ヅカとはなたか
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✵✵✵✵✵✵✵
「なぁ、ヅカ。」
「だから それ 止めろって、はなたか。」
「いや、お前も止めろよ。」
「お前が言わなけりゃ、こんな無駄な議論はしなくて済むんだが。」
さっきから、堂々巡りの会話にため息をつきながら、歩く速度を早めるが、花巻も歩調を合わせて着いて来る。
いや、『着いて来る』……は適切ではないか。
ヤツも部室棟に向かっているのだろう。
それにしても厄介な道連れが出来てしまった。
「昨日もさっきみたく貰ってたろ。
いい加減、食べ飽きたんじゃね?
それ、俺が貰ってや……」
「心配無用。
それはアンタんとこの、主将に言ってやれば?
昨日も結構貰ってたし。」
自分もこうして貰う機会は多い方だが、校内一のイケメン・及川には敵わない。
花巻、相変わらず変なとこ よく見てるな……つくづく感心する。
「及川から恵んでもらうのは、俺のプライドが許さない。」
「何だ、それ。
どんだけひねてんだよ。」
まぁ、わからんでもないがね。
鼻で笑ってやると、花巻は「お前、その鼻で笑うの止めろ」と指差してきた。
そう言えば、同じクラスになった一年の頃から言っていたな……
指摘されて以来、日頃 気を付けてはいるものの、花巻に調子狂わされるとこうして時折出てしまう。
っていうか、ここで物思いにふけっている時間はない。
今日は部室でミーティングする予定だから、早めに集合することになっていたから、急がないと……
歩くスピードを更に早め、下足棟にたどり着くとそこにこれまた厄介な輩に出くわす。
「あれ、お揃いで御出勤か、御両人。」
下駄箱からスニーカーをつまみ出している松川に遭遇。
花巻同様に厄介なヤツだ。
それにしても、花巻とワンセットにされるのは心外。
文句の一つでも言ってやらねば!
「「誰がこんなヤツと御出勤だ?!」」
ん?
自分の声に重なるように花巻の声も同時に聞こえてきた。
あっ、ヤバいと思った瞬間、松川の顔は面白いおもちゃでも見つけた子どものような笑みを浮かべる。
「あら、ヤダ~
息、ピッタリじゃん。
妬けるねぇ、御両人~」
「松川、安心しろ。
はなたかはお前に熨斗付けてくれてやる。」
「あら、そう?
サンキュー、 平岩。」
満更でもないって顔で礼を言う松川、靴を履き替える花巻を尻目に急いで部室棟に向かう。
これ以上、ペースを乱されては敵わない。
このままじゃ、ツキまで落ちそうだ。
✵✵✵✵✵✵✵
「今年の文化祭の出し物だけど、急遽 男バレと合同でカフェを出店することになったから。」
女子バレー部 主将のリサ(ポジション:S)がホワイトボードにコロコロの丸文字で書いた内容に部員達の目が点になる。
『執事★メイドカフェ』
何だ、その星は……
っていうか、その前に何故 今年も合同?
去年も経費の関係で男バレと合同で演劇『ロミオとジュリエット』をやったのに、今年も?!
その瞬間、全身の力が抜け、すぐ横にあった柱に頭を強打。
そんな状況を気にも止めず、部員達はキャッキャと歓声を挙げてはしゃぐ。
「及川先輩の執事姿、間近で拝める!!」
「もう、たまらんっ!!」
「「「リサ先輩、最高でぇーすっ!!!」」」
去年は先輩達の一存で決定していたから、渋々参加(ティボルト役ですぐ死亡)させられ、及川 に散々 敵視されたけど……
今年は個人的に波風も立たない模擬店(たこ焼きとか)の方向で進める予定だったのに。
副主将の自分に何の相談もなく、とんでもない事態が進んでいたことにショックを受け、抗議の声も挙げられない。
「平岩先輩、大丈夫ですか?
顔色、悪いんですけど……」
周りにいた後輩が黙りこくっている自分の様子に気付き、心配したように声を掛けてきた。
「ああ。
っていうか、皆 浮かれてるけど、自分ら メイドの格好すんの 忘れてない?」
あれだけ騒がしかった部室内が水を打ったように静まったかと思ったら、部員達は一斉に肩を落として阿鼻叫喚。
及川の執事姿にばかり気を取られ、自分達がメイドの格好をするのは頭になかった様子……
うちの部員は本当に呑気な人間ばかりだ。
「大丈夫よ、皆っ!
