clap
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夕食までの空き時間、暖炉でのんびり読書をしていたら、
肖像画の方からにぎやかな声が聞こえてきた。
すぐに誰かわかったので私は読んでいた本を閉じて迎えの言葉を口にした。
『フレッド、ジョージ、おかえり~』
「おーう」
「お、ただいま」
瓜二つの顔をした赤毛の二人が満足げに手を揺らして談話室に入ってくる。
どうやら、試作品の実験と言って悪戯を楽しんできたところみたい。
『上手くいった?』
「「そりゃもう最高さ!」」
「姫にも見せてやりたかったよ。そういや、リーは?」
『んー、多分部屋じゃないかな?』
「そっか、さんきゅ」
それだけ言うとジョージはトントンと軽快に階段を上がって男子寮に消えていく。
フレッドの方は荷物を適当にテーブルに置いて、私の隣に腰かけた。
『二人とも楽しそうな顔してる』
「まぁな。フィルチの顔、そりゃあもう見物だったぜ?」
『えー私も見たかったなあ』
「ただなー、姫は足が遅いからなー」
『うるさいよ』
逃げなくて良いように最初っから離れたところから盗み見てればいいんでしょ?と私が口を尖らせるとまぁそうだなと彼は笑う。
『ん』
笑い声に合わせて赤い髪が揺れると、ふわりふわりとなんだか鼻腔を擽るような香りがした。
『フレッド、いい匂いがするー、』
「んー?」
もっとよく分かるようにとふわふわの赤毛に顔を埋める。
すんすんと匂いを吸うとフレッドはくすぐったそうに少しだけ身を捩った。
『土と火薬とあまーい匂い』
「あー、さっきまで弄ってた悪戯製品のせいか?」
『ふふ。いいよね、フレッドらしい』
「うーん、光栄だね」
肌が触れあうほどにすり寄って沢山の香りをかぎ分けてみる。彼の一日が想像できてそれだけで愛しくて楽しくてたまらない。
ふと、そのなかでもうひとつ暖かい香りを見つけた。
『あ、お日様の香り』
「へー、そんな匂いがあんの?」
『うん!私この匂い大好き』
この匂いを嗅いでいるとまるで陽だまりに包まれているような暖かい気持ちになっていく。
彼の首に腕を回してぎゅうっと抱きつくと幸せだなぁ、と本音が溢れた。
フレッドが優しく笑いぽんぽんと頭を撫でてくれてたので私はゆっくり瞼を閉じてその心地よさに身を委ねることにした。
『はー、安心するー…』
「ん?…おい、…たく」
「おやすみ、お姫さま」
ぼんやりと薄れいく意識の中で大好きな甘い声と、自分の唇に心地よい温もりを感じた。
ふふ、幸せ。もう一度だけ口のなかで呟いてそのままゆっくり夢に落ちていった。
______
Thank you clap !!
メッセージ頂けると管理人が歓喜します。お返事はmemoにて。
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夕食までの空き時間、暖炉でのんびり読書をしていたら、
肖像画の方からにぎやかな声が聞こえてきた。
すぐに誰かわかったので私は読んでいた本を閉じて迎えの言葉を口にした。
『フレッド、ジョージ、おかえり~』
「おーう」
「お、ただいま」
瓜二つの顔をした赤毛の二人が満足げに手を揺らして談話室に入ってくる。
どうやら、試作品の実験と言って悪戯を楽しんできたところみたい。
『上手くいった?』
「「そりゃもう最高さ!」」
「姫にも見せてやりたかったよ。そういや、リーは?」
『んー、多分部屋じゃないかな?』
「そっか、さんきゅ」
それだけ言うとジョージはトントンと軽快に階段を上がって男子寮に消えていく。
フレッドの方は荷物を適当にテーブルに置いて、私の隣に腰かけた。
『二人とも楽しそうな顔してる』
「まぁな。フィルチの顔、そりゃあもう見物だったぜ?」
『えー私も見たかったなあ』
「ただなー、姫は足が遅いからなー」
『うるさいよ』
逃げなくて良いように最初っから離れたところから盗み見てればいいんでしょ?と私が口を尖らせるとまぁそうだなと彼は笑う。
『ん』
笑い声に合わせて赤い髪が揺れると、ふわりふわりとなんだか鼻腔を擽るような香りがした。
『フレッド、いい匂いがするー、』
「んー?」
もっとよく分かるようにとふわふわの赤毛に顔を埋める。
すんすんと匂いを吸うとフレッドはくすぐったそうに少しだけ身を捩った。
『土と火薬とあまーい匂い』
「あー、さっきまで弄ってた悪戯製品のせいか?」
『ふふ。いいよね、フレッドらしい』
「うーん、光栄だね」
肌が触れあうほどにすり寄って沢山の香りをかぎ分けてみる。彼の一日が想像できてそれだけで愛しくて楽しくてたまらない。
ふと、そのなかでもうひとつ暖かい香りを見つけた。
『あ、お日様の香り』
「へー、そんな匂いがあんの?」
『うん!私この匂い大好き』
この匂いを嗅いでいるとまるで陽だまりに包まれているような暖かい気持ちになっていく。
彼の首に腕を回してぎゅうっと抱きつくと幸せだなぁ、と本音が溢れた。
フレッドが優しく笑いぽんぽんと頭を撫でてくれてたので私はゆっくり瞼を閉じてその心地よさに身を委ねることにした。
『はー、安心するー…』
「ん?…おい、…たく」
「おやすみ、お姫さま」
ぼんやりと薄れいく意識の中で大好きな甘い声と、自分の唇に心地よい温もりを感じた。
ふふ、幸せ。もう一度だけ口のなかで呟いてそのままゆっくり夢に落ちていった。
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