蜜蜂ノ針


 そのことに嬉しさを見出し、尾形からも勇作の唇に吸いつき、舌を無理やり咥内へと入れ込むと、逆に舌が攫われてしまい、絡め取られてぢゅぢゅぢゅっと舌に乗った唾液を啜られる。
 後、ごぐっごぐっと勇作ののどが鳴る音がして、すべてを飲み下したのかすぐにでも尾形の咥内へと舌が捻じ込まれ、上顎を舐めにかかってくる。
「あ、あ、あっ……んむっ……!! んっんっ、んンっ!!」
 しっかりとしゃぶられると、今度は舌の下に勇作の舌が入りちゃぷちゃぷと音を立てて舐められ、ソコを刺激すると唾液が大量に湧き出てくるのを知ってか知らずか、ぢゅるるっと音を立てて勇作が咥内に満ちた唾液を吸い取って飲み下した。
 オスだと思う。
 こういうことをされると特にそう思う。
 勇作を女と思って見ていたわけじゃないが、完全にオス丸出しで咥内を貪られると、性的な刺激に飢えていた尾形としてはもはやたまらない刺激で、さらに強く手を握ると、五本の指がバラバラに動き、小指から尾形の手を順番に握っていく。
 そして最後、親指は特に力を入れて手に食い込む力加減で恋人繋ぎになり、それに満足していると徐に舌が蠢き出し、さらに咥内を貪ってくる。
 今度は頬の裏側に舌が回り、べろっと大きく舐めたと思ったらするっと舌を絡め取られてしまい、その見事な舌技に、尾形は一瞬唖然とした。
 いつの間に、こんなになった?
 漠然とした疑問が頭を占める。
 あの幼く拙い愛撫しかできなかった勇作は何処へ行ったのだろう。いま尾形を蹂躙しているのは間違いなく勇作だが、まるで別人を相手にしているようだ。
 思わず手を解こうとするが、がっしりと握られていてそれもままならない。けれど、勇作をここまで堕としたのは間違いなく自分で、後悔があるかといわれると首を横に振るしかない。
 漸く堕ちてきたのだ。悦ばなければならない。
 あのお坊ちゃんだった何も知らない勇作は自分の手で穢れてしまった。もしくは、穢した。
 このまま身体まで奪ってしまいたい。童貞を取り上げた時、勇作はどういった顔をするのだろう。
 想像するだけで笑いが込み上げてくる。
 悦楽に浸りそうで、慌てて口づけへと戻り勇作の舌を捉えるとまた絡め返され、柔らかく食んでくる。
 食まれる際、噛むところを舐められるのだがそれがまた感じる。まるで、合図をしているようなのだ。今からココを噛みますといったような。そして間違いなく噛まれるのだが、それがまた気持ちイイ。
 硬い歯が柔らかな舌に食い込む際、少しの痛みも感じるが快感の方が段違いで強く、思わず身体を震わせてしまう。
 その拍子に口づけが解け、鼻が擦り合いそうな至近距離で二人は熱く見つめ合う。
「はあっ、はっ……勇作、どの……」
「んっ、はあっはあっ、あにさま……はあっ、あにさまに、イイコトしてあげます。とても気持ちイイコト……」
 じわっと、期待が胸のうちに湧き上がる。
 こうやって勇作が宣言する時は、必ず強い快感を与えられる。それが何なのか分からないまま、こくんとのどを鳴らすと、唇にちゅっと軽くキスが落とされ、だんだんと勇作の顔が下へと降りていく。
 その際、胃の辺りや下腹などにも口づけていき、丁寧にへその窪みを舐められる。
「あっ、はあっんっああっ! あっ、い、イイッ、気持ちいっ!! あっあっ!!」
「兄様、ココじゃありませんよ、ココです。ココ……」
 そう言うなり、いきなりだった。がっと下穿きの上から股間に噛みついて来て、一切容赦のないそれに、身体が勝手に驚きと快感でビグンッと跳ねてしまう。
「うあっ!! あ、あ、あ、ああっ……!!」
 下穿きとふんどしがあっても強く噛まれている所為か、充分に快感を感じ取ることができる。足も勝手に跳ねてしまい、そっと両手から勇作の手が離れていくと、その手は下穿きを脱がそうとボタンを外し始めてしまう。
 その手つきは乱暴で、まるでいつものあのおっとりした勇作では無いようだ。いま尾形の下穿きを脱がそうとしているのはただのオスと化したけだもので、ロックオンを食らい、股間めがけて必死で前を寛げようとしている。
 尾形もそれを手伝う形で腰を上げるとずるっと下穿きが剥かれ、足から引っこ抜かれる。残るはふんどしのみで、しかし勇作は脱がそうとせず、ふんどしの上からしきりに股間を食んでくる。
 たまらない快感だ。このもどかしいくらいが一番感じるような気がするのだ。
 声も憚らず出てしまい、がりがりと勇作の頭を引っ掻いてしまう。
「はあっ!! ああっ、あっあっあっあっ、ああっ!! ゆ、ゆ、さくっ!! 勇作殿ッ!! やっあっ、き、気持ちいっ! 気持ちイイッ!! ああああっ、あっあっ、うあああああああ!!」
「ココ、すごい兄様のにおいがする……はあっ、興奮します。すごく、興奮する……!!」
 がりがりと布地ごと股間を噛まれて興奮している自分と、噛んで興奮している勇作。とんだ変態兄弟だ。
 だが、何故かそれが嬉しい。勇作とならどこまでも堕ちていけそうだ。このまま二人でだめになってしまいたい。いや、もうだめになっているかもしれない。
 だとしても、構わない。
 このまま勇作と堕ちて行きたい。
「あにさま……脱がしても? 直接愛したい。兄様の……」
 尾形は何も言わず、ふんどしの結び目を自ら解くとまるで毟り取られるようにして勇作によってふんどしが取っ払われ、びいんっと完全に勃起した尾形のペニスが飛び出してきて、先端は既にカウパー液でぬるぬるになっており、ぴくんぴくんとゆるやかに跳ねている。
「あ……先っぽすごいですね、助平な汁が……垂れてしまいそう」
 根元を握られ、たったそれだけでも感じてしまうのに勇作は先端のぐしょぐしょに濡れそぼった亀頭へ舌を置き、ゆっくりゆっくりと時間をかけてカウパー液を舐め取っていく。
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