episode8『来訪者』

episode8
『来訪者』

[part1]


ラクガキメモ
『スマホのスクリーンの色、危険度について』
画面全体が以下の3色に染まるシステム。基本的に『来訪者』のみに反応する

緑→安全だが確実に近くにいる
黄色→警戒。相手はこちらを認識している
赤→危険。敵対状態




『来訪者が侵入しました』
『推定レベル1』


この文字とアラート音、そしてスマホのスクリーンが緑色に染まる。勿論、ミストとテアは認識していない。

ミゾレ「テントの外に……いる」

ミゾレ「はぁ……」

どこか深いため息。そしてテントから離れる。

外はまだ暗闇の森。スマホ画面の緑色が世界を照らしている。それは余りにも心許ない光。

ミゾレ「《龍の眼》」

デシュウ!

スマホから探知能力を使用。しかし、反応はない。

ミゾレ「ダメか」

スマホはミゾレの右肩辺りの上て浮遊している。ミゾレは聞き耳を立てる。聞こえるのは風で木々がしなる音、葉が重なる音のみ。

目視で周囲を確認。やはり夜なのか動物すら見当たらない。
ミゾレはスマホの光を確認。緑色。

ミゾレ「相手も気づいてないね」

風の唸る音。不気味に輝く月。風により、ミゾレの白いローブがゆらゆらと揺れ動く。

ミゾレ「『サーチ&ホールド』……」

彼女はぶつぶつと呟く。

ミゾレ「『サーチ&デストロイ』……」

彼女から発する言葉を返す存在はいない。

まず、テントには人が2人。ここで交戦をするべきではないとミゾレは判断。
ゆっくりと前進。スマホ画面は緑色。とりあえず、テントが見えない距離まで音を立てずに移動する。

ミゾレ「(スマホ確認)ずっと緑色……」

つまり、『奴』が居ても安全な状態。しかし、ソレが目の前にいる可能性も……なくはない。

ミゾレ「もっとテントから距離を」

彼女は短銃を生み出し、前方の木々の頂上、テッペンにフックショットを行う。そのまま、ワイヤーに引き寄せられるように木の上に飛び立つ。

前と同じ夜空と森林地帯。しかし、上空の地平線に『赤いオーロラ』が発生している。

ミゾレ「うわ……あっち方面……やばそ」


『プィーン!プィーン!プィーン!』
『プィーン!プィーン!プィーン!』


スマホに再びアラート音と新たな文字。



『来訪者の推定レベルが1→2に引き上げられました』



ミゾレ「レベル2……」

ミゾレの顔が曇る。

ミゾレ「レベル……2かぁ……」

彼女は何故かミストとテアがコーヒーを嗜む様子が思い浮かび上がった。スマホは緑色の光。

ミゾレ「街もミスト達も……こりゃ……」

意味深な発言。すると。


『プィーン!プィーン!プィーン!』


『来訪者の推定レベルが2→1に引き下がりました』


ミゾレはスマホを凝視していると、前方夜空に見えていたオーロラが消えていた。

現在、来訪者の推定レベルは1。

ミゾレ「掠ったぐらい……か。なら2人は平気かな」

どこかホッとしているようにも見える彼女。そして木の先端から次の木の先端へとフックショット。

木の上に立つと、スマホ画面、スクリーンが黄色になった。

ミゾレ「音……だ。やっぱし」

間髪入れずにまたフックショット。場所は周囲で一番高い木の頂上。

スマホ画面が『真っ赤』になる。

ミゾレ「…………」

それは敵がこちらを認識し、敵対したという証明であった。


『コーン……コーン……コーン……コーン……』


謎の甲高い金属音が夜空に響き渡る。しかし、森や空に異変は見当たらない。


ミゾレ「『ホールド』、『デストロイ』……どっち?」


『テコン!!テコン!!』


スマホから異様な警告音が鳴り響く。

ミゾレは……動かない。

ザシュ!

彼女の胴体に黒い棘が刺さる。白いローブが赤黒く不気味に染まる。

空に舞う血飛沫と血煙。

しかし、血飛沫を一刀両断するようにミゾレは刀を横に振りかざした。


刀に手応えを感じ取る。悲鳴や断末魔はない。
そして…………目の前に黒いノイズが出現。

ミゾレ「『サーチ&デストロイ』か」

既にソレは黒いノイズに変化し漂うのみ。
すぐに黒いノイズを回収するが、

『テコン!!テコン!!』

スマホのアラート音が鳴り響く。
今度は空間から四方八方、無数の黒い手が発生。ミゾレに降りかかる!!

ミゾレ「『ホールド』もいるし………」

彼女は敢えて黒い手に招かれて歪んだ空間に囚われた。



[part2]


その空間は異様の一言では済まなかった。背景全てが『笑顔の人の顔』で埋め尽くされていた。地面や背景は人の笑顔やグリッチアートのようなバグった空間。

ミゾレはそこに立っていた。

ミゾレ「『ホールドタイプ』は異世界に影響を与えないから……」

刀と銃を生成。

ミゾレ「存分に暴れられるね」

彼女はニヤリと笑みを浮かべる。そして空間に黒い球体が次々と出現!球体には解読できない謎の文字が大量に刻まれていて生理的嫌悪が走る。

一斉に球体がミゾレに接近し、バグのようなコンピュータ音を発生させる!!

ミゾレは刀で自らの胴体を貫き、そして抜く。血の滴る刀と銃……赤黒い武器が完成。

ミゾレ「血!お前らの嫌いな奴!」

ミゾレは自身を舞うように動かし、刀を回転させて薙ぎ払うかの如く、球体達を切り裂く!!その際に更に短銃の乱射が球体を次々と壊していく!!

殲滅の束の間、すぐに大量の球体が空間から生成!ミゾレはスマホを頭上から天井付近まで浮遊操作、そして銃のフックショットをスマホに刺し込み、天井付近へ避難する!!

スマホに刺さったワイヤーでぶら下がるミゾレ。

ミゾレ「ごめん。壊すって……いいね」

口元から血が溢れている状態で笑みを浮かべる。本当は自身が『そっち(来訪者)寄り』なのを認めたくはないが、本能が闘争を求めている。

ミゾレ「ブラックノイズ(黒いノイズ)、回収させてポイントゲットや!」

そしてワイヤーを消滅させて、落下しながら嵐の如く、銃弾の雨を球体達に浴びさせた!!

球体は容赦なく破壊、消滅していく!


歪んだ笑顔塗れの狂気な空間は消滅。そして深夜の森の光景へと戻っていく。

ミゾレはスマホを確認。色は……無くなっていた。

ミゾレ「はぁ……」

自身の傷口を確認。



傷口の中は『赤黒い宇宙が広がっていた』



ミゾレ「こりゃー配信、できないね……」

ミゾレ「こんな見た目、見せたら……神様達、ドン引きでしょ……」

彼女は少し諦念の意を見せたような表情をした。



ラクガキメモ
『サーチ&ホールド』
来訪者の行動パターンその1。索敵で発生時、相手を空間に閉じ込める。そして無数の球体で相手を処理する

『サーチ&デストロイ』
来訪者の行動パターンその2。索敵で発生の際にすぐに直接攻撃を行う。反面、不可視な存在を認知させられるのでミゾレ側からすれば対処は容易

『攻撃射程圏内アラート』
G-phoneに備わる来訪者対策のシステム。来訪者の攻撃射程圏内に入ると『テコン!!テコン!!』と警告音が鳴る


episode8
END
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