よろしくmarry me!!
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俺、今なら奇跡や運命ってやつを信じるよ。
具体的に説明できるのものとかはなにもないんだけど。
でも、嘘みたいに溢れてくるこの気持ちは紛れもなく本物で。
そして今!どんな悪戯よりも刺激的で、この先もずっと幸せでいられる最良の方法を見付けたんだ!!
「ナマエ!!好きだ!!!結婚しよう!!」
『…はあ?』
朝からごった返した朝食時の大広間でも数いる生徒の中からいち早く愛しの彼女を見付けられる。
飛び込むように声をかければ、ナマエは呆気に取られたような不審な顔で俺を見上げた。
食べ損なったシリアルがスプーンの端からボタボタと零れてた。
『なんでイキナリそうなるのよ…』
「なんでってそりゃあ君!それが運命だと思ってる俺だからさ!!」
『いやそうじゃなくて…、大広間へ下りて来て早々おはようも言わずに開口一番何故そんなことを口走っているのかと聞いているんだけど?』
「あぁ、そっか、おはよう!!」
『…。…はいはい、おはよ。お寝ぼけフレッドくん?』
とりあえず、と促されるまま俺がナマエの正面の席に腰を落ち着かせると、彼女は俺の分のシリアルと飲み物を用意してくれた。
俺は反射的にサンキュー、と皿を受け取ってナマエの言葉を頭のなかで反芻した。
「ん?俺、寝ぼけてなんかないぜ?そういうわけだから、とりあえず結婚しよう!」
テーブルに立ててた肘をずるっと滑らせ分りやすいリアクションをみせるナマエに
それジャパニーズコメディでよくみるやつだ、と俺が笑う。
『朝から変なことさせないでよ』
そういってナマエは目だけで俺を軽く睨んだ。
呆れたようにため息をついて淡々とだけど、それでもいちいち俺の言葉に反応してくれる。それに本当は一緒になって面白がってくれてるんだってことくらい彼女の口元の緩みをみればすぐにわかった。
そういうところに俺は毎回嬉しくなって、ほんと彼女に骨抜きなんだなってつくづく実感する。
とにかくそんな気持ちを彼女に伝えたくて言葉にしようと口を開きかけたのだが、ふいに肩を叩かれそれは邪魔された。
「ハイ、フレッド」
振り返るとカナリヤイエローのネクタイの女の子たちがニコニコとそこに立っていた。
「ん?やぁミランダ。それからエミリーにケイトもおはよう!良い朝だな!」
違う寮のハズなのになにかと声をかけてくれるこの子たちは、謂わば俺のファンってところか。ナマエとの時間を邪魔されるのは御免なんだけど、普段からファンサービスは旺盛な方な俺なので、いつもの調子で軽く挨拶を返したのだが。どうやらそれがまずかったらしい。
女の子たちがクスクスと笑ったかと思えばやれ今日の授業はなんだクディッチの調子はどうだと気付けば俺は質問の嵐に捕まっていた。
仕方なしに俺がだらだらと適当に返事をしていたら、ふいに背中から小さな溜め息と一緒に椅子が引かれる音がした。
さりげなく振り返るとさっきまでいたはずの正面の席にナマエの姿はない。
次に見付けた彼女は大広間の扉を今まさに左へ出ようとしているところだった。
「あ、おい、ナマエ!」
ごめんとだけ断ってハッフルパフ生を無理矢理に引き剥がし俺もすぐにあとを追って大広間を出た。
まばらな人影の間からスタスタといつもより速いペースで廊下を進んでいる彼女を見付けた。
「おーい!ナマエってば」
『あら、可愛い女の子達との楽しい時間はもう終わり?いいのよ?私に気を使わなくて、』
ナマエはツンと前を見たまま速度を落とさず言った。
「なんだ、やきもちか?」
『なっ…!!?』
俺が思わずくっく、と笑いを堪えて顔を覗き込むと、ナマエはようやく足を止めた。真っ赤な顔で口をパクパクさせている。
「ったく。世界一可愛い自分の彼女より大事な用事がこの世にあると思うのか?それよりナマエ、俺はまださっきの返事貰ってないんだけど?」
『返事?』
「勿論、してくれるだろ?結婚」
一瞬だけ驚いたように目を見開いたが、彼女はすぐにキッと目を細めて言った。
『…フレッド、あなたね、そんなふらついた態度でどの口がプロポーズなんて言ってるのよっ』
言いながらに俺の鼻をきゅっと摘まんだその手をすぐに離しそっぽを向く彼女は眉を歪ませ口を一文字に結んでいて、とても複雑そうな顔をしている。
喜ぶべきか怒るべきか、はたまた悲しい気持ちなのか彼女自身が迷ってるんだと思った。
ナマエが今なに考えてるかが自然と分かってしまう俺は緩みそうになる自分の口元をさっと手のひらで隠した。
確かに、こんなにもフラフラしてる俺だから彼女には今まで何度も勘違いさせたりして、寂しい想い、辛い想いをさせてしまった。
勿論彼女だってホントは俺には君だけってことくらい今までの付き合いで鬱陶しいほど知ってるはずなんだけど。
それでもやっぱり、どんなに些細なことでも俺のことでわかりやすく浮き沈んでくれる大好きな人の姿は俺にとって勿論嬉しくないわけがなかった。
周りの女の子とは違う。相棒と俺をきちんと見分けてくれて、その上で俺を選んでくれた。俺を好きになってくれた。
俺のことで不安になっては目を腫らして泣いてくれて、俺のことで世界一幸せだと心から笑ってくれる、そんなナマエだからこそ、俺はこんなにも愛しく想うんだと思う。
『あーあ!』
突然ナマエが大きくため息をついた。
どんなに頭の中まで彼女のことでいっぱいになってても、本物の彼女の声に敵わない。ぼんやりしていた視線がすぐにナマエへピントを合わせた。
『こんっな浮気で軽々しい人を好きになるなんて、私ってほんと見る目ないわねっ!』
そんなことを言ってわかりやすく拗ねるナマエもとても可愛い。ただ、いつまでも誤解されたままでは困ると俺もにやける顔をそのままに言わせてもらうことにした。
「おいおい、何言ってんだ?心の底から言えるぜ、君が選んだ男は大正解さ!!」
あの時、あの場所、あの瞬間にあそこにいたのもすべて大正解、
俺たちは出会うべくして出会って、
結ばれるべくして1つになった!!
