猫の休息〜side紫音・紅音〜(2/2)
『これは…どういうことなん……?』
名千さんの直筆であろう文字で書かれていた内容は、少し戸惑ってしまうようなものだった。
こないだの“禍祓い“を手助けしてくれたお礼と、依頼主からも謝礼をもらったのでそれを渡したいこと。ここまでは分かる。「ある人の誤解を解いてほしい」ってなんだ??
<なに唸ってんだ??>
『私、なんか誤解されるようなことしたっけ?っと思って。見られても困らないように変容したのも少しだけだったし、しっぽも紐に見えるように注意したけどなあ。レッドくんにはバレそうになったけど。ある人って誰??』
<俺が分かる訳ねーだろ>
『まあ会ってみれば分かるか。ふふ、また名千さんとお会いできるのは嬉しいな♪』
少しニヤけながらブレスレットを付けてみる。老若男女を問わず使えるように大きめに作られているのか、腕を動かすと外れてしまいそうになる。どっか飛んでかないように気をつけないとな。
キラキラときらめいているブレスレットを眺めていると、紅音が訝しげに聞いてきた。
<……なあ。紫音は名千に惚れてんのか??>
『なんて??!』
思わずソファーからずり落ちそうになる。コントかよ!カフェオレこぼすトコだったわ!
『おっさんみたいな聞き方やめてくれる?!こないだ初めてお会いしたばっかなんだよ?どうしてそうなる?!』
<いや、久しぶりに嬉しそうというか楽しそうじゃねーか、と思ってな>
確かに、普段あまり感情を動かさない私がニコニコしているから紅音がそう感じるのも仕方ないっちゃ仕方ないが、それにしても飛躍し過ぎじゃね??!!
<一目惚れってのもあるかもしれんだろーが!>
『そりゃそういう事もあるだろうし、名千さんは面白いしカッコいいと思うよ。デカいし。……紅音には一目惚れしたように見えるの?』
<いや、見えねえ>
見えねーのかよ!
不毛なやり取りにぐったりしながらメッセージカードを読み返す。さっきは「誤解を解く」ってところに目が行ってしまったけど、「依頼主からの謝礼を渡したい」ってのも引っかかる。これは“禍祓い“の料金とは別に頂いたものがあるってこと?それをわざわざ「私に」ってことは、依頼主の手紙かなんかに私のことが書かれていたのか??
……もし、お寺のサイトを運営してる人が名千さんへの依頼相談も管理してるとすれば(間違いなく管理してると思う)、それを読んだ時に「私という存在」に疑問を持ってもおかしくない。
名千さん独身だって言ってたし、まさか……。
『うーわマジかあ…』
<なんだどうした??>
急に頭を抱えた私に驚いた紅音が耳をぴこぴこさせた。
『紅音のおかげで誤解されてる内容が分かった気がする…』
私の想像したものが当たってたとしたら、そりゃ名千さんも「誤解を解きたい」って書きたくもなるわな。
『そしたら、どっかで予定を合わせなきゃいかんのか?なんか連絡先とか書いてあったっけ?』
もう一度、ゆっくりと読み直す。が。
なんも書いてない………。一番大事なところなのに。
『あははっっ!ダメだっ名千さん面白すぎるっっ!』
思わず声を上げて笑ってしまった。何というか、姿かたちは銀髪だし瞳も蒼いし、陰陽でいったら「陰」の方に感じるけれど内側はきっと「陽」なんだろう。いろんな意味で辺りを明るく照らしてくれる。
ただ。紅音が記憶を消さなければいけないほどの経験をしているのなら、「陰」は名千さんの奥深くに眠っているだけなのかもしれない。
『紅音。私やっぱ名千さん好きだわ』
<はあ?!やっぱり惚れてんのか?!>
『そういうもんじゃないけどね』
龍導院のお寺には私の連絡先が控えられてる筈だし、名千さんの方から何かアクションを起こしてくれるでしょ。私はそれを楽しみに待つことにしよう。
手首につけたブレスレットをしゃらんっと揺らしてみる。
蒼と白の光がゆらめいて、とても綺麗だ。
名千さんの放っていた蒼い光のように、ゆらめくたびに周りの空間が澄んでいく。
ふ、と。
龍の尾先に乗せてもらった感覚がした。
連れていってくれるかもしれない。
そっとブレスレットに触れる。
ふふ。楽しみだな。
【終】
名千さんの直筆であろう文字で書かれていた内容は、少し戸惑ってしまうようなものだった。
こないだの“禍祓い“を手助けしてくれたお礼と、依頼主からも謝礼をもらったのでそれを渡したいこと。ここまでは分かる。「ある人の誤解を解いてほしい」ってなんだ??
