蝶ノ見ル楽園 下
だんだんと、勇作にも尾形の取り扱い方法が分かってきたらしい。悔しくて仕方ないが、気持ちイイことをされるとついそちらに夢中になってしまうのはもはや、性としか言いようがない。
それでも何とか理性を保とうと硬く目を瞑ると、徐に唇が離れていって瞼に口づけが落とされ、驚いて眼を開くとそこには悪戯めいた勇作の笑顔があった。
「もっとかわいい兄様の顔、見たいです。……もっともっと、もっと見たい。いいでしょ……? 兄様」
そういった形のいい薄い桃色の唇は尾形のあごにまず落とされ、次に喉仏、そして胸の中心は丁寧に唇が乗り、だんだんと下にいくそれに胸を高鳴らせてしまう。
何故なら、下には完全に勃起したペニスが後に控えているからだ。また、舐めてもらえるのだろうか。
ドキドキと胸を高鳴らせながら上目遣いで尾形を見てくる勇作をじっと見つめる。
「いやらしい顔になってますよ、兄様。でも、そういう顔も好きっ……! 大好き兄様、好き」
ちゅっちゅと音を立てて胃の辺りに唇が置かれ、下生えをさらっと撫でると、おっ勃った尾形のペニスがゆらりと揺れたと同時に、勇作が根元を掴まえ、早速先端辺りの点検を始めている。
「先っぽ、ぐしょぐしょに濡れてますね。やっぱり、助平です兄様は。ココ、こんなにして……舐めて欲しい?」
無言で何度も頷き、顔に血を上らせると勇作は妖艶に笑み、真っ赤な舌を覗かせてべろっとサオを舐め上げた。
「うぁっ……!! あ、あ、あっ……あああっ!!」
思わず背を反らせてしまうとここぞとばかりに先端に舌が乗り、ゆっくりと時間をかけて大量に滲んだカウパー液を舐め取り始めた。
痛いくらいに熱い舌は柔らかくてそれは気持ちがよく、さらにじゅわっとカウパー液が追加して溢れたのが分かった。だが、勇作はひるむことなく舐めることすら愉しむように小さく舌を出してぴちょぴちょと音を立て始め、羞恥を煽ってくる。
「あっあっ、あっ……や、だあっ、うあぁっ……!! はあっはあっ、あっあっあっあっ、気持ちいっ!! 気持ちイイッ!! やっあっ!!」
思わず腰を捩らせると、根元をきつく掴まれてしまい、痛いのか気持ちイイのかも分からないまま、ぬるついた先端がぬるっと勇作の口に入り、あまりの快感につい喘ぎ声が出てしまう。
「あうああっ!! うあっ、あああううううううっ!! やっ、だああっ!! やっあっあっあっ、き、気持ちいっ、気持ちいっ!! やっやっあああああ!!」
しかし、一度にまるっと亀頭を口に含むのではなく、ここまでも時間をかけてゆっくりと亀頭が勇作の口へと埋まっていく。
それを、快感で溜まった涙で潤む眼で見つめる尾形だ。自分のペニスが勇作の口へ咥え込まれている。
卑猥な図だが、なんとも興奮する様だ。
ここでもまた上目遣いで尾形を見つめてきて、目が合うと切れ長の涼しい目が弧を描き、さらに奥深くまでペニスが咥え込まれる。
そこで細かくピストンされ、間髪入れず送られてくる快感に身体と頭がおかしくなってしまいそうだ。
だが、勇作は責め立てる手を止めることなく、さらに奥深くまでペニスを飲み込んでいく。
その際、細かくピストンを加えられるとかなりの快感が得られることが分かり、勇作はそれを知っていてやっているのかどうなのかは分かりかねるが、こうなって咥えるのも随分上手くなった。
尾形としかこういうことはしていないはずなのだが、この上達ぶりには目を見張るものがある。勇作に言わせるときっと、愛の成せる技とでも言いそうだがそれにしては少々上手すぎる気がする。
おかげで疼きが止んでくれない。
ただでさえ三月に一度の疼きは堪えるものがあるというのに、勇作にここまでしてやられてはさらに欲しくなってしまう。
快感然り、アナル然り。もはや挿れてもらわねば済まないところまで来ている。こうなったら意地でも挿れさせてやると意気込みたいが、今はとにかくそれどころではなくペニスが気持ちがイイ。
熱いくらいの咥内は唾液でねっとりとしていて大量に湛えられているからか咥え込まれても痛みがあるわけでもなく、ただひたすらに快感だけを送り込まれてくるソレに、尾形の喘ぎは止まない。
「ああっああっ!! んっあっあっあっ!! ああっ、うああああ勇作ッ!! 勇作殿だめっ!! ああああイイイイイイイ!! イイッあっあっ、気持ちいっ、気持ちいっ!! イイイイイッ!!」
ひどく啼くと、さらに輪をかけるようにして責め立てられ、上顎と硬くした舌で亀頭を潰されてしまい、何度にも仕掛けられるそれに尾形の喘ぎはさらに大きなものになり、必死になって背を反らしながら快感を受け止める。
「んあああああっ!! ああっあああうううううっ!! もっ、ああっ!! あっあっあっあっ、ああああああああイイイイイイイッ!! んああっふあああっ!! ひっはあっ!! はああああああ!! イイイイ気持ちイイイイイッ!! イイッ、イイよおおおだめああああああああ!!」
腰が勝手にガクガクと上下に動くがそれでも勇作は何処までも追ってきては、上顎と舌で亀頭を押し潰し倒してきて、もはや悶絶の尾形だ。
そうでなくても身体は敏感になり過ぎているというのに、今この刺激はつらいものがある。快感がすぎるのも気持ちイイが、つらさもあるのだと尾形は勇作を通して知った。
強すぎる快楽も、毒になり得るということだ。
だがしかし勇作の頭の中には尾形を追い詰めることしか無いらしく、ひたすらに亀頭いじめに必死になっている様子。
思わずこつんと勇作の頭を小突くと、眼だけを尾形の方へと向け、それでも口の動きは止めずに眼だけで問うてくる。
「はあっはあっ、き、気持ちイイッ!!」
自分で言っておいて呆れ返った。これではただ感じていると言っているようなもの。抗議にも何にもならない。
ぐっと唇を噛むと、流石に異変を感じ取ったのか口の動きを止めた勇作が身体を撫で回し始めたのだ。
これはこれで、また違った快感が湧き上がってきて尾形を悶えさせる。
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