これは恋ではない
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『好きだ』
一年前、親友・亜沙美の付き添いで見に行ったバレーの試合……
二年生なのに既にレギュラー入りしている彼は、次期エースと言われ(親友曰く)、高く聳えるブロックにもめげることなく打ち破っていく。
「ッツシャーーー!!」
その気迫、力強さ……
彼のプレーを見てから、私 平岩 夏乃の中にその感情が芽生えた。
「凄い……あの人。」
「ん?
今、スパイク決めた人?!」
「そう……」
「あー、隣のクラスの岩泉くんだよ。」
「岩泉……くん。」
同じ学校、同級生だったにも関わらず、彼のことを何一つ知らなかった私。
それがきっかけで、亜沙美を通じて彼のことを調べ始めた。
私が彼の試合を観戦して季節は巡り、高三の春が訪れ……
念願叶って、彼と同じクラスになれた。
普段の学校生活を送る彼は、試合で見せるギラギラしたオーラはない。
基本的に無口な人だった。
だが、
「いわちゃーん!」
この人が絡むと、その雰囲気は一変した。
「何だよ、クソ及川。」
何て言えばいいのだろう?
感情に波があるとしたら、今までのフラットな状態が突然 波長が乱れて荒くなる、というか……
急に転調していくような……
「もー!
呼び掛けただけで、そんなカリカリしないでよ~」
「うるさい!
呼んだだけなら、その後は黙ってろ。」
岩泉くんの幼馴染、同じ部活の及川くん。
バレー部の部長でイケメン。
彼がひとたびにこやかに微笑めば、女子はキャーキャーと騒ぎ出す。
タイプの全く違う彼らだが、試合中は『阿吽の呼吸』とでもいうのだろうか。
素晴らしいプレーを私達に見せてくれる。
そんな彼らを見て、私は思った。
彼と及川くんとの間に割って入ることなど出来ない絆。
互いの代わりなんて居ない……
唯一無二の存在なのだと。
「ねぇ、夏乃~
アンタ、告白しないの?」
この前、片想いしていた及川くんに呆気なく振られた亜沙美が「岩泉くんに告白しろ」とけしかける。
だが、
「私はいいの、見てるだけで。」
初めから告白なんてするつもりはなかった。
玉砕、間違いなし。
そんなの、わかりきったこと。
同じクラスにはなったけど、彼と話す機会など全くない。
恐らく、私の存在すら知らないだろう。
でも、それで良かった。
私は岩泉くんと同じ空間で勉強して、時々 試合を観に行ったり出来れば満足だったから。
それにこれ以上、多く望むと引き返せない気がしていた。
彼の隣には及川くんがいる。
長い間、岩泉くんの隣にいて、今もずっと走り続けているんだ。
「暑い、重い!
凭れかかんな!!」
「いいじゃん、いいじゃん。
俺と岩ちゃんの仲でしょ?」
じゃれるように岩泉くんの背中に凭れ、周囲の女子に向ける及川くんの視線で射ぬかれたら、そんな気も失せる。
『岩ちゃんが背中を預けられるのは俺だけ、お前らじゃない』
と言われているような気がした。
「端から勝負になる訳ない……」
そんなの、及川くんを見ていてばわかる。
私も少なからず、数ヶ月間 岩泉くんを見てきたんだから。
貴方ほど……
彼を愛することは出来ないことぐらい、頭の悪い私でもわかる。
一年前、親友・亜沙美の付き添いで見に行ったバレーの試合……
二年生なのに既にレギュラー入りしている彼は、次期エースと言われ(親友曰く)、高く聳えるブロックにもめげることなく打ち破っていく。
「ッツシャーーー!!」
その気迫、力強さ……
彼のプレーを見てから、私 平岩 夏乃の中にその感情が芽生えた。
「凄い……あの人。」
「ん?
今、スパイク決めた人?!」
「そう……」
「あー、隣のクラスの岩泉くんだよ。」
「岩泉……くん。」
同じ学校、同級生だったにも関わらず、彼のことを何一つ知らなかった私。
それがきっかけで、亜沙美を通じて彼のことを調べ始めた。
私が彼の試合を観戦して季節は巡り、高三の春が訪れ……
念願叶って、彼と同じクラスになれた。
普段の学校生活を送る彼は、試合で見せるギラギラしたオーラはない。
基本的に無口な人だった。
だが、
「いわちゃーん!」
この人が絡むと、その雰囲気は一変した。
「何だよ、クソ及川。」
何て言えばいいのだろう?
感情に波があるとしたら、今までのフラットな状態が突然 波長が乱れて荒くなる、というか……
急に転調していくような……
「もー!
呼び掛けただけで、そんなカリカリしないでよ~」
「うるさい!
呼んだだけなら、その後は黙ってろ。」
岩泉くんの幼馴染、同じ部活の及川くん。
バレー部の部長でイケメン。
彼がひとたびにこやかに微笑めば、女子はキャーキャーと騒ぎ出す。
タイプの全く違う彼らだが、試合中は『阿吽の呼吸』とでもいうのだろうか。
素晴らしいプレーを私達に見せてくれる。
そんな彼らを見て、私は思った。
彼と及川くんとの間に割って入ることなど出来ない絆。
互いの代わりなんて居ない……
唯一無二の存在なのだと。
「ねぇ、夏乃~
アンタ、告白しないの?」
この前、片想いしていた及川くんに呆気なく振られた亜沙美が「岩泉くんに告白しろ」とけしかける。
だが、
「私はいいの、見てるだけで。」
初めから告白なんてするつもりはなかった。
玉砕、間違いなし。
そんなの、わかりきったこと。
同じクラスにはなったけど、彼と話す機会など全くない。
恐らく、私の存在すら知らないだろう。
でも、それで良かった。
私は岩泉くんと同じ空間で勉強して、時々 試合を観に行ったり出来れば満足だったから。
それにこれ以上、多く望むと引き返せない気がしていた。
彼の隣には及川くんがいる。
長い間、岩泉くんの隣にいて、今もずっと走り続けているんだ。
「暑い、重い!
凭れかかんな!!」
「いいじゃん、いいじゃん。
俺と岩ちゃんの仲でしょ?」
じゃれるように岩泉くんの背中に凭れ、周囲の女子に向ける及川くんの視線で射ぬかれたら、そんな気も失せる。
『岩ちゃんが背中を預けられるのは俺だけ、お前らじゃない』
と言われているような気がした。
「端から勝負になる訳ない……」
そんなの、及川くんを見ていてばわかる。
私も少なからず、数ヶ月間 岩泉くんを見てきたんだから。
貴方ほど……
彼を愛することは出来ないことぐらい、頭の悪い私でもわかる。
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