客の目的は及川の執事姿目的だから、私達のメイド姿なんて眼中にないわよ。」
自信満々に胸を張るリサの言葉に納得する者もいたが、
「えっ、でも何か悔しくない?」
「及川、また調子に乗るよね~
繁盛してるのは自分のお陰だって威張り倒すわよ。」
「そーそー。
おまけに及川ファンから、目の敵にされかねないし。」
及川のウザさを知る3年は「今年こそは男バレに一糸報いたい!」と騒ぎ始める始末。
そんな状況の中、誰かが、
「でも、うちらには夏乃がいるじゃん!
うちらが太刀打ち出来なくても、 夏乃が対抗して執事やれば 及川自滅するんじゃね?」
等とバカな事を言い始めた。
すると、部員が一斉にこちらに視線を向ける。
「ちょっと待て。
今年は裏方やりたい。
毎年、及川に因縁付けられるし、今年は高校最後の文化祭だしさ、勘弁してほしいんだけど。」
その途端、部室内からブーイングが起こり、収拾がつかないカオスな状態になっていく。
どうしようもない雰囲気の中、突然 リサがホワイトボードを叩きながら、
「しぃ、ずぅ、かぁ、にっ!!」
凄い形相で睨み付けると、一瞬にして騒ぎが治まった。
滅多に怒る事のないのリサが試合でもないのに大きな声を挙げるなんて普通じゃない……
部員達は息を呑み、一斉に注目する。
「今回は残念ながら夏乃に男装はさせられないの。
及川から、女バレはメイド以外、全員 サポートに回ってくれって言われて。」
いつも男バレと揉めた時や今回のような行事があった時に真っ先に静かな対抗心燃やすリサが、珍しく及川からの条件を受け入れたようだ。
それもそのはず。
うちの学校は部活動の成績、校内行事に貢献した部に対して、来年度の予算を多めに支給するという独特のシステムがあり、運動部・文化部関係無く 自然と盛り上がる。
去年は及川人気にあやかった事もあり、うちの部費も前年度より多く支給されていた。
主将のリサとしては後輩達が活動するに充分な来年度の予算獲得する為、今年も渋々男バレと手を組まざるを得なかったのだろう。
「今回、メイドになる者と裏方で紅茶・軽食やお菓子を用意する者とで分けるから。
あ、メイドになりたい者は立候補してくれて構わないから、後で申し出て。
メンバーが集まらなかったら、その時は個人的に声掛けるのでよろしく。
じゃ、練習始めるから、体育館に移動して!」
「なぁ、ヅカ。」
「だから それ 止めろって、はなたか。」
「いや、お前も止めろよ。」
「お前が言わなけりゃ、こんな無駄な議論はしなくて済むんだが。」
さっきから、堂々巡りの会話にため息をつきながら、歩く速度を早めるが、花巻も歩調を合わせて着いて来る。
いや、『着いて来る』……は適切ではないか。
ヤツも部室棟に向かっているのだろう。
それにしても厄介な道連れが出来てしまった。
「昨日もさっきみたく貰ってたろ。
いい加減、食べ飽きたんじゃね?
それ、俺が貰ってや……」
「心配無用。
それはアンタんとこの、主将に言ってやれば?
昨日も結構貰ってたし。」
自分もこうして貰う機会は多い方だが、校内一のイケメン・及川には敵わない。
花巻、相変わらず変なとこ よく見てるな……つくづく感心する。
「及川から恵んでもらうのは、俺のプライドが許さない。」
「何だ、それ。
どんだけひねてんだよ。」
まぁ、わからんでもないがね。
鼻で笑ってやると、花巻は「お前、その鼻で笑うの止めろ」と指差してきた。
そう言えば、同じクラスになった一年の頃から言っていたな……
指摘されて以来、日頃 気を付けてはいるものの、花巻に調子狂わされるとこうして時折出てしまう。
っていうか、ここで物思いにふけっている時間はない。
今日は部室でミーティングする予定だから、早めに集合することになっていたから、急がないと……
歩くスピードを更に早め、下足棟にたどり着くとそこにこれまた厄介な輩に出くわす。
「あれ、お揃いで御出勤か、御両人。」
下駄箱からスニーカーをつまみ出している松川に遭遇。
花巻同様に厄介なヤツだ。
それにしても、花巻とワンセットにされるのは心外。
文句の一つでも言ってやらねば!
「「誰がこんなヤツと御出勤だ?!」」
ん?
自分の声に重なるように花巻の声も同時に聞こえてきた。
あっ、ヤバいと思った瞬間、松川の顔は面白いおもちゃでも見つけた子どものような笑みを浮かべる。
「あら、ヤダ~
息、ピッタリじゃん。
妬けるねぇ、御両人~」
「松川、安心しろ。
はなたかはお前に熨斗付けてくれてやる。」
「あら、そう?
