雲ゆき
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◇◇◇◇◇◇◇
今から3年前……
『黒尾くん、好きです。
つ……付き合ってください!』
中3の卒業式間際、体育館裏……
同じクラスだった鉄朗に意を決して告白した。
彼は公立、そして 私立の女子高へ進学する私……
仲の良い友達とはいえ、卒業後は特別な接点がなければ会えない。
遠慮して会わずにいれば、自分の知らぬ内に彼女が出来たら……どうしよう。
そう思ったら、居ても立ってもいられなくて。
だが、私の告白を聞いた鉄朗は少し考え込み、
『俺、これからもバレー続けるから、今までみたいに休みもないし、遊びに行ったり出来ねぇけど……
夏乃はそれでもいいの?』
告白に答えることもなく、こう言った。
互いに通う学校は距離があり、頻繁に会えそうにないだろう。
その上、彼は部活で放課後デートや休日にどこかへ遊びに行くことが簡単に出来ない。
でも、私は……彼と一緒にいられたら、そんなの どうでも良かった。
『それでもいい。
黒尾くんと離れたくない。』
こんな一方的な想い、断られるかも……
不安で泣きながらそう答えると、
『わかった。
付き合おう。』
彼はいつものようにニッと笑って、私の震える手を優しく掴んでくれた。
あの時はすごく嬉しくて、これから先もあの時の気持ちのまま……
彼の隣に『彼女』として ずっといられるんだって思っていた、
……昨日までは。
今日だって、鉄朗と会える。
日曜日のデートのことを考えるだけでいろんなことを我慢出来たし、頑張ろうと思えたのに……
◇◇◇◇◇◇◇
「……それでこれからどうする?」
あれから、1時間経過。
すっぴんだった親友の顔には美しく化粧が施された。
「ねぇ、電話してみたら?」
「しない。
多分、寝てる。」
今、話なんてしたら、何を言ってしまうか わからない。
彼の言葉を承諾したのは私。
ある意味、これは自己責任の範疇で、今更 彼に文句なんて言えるはずもない。
「ふーん、私なら文句言わなきゃ気が済まないけど……
夏乃は優しいね。」
『優しい』?
「そんなことないよ。」
ただ……鉄朗と面と向かって話すのが怖いだけ。
今の気持ちを口に出してしまったら、いろんなものが一斉に溢れて壊れてしまうから。
「……話、聞いてもらえるだけで少し楽になった。
本当にありがとう。」
家に帰ろう。
何だか、どっと疲れてしまった。
◇◇◇◇◇◇◇
親友宅から、駅に向かう。
雨は数時間前より小降りにはなったが、空はまだどす黒い雲で覆われている。
まだまだ止みそうにない。
「はぁ……」
しばらく歩くと、駅に隣接するショッピングモールに近付いていた。
そこから駅構内に行ける為、雨を避けようとする人々が入口に向かって行く。
私もそこへ向かおうとした途端、ポケットから着信を報せる音楽が聞こえる。
『……もしもし?』
モールの出入口、邪魔にならない軒下へ移動し、スマホを耳に当てるといつもより弱々しい鉄朗の声が聞こえてきた。
私の様子を窺っているらしい。
「もしもし……」
これ以上、喋ると泣いてしまうかも……
そう思っていたけど、
「今まで寝てたんでしょ?
ははっ……やっぱり……
え?
あ……これから?
……もう遅いし、明日 学校だから、止めておこう。
うん……じゃあね。」
意外に冷静でいられた。
今から3年前……
『黒尾くん、好きです。
つ……付き合ってください!』
中3の卒業式間際、体育館裏……
同じクラスだった鉄朗に意を決して告白した。
彼は公立、そして 私立の女子高へ進学する私……
仲の良い友達とはいえ、卒業後は特別な接点がなければ会えない。
遠慮して会わずにいれば、自分の知らぬ内に彼女が出来たら……どうしよう。
そう思ったら、居ても立ってもいられなくて。
だが、私の告白を聞いた鉄朗は少し考え込み、
『俺、これからもバレー続けるから、今までみたいに休みもないし、遊びに行ったり出来ねぇけど……
夏乃はそれでもいいの?』
告白に答えることもなく、こう言った。
互いに通う学校は距離があり、頻繁に会えそうにないだろう。
その上、彼は部活で放課後デートや休日にどこかへ遊びに行くことが簡単に出来ない。
でも、私は……彼と一緒にいられたら、そんなの どうでも良かった。
『それでもいい。
黒尾くんと離れたくない。』
こんな一方的な想い、断られるかも……
不安で泣きながらそう答えると、
『わかった。
付き合おう。』
彼はいつものようにニッと笑って、私の震える手を優しく掴んでくれた。
あの時はすごく嬉しくて、これから先もあの時の気持ちのまま……
彼の隣に『彼女』として ずっといられるんだって思っていた、
……昨日までは。
今日だって、鉄朗と会える。
日曜日のデートのことを考えるだけでいろんなことを我慢出来たし、頑張ろうと思えたのに……
◇◇◇◇◇◇◇
「……それでこれからどうする?」
あれから、1時間経過。
すっぴんだった親友の顔には美しく化粧が施された。
「ねぇ、電話してみたら?」
「しない。
多分、寝てる。」
今、話なんてしたら、何を言ってしまうか わからない。
彼の言葉を承諾したのは私。
ある意味、これは自己責任の範疇で、今更 彼に文句なんて言えるはずもない。
「ふーん、私なら文句言わなきゃ気が済まないけど……
夏乃は優しいね。」
『優しい』?
「そんなことないよ。」
ただ……鉄朗と面と向かって話すのが怖いだけ。
今の気持ちを口に出してしまったら、いろんなものが一斉に溢れて壊れてしまうから。
「……話、聞いてもらえるだけで少し楽になった。
本当にありがとう。」
家に帰ろう。
何だか、どっと疲れてしまった。
◇◇◇◇◇◇◇
親友宅から、駅に向かう。
雨は数時間前より小降りにはなったが、空はまだどす黒い雲で覆われている。
まだまだ止みそうにない。
「はぁ……」
しばらく歩くと、駅に隣接するショッピングモールに近付いていた。
そこから駅構内に行ける為、雨を避けようとする人々が入口に向かって行く。
私もそこへ向かおうとした途端、ポケットから着信を報せる音楽が聞こえる。
『……もしもし?』
モールの出入口、邪魔にならない軒下へ移動し、スマホを耳に当てるといつもより弱々しい鉄朗の声が聞こえてきた。
私の様子を窺っているらしい。
「もしもし……」
これ以上、喋ると泣いてしまうかも……
そう思っていたけど、
「今まで寝てたんでしょ?
ははっ……やっぱり……
え?
あ……これから?
……もう遅いし、明日 学校だから、止めておこう。
うん……じゃあね。」
意外に冷静でいられた。