投げキッスはきみだけに


 大人しくなった鯉登に満足したのか、月島が覆いかぶさってきて額にちゅっとキスが落とされ、両頬にも同じように口づけされ、少し機嫌が直ったのが自分でも分かる。単純なものだ。
 それが分かったのだろう、最後に唇に軽くキスされ、鯉登の上から退くと自分から下穿きの前を寛げ、ふんどしを解くとびいんと勢いよく月島のペニスが飛び出てくる。
 何とも卑猥なその図に、思わず顔を背けると、ごろんっと仰向けに横たわった月島が手招いてくる。
「……お前はやっぱり、助平だ」
 ごそごそと鯉登も前を寛げ、ペニスを引き摺り出して股と股が合わさるように調節しながら、月島の身体を跨ぎ、腰を下ろす。
「やらしい。……これはやっぱり、やらしい。見た目が……助平すぎやしないか」
 下を覗くと二本の屹立したペニスが重なっていて、どちらのペニスからも先端部分に大量のカウパー液を滲ませてぐしょぐしょに濡れそぼっている。何とも卑猥すぎる図だ。
「でも、好きでしょう? 鯉登少尉殿は、これが。知ってますよ」
 そうしてするりと月島の手によって二本のペニスが纏めて握られ、ゆるゆるとその手は上下に動き始める。
「あっ! は、あっ……!! は、ああっ……!! んっああっ、つきしまっ!!」
 相変わらず月島のペニスの感触は気持ちよく、絶大な快感を運んでくる。いきり立った棒は熱く、そして硬くて特に亀頭を擦り合わせるように扱かれるともうたまらない。
 すぐにでもイってしまいそうになる自分を叱咤し、必死になって甘く荒い息を吐きながら胸を激しく動かし、視覚的エロスと直接的な感触に酔い浸ってしまう鯉登だ。
「……相変わらず、クる顔しますね、あなたは。コレ、そんなに好きですか?」
「言ってろっ……!! はあっ、だめだ気持ちイイッ! なんで、こんなっ……はあっはあっ、あっあっ!! んっんっ、あっ、手、手ぇっ!!」
「鯉登少尉殿は手を激しく動かすのがお好みということは分かってますが……先っぽは? ゆっくり? 言わなきゃ分かりませんよ」
 このじれったい言葉責めは一体何なのか。歯噛みしたくなるが、気持ちイイものは気持ちがイイし、もっと快感が欲しいといった気持ちに今は嘘を吐きたくない。
「はあっはあっ、先っぽは、ぎゅっぎゅって、強くゆっくりがいい……分かっているくせに!! 意地が悪いやつ!! 変態軍曹め!!」
「減らない口です。なんなら、このまま挿れてもいいんですよ? 私は困りません」
 今度こそ歯噛みする鯉登だが、ここで挿れられてはたまったもんじゃない。挿入中に夕食が運ばれてきたなど、笑い話にもならない。
 ぎゅうっと唇を噛んで月島を睨むが、その眼はとろんとして迫力もなにも合ったものではない。
 すると、月島の武骨な手は二つの亀頭を大きな手で包み、鯉登の言った通りぎゅっぎゅっと手のひらで包み握ってくれる。
 そのたびに、憚らず声を出してしまう。
「ああっ!! あっあっあっあっ!! ああっ、うああっ!! やっあっ、き、気持ちいっ! 気持ちいっ!! やあっやっ、やあっ、月島ッ、月島やああっ!! うあああああ!!」
 与えられる快感の強さに、勝手に腰が蠢いてしまう。すると、月島はさらに責める勢いで亀頭を擦り合わせるように握ってきて、そこでもやはり、身体が捩れ背が海老反る。
 気持ちよすぎる。実は兜合わせは久しぶりだが、もしかしたら挿入よりも好きかもしれない。ペニスで感じる月島のソレは硬く、そして血管が浮き上がっていて視覚的にもやらしいが、見て興奮するという行為も、何気に鯉登は好きだ。
 月島の感じている顔は、いつもの不愛想な顔とは違い大人の色気というものが漏れ出していて、鯉登はその顔も好きなのだ。
「あっあっ、はあっはあっ、つき、しまぁっ!! あっあっ、す、好きッ……!! はあっはあっ、す、好きぃっ!! つきしま、好きぃぃっ!! ああああっ!!」
「まったく……これだから止められない。音之進? もっと揉んで欲しいですか?」
「はあっはあっ、ヤって、もっと、もっとぉ!! はあっ、つきしまで、もっと気持ちよくなりたい……!」
「イイコですね、鯉登少尉殿は。とても、イイコです。思わずそそられますね、この顔……真っ赤にして、口は半開き。ソノ気になります、とても」
「んっんっ、はあっ……つき、つきしま、はあっ、私のこと、好きか……? お前からも聞きたい。好きか? あっあっ、んっんっ!!」
 その問いに返事はなかったが、その代わりに大胆にペニスを扱いてきて、亀頭は揉むように、サオは二人分のカウパー液でぐしょ濡れなのを潤滑液として利用し、ぬちゅぬちゅと音を立てながら激しく扱いてくる。
 あまりの快感に、目の前がチカチカしてくる。絶頂は目の前だ。
 そうなってくると増してくるのがカウパー液の量で、月島も同様に鈴口から大量に生温かな体液を垂れ流しており、見た目も卑猥だ。けれど、今はその卑猥さこそが最高に興奮する。
 そのうちにかなり滑りの良くなったサオを手が激しく上下に行き来し、亀頭は相変わらず絶妙な力加減で揉みたくられ、自分でする時よりも月島のペニスと合わさって揉まれる方がずっと、快感も強い。
 だから、止められないしこの男からも離れられないのだ。
 こういった快感を与えてくれるのは月島しかいない。べつの言い方をすれば、月島しか許せない行為だとも言える。
 好きで、愛しているからこその兜合わせなのだ。
「はあっあっあっはあっ、つき、しまっ……い、イクッ……も、だめだイクッ……!! ああああだめっ、がまん、できないっ……!! うあっああああああ!!」
「ふっ、はあっ……私も、そろそろ……イキたい、ですね。んっ、はあっ!」
「い、いっしょ、一緒がいい。イクなら、一緒! 一緒にっ!!」
 この「イク」という言葉も、月島から教わった。初めての色事の時に教えてもらったのだ。一番初めにこういうことになった時、鯉登は「出る」を繰り返していたが、月島に「イク」と教えてもらったのが始まりで、そういう隠語を使うことによりさらに興奮が増すことを覚えてから、それからずっと今日まで「イク」を使ってきた。
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