これは恋ではない
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岩泉くんと話すことなんて、もうないだろう。
あれが最後だ。
そう思っていた。
それなのに……
私の幸運はまだ続いている。
あれから3日後、突然の席替えで私と彼の席は前後になったのだ。
「平岩、さっきの訳 聞き取れたか?」
休憩時間、後ろから岩泉くんに背中をつつかれる。
それがちょっとくすぐったい。
「何とか……」
「じゃ、ちょっとノート見せてくれ。
俺、ついてけなくて途中から書くのやめちまった……」
私達のクラスを担当する英語教師は喋り始めると次第に熱中し、早口になる傾向がある。
本人は自覚してないのか……
授業後半はそのピークで、少しでも集中を乱すと最後はついていけなくなる。
今回の岩泉くんのように。
「あ、でも……凄く字が汚くて……」
ミミズが這ったような字だ。
好きな人の役には立ちたいが、この字を見せたいとは思わない。
今回は丁重にお断りしようと後方を振り返ると、
「いいって。
多分、俺の方が酷いべ。
ほれ……」
岩泉くんは笑顔でそう言い、私に向かってノートを見せつける。
確かにお世辞にも綺麗とは言えないが、似たような物だ。
「お、同じレベルかと……」
「そうか?
ちょっと貸してみろよ。
いや……平岩の方が綺麗だし、余裕で読める。」
この……誉め上手。
断れなくなるじゃないか!
「サンキュ。
これ、放課後までには返す。」
私は最終的にノートを貸すことになった。
こんなことになるなら、最初から見せることを意識して書けば良かった……
だが、後悔しても もう遅い。
◇◇◇◇◇◇◇
本日、日直だった岩泉くん。
休憩時間も黒板を消したり、担任に頼まれた仕事をこなしたりと慌ただしい。
私のノートを「放課後には返す」と言っていたけど、それどころじゃ無さそうだ。
恐らく、ノートなんか写せてないだろう……
ホームルームを終えた教室、帰宅する生徒で騒がしい中、
「岩泉くん、ノートは明日でもいいよ。」
後ろを振り返りながら、そう告げると、
「えっ、いいのか?」
彼は日誌を書いていた手を止める。
「どうぞ。
だって、これからそれ書いて……部活でしょ?
ノートなんて書いてたら、遅くなるし。」
それにもうそろそろ、お迎えがくるはず。
その前に邪魔者は消えておかないと……
「悪いな。
明日、返すから。」
そうこうしてる間に教室入口に亜沙美が姿を見せ、私に手招きをする。
今日はこの後、予定があって……
二人で一緒にケーキバイキングに行くことになっていた。
「気にしないで、それじゃ。」
岩泉くんと別れ、亜沙美のいる入口に近付いていると向かいからやって来た人とぶつかりそうになる。
ふと顔をあげるとそれは端正なお顔の及川くんだった。
「あっ、すみません……」
ぶつかってはないのだが、一言謝った方がいいかと思い、軽く会釈をする。
一瞬、視線が合った……
そんな気がしたが、彼は冷たい眼差しで一瞥をくれるも何事もなかったように教室へと入っていく。
まるで私の存在など初めから無いと言わんばかり……
そして、次の瞬間、
「いーわーちゃーん、部活いこーっ!」
どこから出るのか、可愛らしい声で日誌を書いている岩泉くんに声を掛けた。
あれが最後だ。
そう思っていた。
それなのに……
私の幸運はまだ続いている。
あれから3日後、突然の席替えで私と彼の席は前後になったのだ。
「平岩、さっきの訳 聞き取れたか?」
休憩時間、後ろから岩泉くんに背中をつつかれる。
それがちょっとくすぐったい。
「何とか……」
「じゃ、ちょっとノート見せてくれ。
俺、ついてけなくて途中から書くのやめちまった……」
私達のクラスを担当する英語教師は喋り始めると次第に熱中し、早口になる傾向がある。
本人は自覚してないのか……
授業後半はそのピークで、少しでも集中を乱すと最後はついていけなくなる。
今回の岩泉くんのように。
「あ、でも……凄く字が汚くて……」
ミミズが這ったような字だ。
好きな人の役には立ちたいが、この字を見せたいとは思わない。
今回は丁重にお断りしようと後方を振り返ると、
「いいって。
多分、俺の方が酷いべ。
ほれ……」
岩泉くんは笑顔でそう言い、私に向かってノートを見せつける。
確かにお世辞にも綺麗とは言えないが、似たような物だ。
「お、同じレベルかと……」
「そうか?
ちょっと貸してみろよ。
いや……平岩の方が綺麗だし、余裕で読める。」
この……誉め上手。
断れなくなるじゃないか!
「サンキュ。
これ、放課後までには返す。」
私は最終的にノートを貸すことになった。
こんなことになるなら、最初から見せることを意識して書けば良かった……
だが、後悔しても もう遅い。
◇◇◇◇◇◇◇
本日、日直だった岩泉くん。
休憩時間も黒板を消したり、担任に頼まれた仕事をこなしたりと慌ただしい。
私のノートを「放課後には返す」と言っていたけど、それどころじゃ無さそうだ。
恐らく、ノートなんか写せてないだろう……
ホームルームを終えた教室、帰宅する生徒で騒がしい中、
「岩泉くん、ノートは明日でもいいよ。」
後ろを振り返りながら、そう告げると、
「えっ、いいのか?」
彼は日誌を書いていた手を止める。
「どうぞ。
だって、これからそれ書いて……部活でしょ?
ノートなんて書いてたら、遅くなるし。」
それにもうそろそろ、お迎えがくるはず。
その前に邪魔者は消えておかないと……
「悪いな。
明日、返すから。」
そうこうしてる間に教室入口に亜沙美が姿を見せ、私に手招きをする。
今日はこの後、予定があって……
二人で一緒にケーキバイキングに行くことになっていた。
「気にしないで、それじゃ。」
岩泉くんと別れ、亜沙美のいる入口に近付いていると向かいからやって来た人とぶつかりそうになる。
ふと顔をあげるとそれは端正なお顔の及川くんだった。
「あっ、すみません……」
ぶつかってはないのだが、一言謝った方がいいかと思い、軽く会釈をする。
一瞬、視線が合った……
そんな気がしたが、彼は冷たい眼差しで一瞥をくれるも何事もなかったように教室へと入っていく。
まるで私の存在など初めから無いと言わんばかり……
そして、次の瞬間、
「いーわーちゃーん、部活いこーっ!」
どこから出るのか、可愛らしい声で日誌を書いている岩泉くんに声を掛けた。