小ネタ
ともぬい ポストマン
2023/04/09 04:04 ガンジの部屋にはゲーム景品のぬいぐるみが置いてある。景品『ともぬい ポストマン』は猫耳が付いたビクターの姿をしていた。社交以外であれば何でも得意なビクターは早々に同シリーズ全て手に入れており、譲ろうかと声をかけたがガンジは自分で取りたいと主張した。苦労の末にようやく取れた1体をガンジは大切に持ち帰ったのだった。
ある時、ガンジの部屋を訪ねたビクターはそれを見つけた。ゲームの参加予定など、ちょっとした覚え書き用のメモ紙がぬいぐるみの手元に置かれている。成る程、ぬいぐるみに持たせるようにすれば簡易掲示板かつディスプレイになるのか。感心したビクターが『センスが良い』と誉めたのだが、あまり嬉しくなかったのか、ガンジはやや挙動不審な仕種で礼を言った。
それから数日。ビクターがガンジの部屋のぬいぐるみが持つメモ紙の向きが裏向きだったことに気付いた。独り言としてそれをこぼすとガンジは大きく肩を跳ねさせた。その驚きっぷりに逆にビクターが驚いていると、恥ずかしそうに顔を逸らしながらガンジが言った。
「……だってお前、手紙読むの好きだろ?」
ビクターの視界に映る『ともぬい ポストマン』は、ぬいぐるみの筈なのに破顔したように見えた。
ある時、ガンジの部屋を訪ねたビクターはそれを見つけた。ゲームの参加予定など、ちょっとした覚え書き用のメモ紙がぬいぐるみの手元に置かれている。成る程、ぬいぐるみに持たせるようにすれば簡易掲示板かつディスプレイになるのか。感心したビクターが『センスが良い』と誉めたのだが、あまり嬉しくなかったのか、ガンジはやや挙動不審な仕種で礼を言った。
それから数日。ビクターがガンジの部屋のぬいぐるみが持つメモ紙の向きが裏向きだったことに気付いた。独り言としてそれをこぼすとガンジは大きく肩を跳ねさせた。その驚きっぷりに逆にビクターが驚いていると、恥ずかしそうに顔を逸らしながらガンジが言った。
「……だってお前、手紙読むの好きだろ?」
ビクターの視界に映る『ともぬい ポストマン』は、ぬいぐるみの筈なのに破顔したように見えた。