これは奇跡であり、運命だ!!!なぁ、そうだろう!!?
『ちょ、ちょっとフレッド!!声がでかい!!皆見てるから…!!』
まるでミュージカルの台詞のように大きく手を広げて声を出せば
さっきまでの膨れっ面はどこへやら彼女は辺りを見回してもじもじと俯いた。
廊下を行き交う生徒たちがちらちらとこちらを見ていた。
『よくもまぁ、こんなところで恥ずかしげもなくそんなこと言えるわね…』
「聞きたいやつには聞かせてやれば良い」
俺を制止しようとしてか、恥ずかしくて我慢のできない自分が隠れるためだったか俺のローブを強く握りしめた彼女の手を優しくほどかせて、今度は自分の手に緩く絡ませる。
「それに。たとえ万が一俺を選んだことが正解じゃなかったとしても、だ。そんなこと君は一生気付きやしないんだから問題なんてないね!」
『…なに、バカにしてんの?』
まさかそんなわけない!と大袈裟に首を振れば彼女はならばなぜ、と怪訝そうな顔をした。
「だってそうだろ??」
「今までも、これからも、君の男はただ一人俺だけなんだからさ!」
『っ!?』
隙を盗み、すばやく音を立ててキスを贈れば、
二年半付き合っても未だにしっかりと反応してくれるその紅い頬に
俺はまた愛しい気持ちが込み上げて堪らなくなる。
「愛してるよナマエ!!そう!これは愛なんだ!!」
『もう!わかったってば…!!は、恥ずかしいからもうやめて…!』
「恥ずかしいことなんてあるもんか!」
一体なにが恥ずかしいって言うんだ?
浮気だと言われた自分の性格を否定することすらせず、
運命とか奇跡とか非現実的なことまで引っ張り出して挙げ句の果てに学生の時分がこんな人が集まるような場所でプロポーズなんて頭がおかしいって?
まぁそう思う君の気持ちもわからないでもない。
もしかしたら本当に俺は、君のことを考えることに関しては、、うん、ちょっぴりイカれた男なのかもしれない。
でもそんなことはどうだっていいのさ。
「俺達が出会えた奇跡、俺が君を愛する気持ち、そして君が俺を愛するその気持ち!君はこれ以上何も知る必要はないんだって!」
俺はそう続けて絡めていた指に力を込めた。
彼女が思わずこちらを見れば、その瞳は逃さない。
「だからさ、なんやかんやいうのはもうやめにして…」
「俺と、結婚してください。」
本日何度目かのプロポーズをもう一度囁いて、彼女の薬指をそっと擽る。
ナマエは堪らなくなったように再び視線を反らした。
わかってる。それは君が照れてる合図だろ?
耳が真っ赤なの、バレてないと思ってるところが可愛いんだ。
「これから先も、俺の人生を一緒に生きてくれるだろ?」
勿論イエス以外は聞くつもりなんてないと最後の質問投げ掛ければ、
ついには君も色付いた頬をそのままにおずおずとこちらへ向き直り小さく答えた。
『…仕方ないわね』
少しだけ困ったように眉を下げて笑う真っ赤なその顔は他のやつになんか見せられないくらいそれはもうとびっきりに可愛くて、俺は堪らずナマエを自分の胸に引き寄せた。
「っーーーーーー、最高っ!!」
『きゃっ!?』
思わず持ち上げるように抱き締めたものだからナマエの爪先が宙をもがくように浮いてたけどごめんそんなことは気に出来る余裕なんて勿論ない。そう、そうなんだ、ーー最高ーー、それ以外のなにものでもない。絶対に、間違いない。
「俺たちの結婚生活は最高に決まってる!!!」
ふと少し離れた所から騒ぎを聞き付けたスネイプがズカズカとやってくるのが目に入り、あぁ、多分寮の減点は免れないなぁなんて一瞬頭の片隅で思ったけどもうそんなことどうだってよくて。
きつく抱き締めた俺だけの運命の人。
これから先 一度だって離してやらないから、そのつもりでよろしく!
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(じゃあさっそく届けにサインして!)
(…えっ、今!?)
(当たり前だろ?卒業までなんて待ってられないよっ)
(ていうかなんで届けなんて持ってるのよ!?)
(言っただろ?イエス以外は聞くつもりないって)
それに、こうなることは 運命 だって分かってたからさ!
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