものだと理解したのは、もう少し先の話だ。あの頃の俺はおさな過ぎて、【これ】が何なのか分からないまま痛みに耐え、ただただ怯えていた。
母ちゃんが唄ってくれた子守唄だけが、この檻から助け出してくれとった。
……いや。
一度だけ、綺麗な模様になったことがあったな。澄んだ光がしゃらしゃら揺れて、こんなに綺麗だった事なんか今までなかったもんで、母ちゃんの唄が聞こえるまで一人ではしゃいどった。
………ひとり??俺ひとりだったか???
もうひとり、誰かいなかったか?……俺の夢ん中だぞ?でもあったかかった……何だったっけ??
必死に記憶を辿るが、寝っ転がったせいか疲れと睡魔が一気に襲ってきてすぐにぼやけてしまう。
前にもこんなことあったな……ああ。紫音さんの紅い瞳を見た時だ。…あれも何だったんだ……白くて柔らかくて……あったかくて…あ……紫音さん…に連絡…しんと……ぐう。
結局、何も思い出せずに眠りに落ちてしまったのだった。
仕事(本業の方)を紹介してくれた社長の愚痴を長々と聞かされ、更に円覚から「禍祓い」の依頼と雲行の話、「“あの女性“が何なのか、はよ説明せい」攻撃が一気にやってきたからだ。
心身ともにぐったりしながら鍵を開ける。
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「ただいまあ〜っと。……あれ?レッドくん、まだ帰ってきとらんのか?」
いつもなら賑やかなアニメの音が聞こえてくる時間なのに、リビングは暗くシーンとしていた。
明かりをつけ、そのまま座り込む。普段はそのまま仕事部屋に入るのだが、流石に今日は疲れた。
「仕事があるっちゅーのは自営業としては有難いことだけどな…」
ふういぃーっと大きく息を吐き、天井を見上げる。
社長の愚痴はいつもの事だでまあいいとして。問題は円覚の方だ。“あの女性“…紫音さんからの連絡が来ないことには説明も何も出来ん。
ちゃんと経緯を書いてお願いしたんだがなあ……。書き方が悪かったかな……?
ぼぉーっと考えていると、玄関の方がガタガタばたばたとやかましくなった。
「ただいまああっっっ!!!腹へったああっっっ!!!」
リビングの扉をばあんっと開けて、レッドが元気よく入ってきた。
「おお、お帰り。頼んどったもん、買ってきてくれたか?」
「ちゃんと買ってきたっっ!!」
レッドがドヤ顔で袋を渡してくる。
「買い物ありがとな。ほいじゃあチャーハンでも作るか」
「やったああ!!おれアニメ観て待っとるっっ!!」
手を洗うのもそこそこにお気に入りのアニメを見始めたレッドを横目に、キッチンへ向かった。
買ってきてもらったものを仕分けようとシンク横の調理台に置いた袋を開けると、見慣れた団子屋の包みが目に入った。一回開けたものをまた丁寧に包み直したようだが、レッドが寄り道でもしたのか??
「おーいっ!レッドくーんっっ!」
アニメの音でこっちの声が聞こえてないのか返事はない。仕方なく団子の包みを持ってリビングに行き、金の瞳をキラキラさせながらアニメに夢中になっているレッドに尋ねる。
「レッドくん、あそこの団子屋に行ったの??」
「行ったっっ!!」
俺の方を見向きもしないでレッドが答える。
「一人で??!」
こう見えてレッドはかなりの人見知りだ。買い物はともかく、一人で団子屋に行くなんてことは(どえりゃあ腹が減っとるとか)よっぽどのことがない限りしないと思う。
「一人じゃあなーいっっ!!」
「じゃあ誰と???」
「紫音さんとっっっ!!!」
……………は???
「いやっちょちょちょっっ!!」
思わずリモコンを取ってアニメを止める。動かなくなった映像を見て、レッドが不服そうに見上げてくる。
「紫音さんに会ったの??!!」
「会ったっっ!!んで団子買ってくれた!!名千にもどうぞって言っとったっっ!!」
「なんで紫音さんが大須におったんだ??」
「分かんない!!」
「紫音さんとなに話したの??」
「“名千さんはお元気?“って聞かれたから、だいたい元気って言っといたっっ!!!」
……大体って何だ大体って。んな曖昧に答えられたら紫音さんも戸惑ったろうに。当のレッドはアニメの先が気になるのか、がっくりと肩を落とした俺からリモコンを奪い返しアニメを再生する。まだ聞きたいことはあったが諦めてキッチンへ戻ろうとした時、レッドが思い出したように声を上げた。
「あっっそうだっっ!!紫音さんに頼まれとることあったっっっ!!」
「なに??」
驚いて振り向くと、キョトンとした表情のレッドと目が合った。
「“連絡はどうしますか?“って。連絡ってなに???」
「はあ??」
俺の方もキョトンとしてしまう。
「“これで伝わるから“って言っとった!!なんか紫音さん笑っとったっっ!!!」
これで自分の役目は終わったとばかりに、再びアニメに夢中になっているレッドを見ながら固まってしまった。
連絡??伝わる??俺に伝えたかったって???……待て待て。まさか。
ちゃんとお礼は書いた。誤解されとることも、それを解きたいってことも書いた。
連絡先…連絡先は…書いとらんかった…か??!あれ???……………
書いてねええっっっ!!!!
