引っ越し前夜
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
慌てて台車の向きを真っ直ぐ戻し、その後すぐ 彼に謝った。
ショートヘアで心機一転か。
中途半端な自分に別れを告げるには、ちょうどいいかもしれない。
いろんなものと一緒に、バッサリと断ち切ってしまおう。
「イメチェンして、イケメン ゲットだぜっ。」
某アニメの主人公の口真似をし、口角をわざとらしくキュッと引き上げてみる。
「おい、それ 似てないから止めろ。」
前向きモード切り替え中、ガクちゃんから突っ込まれる。
ふと顔を上げると、いつもの鋭い目付きで私を睨みつけ、
「あと、下手な韻 踏むな。
それにイケメンって、お子様のつばさには百年早い!
宮城にいるイケメン達に大迷惑だ。」
綺麗な顔からは想像出来ない言葉を平気で吐く。
「そっちこそ、何言っているんですか?
その上から目線、大概にしてくださいよ。」
「上から目線って……
つばさも同じようなもんだろ?
まぁ、向こうで皆に嫌われないように精々頑張りな。」
いつも以上だけど、彼の悪態をつく姿が見れてホッとした。
「ありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとうございました!」
店員さんに台車を借りた礼を言うと、私達はコンビニを後にした。
辺りはすっかり日も暮れて、いつの間にか 歩道脇の街頭が灯っている。
「荷物、一緒に出してくれてありがとうね。」
衣類や日用品をコンパクトにまとめたといえども、段ボール5箱。
一人で運ぶにしても、コンビニ一往復で済むはずがない。
ガクちゃんからの申し出を遠慮せずに受けて良かった。
そんなことを考えつつ、受け取った伝票をポケットに入れようとした途端、隣にいたガクちゃんが私の腕を掴んだ。
不思議に思い、彼を見上げると眉間に深い皺を寄せ、思い詰めた表情をしている。
「ガクちゃん?」
どうして、そんな顔しているのだろう?
……そんな言葉が喉元まで出かかった瞬間、
「それ……一枚くれよ。」
予想外の言葉が聞こえた。
「えっ、これっ……伝票?」
彼は掴んでいた腕を離しながら、ゆっくりと頷く。
「……駄目か?」
柄にもなく不安げに覗き込むから、無言で立ち尽くす。
伝票欲しいって、何に使うのだろう?
ここに書いてあることって、私の名前と宮城の祖父宅の住所と電話番号だ。
「もしかして、個人情報 悪用す……」
「するわけないだろ!
バカつばさ。
オレオレとか、イタ電とか、ピザ勝手に注文とか、絶対にしない!」
流石、親友だ。
私の考えていたことを全て一気に否定する。
その必死な様に笑いが込み上げてきた。
「わかった。
ガクちゃんがそこまで言うなら、差し上げましょう。」
ショートヘアで心機一転か。
中途半端な自分に別れを告げるには、ちょうどいいかもしれない。
いろんなものと一緒に、バッサリと断ち切ってしまおう。
「イメチェンして、イケメン ゲットだぜっ。」
某アニメの主人公の口真似をし、口角をわざとらしくキュッと引き上げてみる。
「おい、それ 似てないから止めろ。」
前向きモード切り替え中、ガクちゃんから突っ込まれる。
ふと顔を上げると、いつもの鋭い目付きで私を睨みつけ、
「あと、下手な韻 踏むな。
それにイケメンって、お子様のつばさには百年早い!
宮城にいるイケメン達に大迷惑だ。」
綺麗な顔からは想像出来ない言葉を平気で吐く。
「そっちこそ、何言っているんですか?
その上から目線、大概にしてくださいよ。」
「上から目線って……
つばさも同じようなもんだろ?
まぁ、向こうで皆に嫌われないように精々頑張りな。」
いつも以上だけど、彼の悪態をつく姿が見れてホッとした。
「ありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとうございました!」
店員さんに台車を借りた礼を言うと、私達はコンビニを後にした。
辺りはすっかり日も暮れて、いつの間にか 歩道脇の街頭が灯っている。
「荷物、一緒に出してくれてありがとうね。」
衣類や日用品をコンパクトにまとめたといえども、段ボール5箱。
一人で運ぶにしても、コンビニ一往復で済むはずがない。
ガクちゃんからの申し出を遠慮せずに受けて良かった。
そんなことを考えつつ、受け取った伝票をポケットに入れようとした途端、隣にいたガクちゃんが私の腕を掴んだ。
不思議に思い、彼を見上げると眉間に深い皺を寄せ、思い詰めた表情をしている。
「ガクちゃん?」
どうして、そんな顔しているのだろう?
……そんな言葉が喉元まで出かかった瞬間、
「それ……一枚くれよ。」
予想外の言葉が聞こえた。
「えっ、これっ……伝票?」
彼は掴んでいた腕を離しながら、ゆっくりと頷く。
「……駄目か?」
柄にもなく不安げに覗き込むから、無言で立ち尽くす。
伝票欲しいって、何に使うのだろう?
ここに書いてあることって、私の名前と宮城の祖父宅の住所と電話番号だ。
「もしかして、個人情報 悪用す……」
「するわけないだろ!
バカつばさ。
オレオレとか、イタ電とか、ピザ勝手に注文とか、絶対にしない!」
流石、親友だ。
私の考えていたことを全て一気に否定する。
その必死な様に笑いが込み上げてきた。
「わかった。
ガクちゃんがそこまで言うなら、差し上げましょう。」