授業では教えてくれないこと
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「ジ、ジョージのことが、好きです!!」
ある昼下がり。昼食を早めに済ませ次の悪戯の下準備のため一人で作業をしていたところ、
赤毛の彼は見ず知らずのハッフルパフ生に捕まっていた。
「あー、それはありがとう!」
一瞬だけ片眉を下げたが、彼はすぐに満面の笑みで答えた。
ハッフルパフ生の顔がパぁ、と華やいだのを見て、彼はそのままの笑顔で続けようと、した。
「でも、残念だけ『ねぇ、』
そう。彼は言葉を続けようとしたが、
真っ直ぐと澄んだその声に遮られ失敗した。
いつの間にか彼とハッフルパフ生の間にいたその声の持ち主は声と同様に真っ直ぐな大きな瞳でハッフルパフ生を見つめていた。
ネクタイを見るにどうやらレイブンクローの生徒らしい。
『ねぇ、あなた、本当にジョージ・ウィーズリーが好きなの?』
ずいとハッフルパフ生の顔を不思議そうに覗き込んで彼女は言った。
「な、なによあんた!!勝手に入ってきて邪魔しないで」
『あ、私は邪魔をしようとしたつもりはないの。気を悪くさせたなら謝るわ』
折角の告白を邪魔され怒鳴るハッフルパフ生に彼女はそのままごめんなさいと素直に頭を下げた。
まんまと彼女のペースだ。
ハッフルパフ生が完全に呆気に取られていると、彼女は顔をあげて再びハッフルパフ生をみつめ直す。
『ただ、教えてあげようと思って、』
「はぁ!?あんたさっきっから、なにっーー!?」
『そっちじゃないわよ』
痺れを切らせたハッフルパフ生が彼女に掴みかかろうとすれば、彼女は端的に言い切った。
ハッフルパフ生は固まっていた。
こりゃ驚いたとフレッドの口からも思わず音がもれる。
やっと理解の出来たハッフルパフ生が口をぱくぱくとさせながらフレッドと彼女を交互にみやると、
フレッドは困ったように笑うしかなった。
「あー、ごめん。そういうこと」
すっかりジョージだと思い込んでいたフレッドからのその言葉に、ハッフルパフ生は一気に顔を真っ蒼にさせてそのまま走り去っていった。
『あら、私、悪いこと言ってしまったのかしら?』
ハッフルパフ生の背中を眺めながら彼女はまた不思議そうに首をかしげると
まぁ、いいかと呟いて今度はフレッドを見た。
『お楽しみのところ邪魔してごめんなさい』
それだけ言うと、彼女は小柄な身体をくるりと反転させた。
方向からして図書館へ行こうとしていたのだろう。
すっかり仕掛けていた次の悪戯よりも目の前の彼女に興味を奪われたフレッドは彼女を逃がすまいと咄嗟に声をかけた。
「ねぇ!君の名前を聞いてもいい!?」
自分にかけられた言葉だと気付いた彼女はゆっくりと振り返り丁寧に言葉を紡いだ。
『ナマエ・ミョウジ。あなたとは同学年なの。よろしくね、フレッド・ウィーズリー』
ふっと笑うナマエにフレッドはこちらこそと握手を求めた。
「そういえば君、俺と相棒の見分けがつくのかい??」
フレッドが聞けば、ナマエはんー、と顔を傾けながら口を開く。
『さすがに一目でわかったりはしないけど、』
ナマエは大きな瞳でフレッドを見つめた。
『仕草なんかをみれば、すぐわかると思うわ』
みんななんで見分けがつかないのか不思議なくらい、そうナマエが付け加えるとフレッドは嬉しそうに笑った。
「へぇ、例えばどんなところ?」
『そうね、例えば…箒に乗って飛び回るときの導線とか、
三年生の弟くんをからかうときの言い回しだとか、
悪戯道具の説明の仕方に、自慢の仕方、
それから、』
「?」
『相方と間違えられて告白されたときの対応、とか?』
その張り付けた笑顔、気持ち悪いわ、と不敵に笑う。
「へぇ、相棒とはそんなに違う?」
『少なくても私はそう思ったけど』
「そんなに俺たちを見てくれてるなんて、もしや君、俺たちの熱狂的なファンかなにかかい?」