「だあぁーーっっ!!やってまったあぁぁ!!」
「うわっっ!!びっくりしたっ!!!なにぃ???!!!」
急に頭を抱えてしゃがみ込んだもんだから、レッドがビクッとしてこっちを向いた。
「あーすまんすまん。チャーハンできるまで団子食べとって」
「分かったあっっ!!」
何とか気を取り直して団子の包みをレッドに手渡しキッチンに戻った。(しゃがみ込んだ時に落とさんくて良かった)
何はともあれ、連絡が来なかった原因も分かったし、後は夕飯食ってから考えよう。
俺の分の団子、レッドくんはちゃんと残しといてくれるんだろうか…?っと、ぼんやり思いながら具材を刻み始めたのだった。
_________________________________________________
夕飯を済ませ、コーヒーと皿に乗っけた団子を持って仕事部屋に入る。“名千さんにも“って紫音さんに言われたのを律儀に守ったのか何なのか、いつもなら全部食べてしまうレッドが一本だけ残しておいてくれたのだ。まあ俺もそんなに食べる方じゃないんで一本あれば充分だ。
パソコンを立ち上げ、紹介された仕事の見積もりをある程度作成し、区切りがついたところで団子を齧る。醤油の香ばしいしょっぱい味が口の中に広がっていく。やっぱ冷めとってもここの団子はうみゃあわ。
コーヒーを一口啜り、ふうっと息をつく。
まさか連絡先を書いとらんかったとはなあ…そりゃあ連絡が来るわけないわ。紫音さんも自分から連絡していいかどうか分からんかっただろうし、悪いことしてまったな。まあでも怒っとるって事は無さそうで良かった、レッドくんも「笑っとった」って言っとったし。……何で笑っとったんだ??
いや、それより連絡をつけなかん。確か、グッズを買う時のメールフォームに連絡先を入れるところがあったはずだから、円覚さんに聞きゃあ分かるな。
とりあえず、今日はもう時間も遅いし明日にでも電話するか。
つらつらと考えながら電子タバコを咥え、深く息を吸い込む。
そういやあ、今度の依頼もなかなかに不穏だった。…「禍祓い」なんだから不穏なのは当たり前っちゃあ当たり前なんだが、“どんなに遠くに捨てても戻ってくる、壊そうとしても壊れないもの“を何とかしてくれというのは結構ヤバい気がする。
それに雲行のことも。
“美しすぎる僧侶“と呼ばれるほどの類稀なる美貌を持つ、歳の離れた俺のいとこ。雲行(くもゆき…仏門に入って今はうんぎょうか)には心底嫌われている。俺の顔を見ただけで烈火の如く怒り狂い、暴れる。(それには理由があるんだが俺にはどうにもできん事だで、龍導院の寺とは疎遠にすると決めたはずだったんだがな)
雲行だけじゃない。ガキの頃に関わってきた奴らはみんなそうだった。母や祖母のような身内、世話しとってくれた円覚なんかは違うが、それ以外の人間には雲行ほどではないがうっすら嫌われていたと思う。……というより妬まれたり怖がられていたのかもしれん。
だが。
それは俺のせいか?
「神童」と呼ばれるほどの才覚を持ってた。それがそこまで嫌われ、憎まれることなのか?
他の奴らが“持っていない“ものを“持っていた“だけで、なんで【負の感情】をぶつけられなきゃいかんのだ?
こんな、“俺が欲しがったんじゃないもの“のせいで。
……なんて迂闊に口に出そうもんなら「贅沢だ!」と責められるだろうな。
理不尽だ。
この歳になりゃあ「世の中は理不尽なことだらけ」だってのは散々思い知らされとる。それでも、こいつは最大級の「理不尽」じゃねーかと感じる。
………だめだ。仕事にならん。
パソコンを落とし電子タバコも片付け、ソファーに寝っ転がって目を閉じる。
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籠のような、檻のようなものの中で、ぐにゃぐにゃと歪んだ模様がぐるぐる回る。灰色が混ざったみたいなくすんだ光がゆらゆら揺れる。
小さな俺が、ひとりぼっちで立ち尽くしている。
暗い。重い。冷たい。寂しい。痛い。
ガキの頃によく見てた悪夢。今はほとんど見なくなったが、それでもこうして瞼に浮かんでくることがある。
これが【孤独】というものだと理解したのは、もう少し先の話だ。あの頃の俺はおさな過ぎて、【これ】が何なのか分からないまま痛みに耐え、ただただ怯えていた。
母ちゃんが唄ってくれた子守唄だけが、この檻から助け出してくれとった。
……いや。
一度だけ、綺麗な模様になったことがあったな。澄んだ光がしゃらしゃら揺れて、こんなに綺麗だった事なんか今までなかったもんで、母ちゃんの唄が聞こえるまで一人ではしゃいどった。
………ひとり??俺ひとりだったか???
もうひとり、誰かいなかったか?……俺の夢ん中だぞ?でもあったかかった……何だったっけ??
必死に記憶を辿るが、寝っ転がったせいか疲れと睡魔が一気に襲ってきてすぐにぼやけてしまう。
前にもこんなことあったな……ああ。紫音さんの紅い瞳を見た時だ。…あれも何だったんだ……白くて柔らかくて……あったかくて…あ……紫音さん…に連絡…しんと……ぐう。
結局、何も思い出せずに眠りに落ちてしまったのだった。
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