<なに唸ってんだ??>
『私、なんか誤解されるようなことしたっけ?っと思って。見られても困らないように変容したのも少しだけだったし、しっぽも紐に見えるように注意したけどなあ。レッドくんにはバレそうになったけど。ある人って誰??』
<俺が分かる訳ねーだろ>
『まあ会ってみれば分かるか。ふふ、また名千さんとお会いできるのは嬉しいな♪』
少しニヤけながらブレスレットを付けてみる。老若男女を問わず使えるように大きめに作られているのか、腕を動かすと外れてしまいそうになる。どっか飛んでかないように気をつけないとな。
キラキラときらめいているブレスレットを眺めていると、紅音が訝しげに聞いてきた。
<……なあ。紫音は名千に惚れてんのか??>
『なんて??!』
思わずソファーからずり落ちそうになる。コントかよ!カフェオレこぼすトコだったわ!
『おっさんみたいな聞き方やめてくれる?!こないだ初めてお会いしたばっかなんだよ?どうしてそうなる?!』
<いや、久しぶりに嬉しそうというか楽しそうじゃねーか、と思ってな>
確かに、普段あまり感情を動かさない私がニコニコしているから紅音がそう感じるのも仕方ないっちゃ仕方ないが、それにしても飛躍し過ぎじゃね??!!
<一目惚れってのもあるかもしれんだろーが!>
『そりゃそういう事もあるだろうし、名千さんは面白いしカッコいいと思うよ。デカいし。……紅音には一目惚れしたように見えるの?』
<いや、見えねえ>
見えねーのかよ!
不毛なやり取りにぐったりしながらメッセージカードを読み返す。さっきは「誤解を解く」ってところに目が行ってしまったけど、「依頼主からの謝礼を渡したい」ってのも引っかかる。これは“禍祓い“の料金とは別に頂いたものがあるってこと?それをわざわざ「私に」ってことは、依頼主の手紙かなんかに私のことが書かれていたのか??
……もし、お寺のサイトを運営してる人が名千さんへの依頼相談も管理してるとすれば(間違いなく管理してると思う)、それを読んだ時に「私という存在」に疑問を持ってもおかしくない。
名千さん独身だって言ってたし、まさか……。
『うーわマジかあ…』
<なんだどうした??>
急に頭を抱えた私に驚いた紅音が耳をぴこぴこさせた。
『紅音のおかげで誤解されてる内容が分かった気がする…』
私の想像したものが当たってたとしたら、そりゃ名千さんも「誤解を解きたい」って書きたくもなるわな。
『そしたら、どっかで予定を合わせなきゃいかんのか?なんか連絡先とか書いてあったっけ?』
もう一度、ゆっくりと読み直す。が。
なんも書いてない………。一番大事なところなのに。
『あははっっ!ダメだっ名千さん面白すぎるっっ!』
思わず声を上げて笑ってしまった。何というか、姿かたちは銀髪だし瞳も蒼いし、陰陽でいったら「陰」の方に感じるけれど内側はきっと「陽」なんだろう。いろんな意味で辺りを明るく照らしてくれる。
ただ。紅音が記憶を消さなければいけないほどの経験をしているのなら、「陰」は名千さんの奥深くに眠っているだけなのかもしれない。
『紅音。私やっぱ名千さん好きだわ』
<はあ?!やっぱり惚れてんのか?!>
『そういうもんじゃないけどね』
龍導院のお寺には私の連絡先が控えられてる筈だし、名千さんの方から何かアクションを起こしてくれるでしょ。私はそれを楽しみに待つことにしよう。
手首につけたブレスレットをしゃらんっと揺らしてみる。
蒼と白の光がゆらめいて、とても綺麗だ。
名千さんの放っていた蒼い光のように、ゆらめくたびに周りの空間が澄んでいく。
ふ、と。
龍の尾先に乗せてもらった感覚がした。
連れていってくれるかもしれない。
そっとブレスレットに触れる。
ふふ。楽しみだな。
【終】
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