サンキュー、 平岩。」
満更でもないって顔で礼を言う松川、靴を履き替える花巻を尻目に急いで部室棟に向かう。
これ以上、ペースを乱されては敵わない。
このままじゃ、ツキまで落ちそうだ。
✵✵✵✵✵✵✵
「今年の文化祭の出し物だけど、急遽 男バレと合同でカフェを出店することになったから。」
女子バレー部 主将のリサ(ポジション:S)がホワイトボードにコロコロの丸文字で書いた内容に部員達の目が点になる。
『執事★メイドカフェ』
何だ、その星は……
っていうか、その前に何故 今年も合同?
去年も経費の関係で男バレと合同で演劇『ロミオとジュリエット』をやったのに、今年も?!
その瞬間、全身の力が抜け、すぐ横にあった柱に頭を強打。
そんな状況を気にも止めず、部員達はキャッキャと歓声を挙げてはしゃぐ。
「及川先輩の執事姿、間近で拝める!!」
「もう、たまらんっ!!」
「「「リサ先輩、最高でぇーすっ!!!」」」
去年は先輩達の一存で決定していたから、渋々参加(ティボルト役ですぐ死亡)させられ、
今年は個人的に波風も立たない模擬店(たこ焼きとか)の方向で進める予定だったのに。
副主将の自分に何の相談もなく、とんでもない事態が進んでいたことにショックを受け、抗議の声も挙げられない。
「平岩先輩、大丈夫ですか?
顔色、悪いんですけど……」
周りにいた後輩が黙りこくっている自分の様子に気付き、心配したように声を掛けてきた。
「ああ。
っていうか、皆 浮かれてるけど、自分ら メイドの格好すんの 忘れてない?」
あれだけ騒がしかった部室内が水を打ったように静まったかと思ったら、部員達は一斉に肩を落として阿鼻叫喚。
及川の執事姿にばかり気を取られ、自分達がメイドの格好をするのは頭になかった様子……
うちの部員は本当に呑気な人間ばかりだ。
「大丈夫よ、皆っ!
客の目的は及川の執事姿目的だから、私達のメイド姿なんて眼中にないわよ。」
自信満々に胸を張るリサの言葉に納得する者もいたが、
「えっ、でも何か悔しくない?」
「及川、また調子に乗るよね~
繁盛してるのは自分のお陰だって威張り倒すわよ。」
「そーそー。
おまけに及川ファンから、目の敵にされかねないし。」
及川のウザさを知る3年は「今年こそは男バレに一糸報いたい!」と騒ぎ始める始末。
そんな状況の中、誰かが、
「でも、うちらには夏乃がいるじゃん!
うちらが太刀打ち出来なくても、 夏乃が対抗して執事やれば 及川自滅するんじゃね?」
等とバカな事を言い始めた。
すると、部員が一斉にこちらに視線を向ける。
「ちょっと待て。
今年は裏方やりたい。
毎年、及川に因縁付けられるし、今年は高校最後の文化祭だしさ、勘弁してほしいんだけど。」
その途端、部室内からブーイングが起こり、収拾がつかないカオスな状態になっていく。
どうしようもない雰囲気の中、突然 リサがホワイトボードを叩きながら、
「しぃ、ずぅ、かぁ、にっ!!」
凄い形相で睨み付けると、一瞬にして騒ぎが治まった。
滅多に怒る事のないのリサが試合でもないのに大きな声を挙げるなんて普通じゃない……
部員達は息を呑み、一斉に注目する。
「今回は残念ながら夏乃に男装はさせられないの。
及川から、女バレはメイド以外、全員 サポートに回ってくれって言われて。」
いつも男バレと揉めた時や今回のような行事があった時に真っ先に静かな対抗心燃やすリサが、珍しく及川からの条件を受け入れたようだ。
それもそのはず。
うちの学校は部活動の成績、校内行事に貢献した部に対して、来年度の予算を多めに支給するという独特のシステムがあり、運動部・文化部関係無く 自然と盛り上がる。
去年は及川人気にあやかった事もあり、うちの部費も前年度より多く支給されていた。
主将のリサとしては後輩達が活動するに充分な来年度の予算獲得する為、今年も渋々男バレと手を組まざるを得なかったのだろう。
「今回、メイドになる者と裏方で紅茶・軽食やお菓子を用意する者とで分けるから。
あ、メイドになりたい者は立候補してくれて構わないから、後で申し出て。
メンバーが集まらなかったら、その時は個人的に声掛けるのでよろしく。
じゃ、練習始めるから、体育館に移動して!」