小ネタ
バカップルな小ネタバツ配
2023/10/02 03:33 暑さも和らぎ、風が体の火照りを冷ましてくれる秋がやってくると、ビクターの家には『妖怪靴下剥ぎ』が現れるようになる。サラサラした感触のラグの上でウィックの隣に腹這いで寝そべって雑誌を読んでいると、「シュポン!」と勢いよく靴下が足から引っこ抜かれた。
肩越しに振り向くと妖怪はイタズラの成功に満足そうに笑い声をあげてからむき出しになったビクターの足の裏を優しくマッサージし始める。なるほど、今日は『そこまでではない』ようだ。ビクターは雑誌を読むのに戻って、読み終えてから足をモゾモゾさせて妖怪を捕まえた。
「読み終わったのか?」
両足で挟んでいた『妖怪靴下剥ぎ』ことガンジの腕を解放すると、ビクターはそのまま返事をせずにガンジに頭を擦り付ける犬猫のような頬擦りをした。背中や膝裏が支えられてクルリと体制が変えられる。ガンジがビクターを脚の間に入れて後ろから抱えるような姿勢になったところで適当にページを開いて見せた。初めての時こそ小さく声をあげてしまったが、なんてことはない。妖怪が現れるのは『特に何か用がある訳ではないが、なんとなく構いたくなった』時だともうわかっているので、ビクターも特に意味がある訳じゃない仕草をする。今日はそこまでではないが、ビクターに構い返してほしいときは振り向かせようとする悪戯をしてくるからだ。
用事があるからではなく、呼びたくなったから名前を呼ぶような時間は、洗練されてはいなくても、秋の夜長にはとても似合う贅沢ではないだろうか。
肩越しに振り向くと妖怪はイタズラの成功に満足そうに笑い声をあげてからむき出しになったビクターの足の裏を優しくマッサージし始める。なるほど、今日は『そこまでではない』ようだ。ビクターは雑誌を読むのに戻って、読み終えてから足をモゾモゾさせて妖怪を捕まえた。
「読み終わったのか?」
両足で挟んでいた『妖怪靴下剥ぎ』ことガンジの腕を解放すると、ビクターはそのまま返事をせずにガンジに頭を擦り付ける犬猫のような頬擦りをした。背中や膝裏が支えられてクルリと体制が変えられる。ガンジがビクターを脚の間に入れて後ろから抱えるような姿勢になったところで適当にページを開いて見せた。初めての時こそ小さく声をあげてしまったが、なんてことはない。妖怪が現れるのは『特に何か用がある訳ではないが、なんとなく構いたくなった』時だともうわかっているので、ビクターも特に意味がある訳じゃない仕草をする。今日はそこまでではないが、ビクターに構い返してほしいときは振り向かせようとする悪戯をしてくるからだ。
用事があるからではなく、呼びたくなったから名前を呼ぶような時間は、洗練されてはいなくても、秋の夜長にはとても似合う贅沢ではないだろうか。