『失礼ね』
クックと笑うフレッドに彼女はムッと目を細める。
しかし別段本気で怒っているようではなさそうだ。
私、人を観察するのが趣味なの、
そういいながら、二人の横を人が通りすぎる度 忙しなく視線を動かしているようだから、おそらく人間観察が好きなのは本当のことなのだろうとフレッドは思った。
『まぁ、あなたたちの周りはいつもにぎやかだし、見てて飽きないから、ついつい他の人達よりも意図的に目につけているのかもね』
「そりゃ、光栄だ!」
別に誉めてないわよ、と思わずナマエが笑えば
フレッドはもっともっと彼女の話が聞きたくなる。
「なぁ、他には?」
『他に?』
「ああ!俺たちの違いを分析する子なんて珍しいし、もっと聞いてみたい」
『うーん、あとは…』
面倒くさそうな声とは裏腹に、彼女は律儀に記憶を探った。
宙を仰いだり、時たまフレッドの全身を上から下から眺めたりしてみせるナマエの言葉をフレッドはわくわくしながら待っていた。
『あ、ウィンク』
「ウィンク?」
『ええ。弾けるようにウィンクをするのはあなた。
でも、片割れくんのウィンクは少しだけ、』
ナマエはフレッドの双子の弟、ジョージのウィンクを思い出していた。
斜め上に傾いた瞳がまたフレッドの方へ戻ってくると少しだけ目を細めて彼女はまた言葉を繋ぐ。
『そうね…セクシー、だわ。あの流れる目には色気を感じるの」
そのナマエの言葉に、そして表情に、フレッドの眉がぴくりと動く。
なんだか無性に面白くなくて、フレッドはナマエの腕をぐっと自身の方へ引っ張った。
『きゃ、!?』
「ならさ、」
突然身体を引き寄せられたナマエの視界には一回り大きな影が覆い被さった。
「…俺のキスは、どう?」
『は、?』
ナマエが返事をするよりも先に、フレッドは自分のソレを彼女の唇に押し付ける。
『っ…!?……!』
状況を理解しきれていないナマエをよそに、
フレッドは彼女の唇を味わうように色んな角度から何度も深くキスをした。
「ほら、しっかり分析して…」
息継ぎの間にフレッドは囁いたが
あまりにも甘すぎるその行為にナマエの思考はどんどんと真っ白に奪われていく。
『っはぁ、ーーー』
名残惜しそうにフレッドが唇を離せば、
ナマエは彼に体重を預けてゆっくりと息をついた。
「…分析、できた?」
フレッドが真っ赤に染まったナマエの耳を指先でわざとらしくなぞる。
ナマエはびくりと身体を離して、ゆっくりと口を開いた。
『…とても、』
控えめにフレッドを見上げると、
彼は意地悪な笑顔で見下ろしていた。
『その…官能的、だったわ。頭がクラクラ、する…ほど、』
「そ?そりゃ最高!」
ナマエの台詞を聞くや否や、フレッドは子供のように満足そうに笑う。
そしてまた彼女の耳をなぞって
「今の、忘れんなよ?」
と囁いた。
その顔はいつものいたずらな笑顔によく似ていたが、いつもに比べてどこか異性を強く感じるようで、ナマエが初めて知る顔だった。
だからきっとこの胸の高鳴りは
知らないものに対する知的な興奮によるものに違いないと彼女はぼんやり思った。
「さーて、たまには魔法薬学の授業でも受けてやるかなー」
未だ普段の思考を取り戻せていない彼女を残したまま、
フレッドはぐっと伸びをして歩き出したが、あ、っと声をあげては、またおもむろに戻ってきて、顔をずいと寄せてきた。
「これは相棒と比べるの禁止な!!勿論他のやつとも!!俺だけ!いいな!!」
それだけ言うと、フレッドはまた上機嫌に口笛を鳴らして廊下を歩いていった。
ナマエは暫くそんな彼の背中を見つめることしか出来なかった。
「なんで…あなたが決めるのよ…」
ようやく文句を言えたところで、彼女の顔は真っ赤なままだった。
at a later date...
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