また会う日まで
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「バーカ。
手伝うって、俺から言ったろ。
稽古も休みたかったから、休んだだけ。
つばさが気にすることじゃない。」
気が抜けたのか、ガクちゃんは素っ気無い返事をしたっきり、黙り込む。
腹一杯で眠たくなったのだろうか?
「そうかもしれないけど、本当に助かった。」
私達は 約四年、傍にいた。
演劇サークルで稽古や芝居をしたり、
嫌っていうほど 口喧嘩や仲直りを繰り返したり、
母のことで辛いときは何も言わずに一緒にいてくれたし、
時々 放課後待ち合わせて勉強を教えてもらったり……
困ったとき、大変なときは こうして手を貸してくれた。
だが、そんな彼は明日から隣にいない。
これからは一人で頑張らないと……
宮城に行くときから、わかりきっていたことなのに、今になってじわじわ実感し始める。
「ガクちゃん。」
「何。」
ガクちゃんはつれない返事をしたっきり、バスが来る方向をじっと見つめたまま 微動だにしない。
車が通り過ぎる度にヘッドライトの光が闇に包まれた彼の輪郭を浮き上がらせる。
いつもと同じ後ろ姿なのに、それはどことなく寂しげに見えた。
「ガクちゃんがいつも一緒にいてくれて、本当に良かった。」
親友だから、今までちゃんとしたお礼なんて言ったことなかった。
多分、「柄にもないこと言うな」 とか言われそうだけど、きちんと伝えておきたかった。
「今までこんな私と一緒にいてくれて、本当にありがとう。」
そっぽ向いているガクちゃんに私は深く頭を下げた。
その瞬間、後頭部に軽い衝撃を受ける。
ふと顔を上げると、呆れた顔をした彼が拳を握り締めていた。
恐らく、あれで頭を小突かれたのだろう。
「えっ?」
ちょっと待て。
私、何か悪いことしたか?
今の発言の中で、彼の地雷となるような言葉はなかったはず。
小突かなくてもいいよね?
カッと頭に血が上ったが、それを堪えて理由を尋ねようとした途端、
「うわっ!」
今度は頭をわしゃわしゃと撫でつけられ、綺麗に纏めていたお団子が乱れて金色の髪がはらりと顔に掛かる。
「ちょっ……ガクちゃん!
勘弁してよ。
髪がぐちゃぐちゃに……」
「もう、なってる……ははっ!」
上体を起こして視線を彼に向けると、さっきまでの表情から一変、満足そうに笑っている。
「ははっ、じゃない!!
人が真面目に話しているのに……」
誰のせいでこんなことになったか、わかってない!
乱れた髪を直しながら、面白がるガクちゃんを睨みつけると、
「そんな挨拶すんな。
お前のせいでフラグが立つ。」
意味不明な言葉を呟いた。
「フラグ?」
何のことを言っているのか?
理解出来ずに聞き返すと、急に不満げな表情に変わり、
「つばさ、今日で俺に会うの、最後とか思ってるだろ?
あんなこと口にして、本当になったら どうすんだよ!」
いつもより低い声で吐き捨てるように言った。
「俺はそんなつもりないのに、つばさはどうして勝手に離れようとすんだ?」
一瞬、突き付けられた言葉の意味がわからず、言われた内容を頭の中で繰り返す。
何度目かで漸く理解した途端、目頭がじんわり熱くなった。
「そっ……そんなつもりじゃ……」
私は、ここから離れる前に、ただ 感謝の気持ちを伝えたかっただけなのに……
無意識にガクちゃんと距離を置こうとしていたのだろうか。
「わかってるよ。
つばさのことだから、俺に『連絡すると迷惑かも』 とか、『東京に戻れないから』 とか思っていたんだろうけど。
深刻に考え過ぎ。」
手伝うって、俺から言ったろ。
稽古も休みたかったから、休んだだけ。
つばさが気にすることじゃない。」
気が抜けたのか、ガクちゃんは素っ気無い返事をしたっきり、黙り込む。
腹一杯で眠たくなったのだろうか?
「そうかもしれないけど、本当に助かった。」
私達は 約四年、傍にいた。
演劇サークルで稽古や芝居をしたり、
嫌っていうほど 口喧嘩や仲直りを繰り返したり、
母のことで辛いときは何も言わずに一緒にいてくれたし、
時々 放課後待ち合わせて勉強を教えてもらったり……
困ったとき、大変なときは こうして手を貸してくれた。
だが、そんな彼は明日から隣にいない。
これからは一人で頑張らないと……
宮城に行くときから、わかりきっていたことなのに、今になってじわじわ実感し始める。
「ガクちゃん。」
「何。」
ガクちゃんはつれない返事をしたっきり、バスが来る方向をじっと見つめたまま 微動だにしない。
車が通り過ぎる度にヘッドライトの光が闇に包まれた彼の輪郭を浮き上がらせる。
いつもと同じ後ろ姿なのに、それはどことなく寂しげに見えた。
「ガクちゃんがいつも一緒にいてくれて、本当に良かった。」
親友だから、今までちゃんとしたお礼なんて言ったことなかった。
多分、「柄にもないこと言うな」 とか言われそうだけど、きちんと伝えておきたかった。
「今までこんな私と一緒にいてくれて、本当にありがとう。」
そっぽ向いているガクちゃんに私は深く頭を下げた。
その瞬間、後頭部に軽い衝撃を受ける。
ふと顔を上げると、呆れた顔をした彼が拳を握り締めていた。
恐らく、あれで頭を小突かれたのだろう。
「えっ?」
ちょっと待て。
私、何か悪いことしたか?
今の発言の中で、彼の地雷となるような言葉はなかったはず。
小突かなくてもいいよね?
カッと頭に血が上ったが、それを堪えて理由を尋ねようとした途端、
「うわっ!」
今度は頭をわしゃわしゃと撫でつけられ、綺麗に纏めていたお団子が乱れて金色の髪がはらりと顔に掛かる。
「ちょっ……ガクちゃん!
勘弁してよ。
髪がぐちゃぐちゃに……」
「もう、なってる……ははっ!」
上体を起こして視線を彼に向けると、さっきまでの表情から一変、満足そうに笑っている。
「ははっ、じゃない!!
人が真面目に話しているのに……」
誰のせいでこんなことになったか、わかってない!
乱れた髪を直しながら、面白がるガクちゃんを睨みつけると、
「そんな挨拶すんな。
お前のせいでフラグが立つ。」
意味不明な言葉を呟いた。
「フラグ?」
何のことを言っているのか?
理解出来ずに聞き返すと、急に不満げな表情に変わり、
「つばさ、今日で俺に会うの、最後とか思ってるだろ?
あんなこと口にして、本当になったら どうすんだよ!」
いつもより低い声で吐き捨てるように言った。
「俺はそんなつもりないのに、つばさはどうして勝手に離れようとすんだ?」
一瞬、突き付けられた言葉の意味がわからず、言われた内容を頭の中で繰り返す。
何度目かで漸く理解した途端、目頭がじんわり熱くなった。
「そっ……そんなつもりじゃ……」
私は、ここから離れる前に、ただ 感謝の気持ちを伝えたかっただけなのに……
無意識にガクちゃんと距離を置こうとしていたのだろうか。
「わかってるよ。
つばさのことだから、俺に『連絡すると迷惑かも』 とか、『東京に戻れないから』 とか思っていたんだろうけど。
深刻に考え過ぎ。」