蜜蜂ノ針
もはや限界だ。イってしまいたい。
必死でイキを我慢していた尾形だが、その想いがさらに強くなり、限界が近づいてくる。
身体の戦慄きはますます激しさを増し、足も自分で分かるくらいぶるぶると震えている。ここらでもう、イってしまいたい。
最後の意地としてさらにきつく足を閉じると「くっ……!!」と勇作が息を詰めたのが耳元で分かった。
「うっく、兄様イクッ……!! ああああイキそうっ……!! はあっはあっ、い、い、イクッ!!」
気づくと勇作の身体も震えており、尾形のペニスを掴んでいる手も震えが強くなっている。
「あっあっ!! いっしょ、一緒にッ!! 勇作殿ぉっ!! はあっはあああああああ一緒に、イクッ!! イクッ、あああああああああだめホントに、ホントにイクッ……!! ああっ、あああああ!!」
全速力で絶頂への階段を勇作と駆け上がる。
勇作の腰の動きはさらに苛烈を極め、無茶苦茶に腰を振って来て尾形を追い詰めにかかってくる。そして、ペニスを扱いている手も亀頭を中心としたものに変わり、ひたすらに亀頭を指で潰してくる。
さらにとどめとばかりにぎゅぎゅうっと強く亀頭を潰された時点で快感が下半身で爆発し、とうとう二度目のイキに達してしまう。
身体がブルブルブルブルッと震え、腰がガクガクと上下に跳ね上がる。
「っあ!! あっあっあああああああああああー!! あああうううううう、イック、イック、イック、イックううううううっ!! あああああっあっあっうあっうあっうあああああああ、イクイクイクイクイクイクッ!! ああああああああイックううううっあああああああっああっあっあっああああああああー!!」
びゅびゅっと勢いよくザーメンが飛んだその瞬間、後ろで勇作の声が響く。
「あにさまっ! 兄様イクッ!! あああっ、あああああああああイックうううううっ!! ああっあっあっあああああー!! あああああああー!!」
ずるんっと勇作のペニスが股を割って飛び出たすぐ後、尾形を追うように勇作も絶頂に達したようで、尾形の股から二人分のザーメンが勢いよく布団に向かって発射され、何度にも分けてのそれは二人に幸福な快感を運んでくる。
びゅびゅっ、びゅびゅっとザーメンは勢いよく飛び、その快感に浸り切る。
身体を横にしたいが、勇作が何故かそのままの姿勢もまま動かないのだ。不可思議に思い、勇作に声をかけようとしたところでふと、未だ勇作のペニスの硬度が殆ど落ちていないことに気づき、あっという間も無くまた律動が始まる。
「あぁっ!? あっ、やっ!! やっ、勇作殿っ!! やっあっ!! あああああああああ!! も、止めてっ!! 止めてくださいっ、ああああああああああー!!」
尾形の叫びも虚しく、勇作はその言葉を無視する形で腰を使い始めてしまい、激しく叩きつけられるペニスは完全に勃起を果たしており、尾形のペニスにも改めて手が絡まり、容赦なく扱き上げられる。
「も、もういやだっ!! やっあっ!! ああっああっ、き、気持ちいっ、気持ちいっ!! 気持ちイイイッ!! はあっはあっ、勇作、ゆうさく殿ッ!! あは、はあっはあっ、ああっああっ、もっと、もっとぉっ!! もっと、ちょうだい、チンポちょうだい!! チンポ欲しい、チンポ、チンポッ!! チンポぉっ!!」
「あにさま、助平、やらしいっ!! でも、はあっはあっ、そこがかわいいっ……!! あにさま、兄様好きです、好きです兄様っ!!」
逞しく腰を使われ、悶絶の尾形だ。手の動きも一度イったことで余裕ができたのか、震えも無くなりサオをひたすらに扱いてきたりもして、スマタも続行中ということで、すぐにペニスが復活してくるのを感じた。
何度イかされるのだろう。そして、勇作は何度イクつもりなのだろうか。ぼんやりとした頭で考えるが答えは出ず、思い切り腰を使われ思わず背を反らせながら「かはっ!!」と噎せてしまい、頭を振って快感を訴える。。
「うあああっ、あああうううううう!! ゆう、ゆう、ゆうさくっ! 勇作殿ッ!! ああっああっ、気持ちいっ、気持ちいっ!! はあっはあっ、もっと、もっともっともっともっとぉっ!! はあっはあっ、もっと、チンポ欲しいッ!! はああっ、気持ちイイッ!!」
すると尾形の叫びに呼応するよう、勇作の腰の動きが早くなり、その分乱雑になるがそれもまたそれで気持ちがイイものだ。
好き勝手揺さぶられ、頭の芯がぼーっとしてくる。だが、身体に感じる快感だけは確かに叩きつけられる形で下半身に溜まり、またすぐにでもイキたくなる。
「あああああああああっ!! あああっああああうううううイック、イック、イックうううううっ!! うああっ、あああっあああうううううイック、イック、イック、イックうううううっ!! あああああだめえええええ!!」
「はあっはあっ、あにさま、一緒に、一緒にっ!!」
勇作の切羽詰まった声が聞こえる。
結局その後、三度ほどスマタに付き合わされ限界が来た勇作と共にベッドに寝転び、意識を飛ばしていたが、身体のうちに眠る確かな身体の疼きで目が覚めた尾形は、真正面で眠る勇作の整った顔を切なげに眺めた。
未だだ、未だ足りない。身体がそう言っている。
三月に一度来るこの性に対して貪欲になる日は、これだけでは足りないのだ。勇作だけでは、結局無理だったことになる。
そっと手を上げて勇作の頬を包み込み、優しく撫でた後、柔らかな口づけを施して、そろりと勇作から離れる。
時計を見ると、既に夕方の時刻を指していて、この時間だと外で食事を摂ったら女でも抱きに行こうか。
放られていた軍服を手に取り、身に着けて行く間にも勇作への後ろめたさは消えなかったが、といかくこの疼きを何とかしたい。
軍服を着込み終わると、未だぐっすり眠っている勇作に小さな声で話しかける。
「山猫の子どもは、山猫なんですよ勇作殿。……では」
尾形は振り向くことなく、勇作の部屋の扉に手をかけそして音を立てないよう静かに閉めた。
行き先は、尾形しか知らない。
Fin.
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