待チ焦ガレ


 もっとして欲しくなり、尾形は自分でボタンを外し始めるが、勇作に手で制されてしまい、妙に男くさい笑みを勇作が浮かべたと思ったら、そのまま胸の中央に口づけられ、擦り寄られる。
「兄様は……そのままで。私がします」
 さらにまた一歩、堕ちてきた。
 そのことに悦びが隠せず、つい両手で勇作の頭を抱えてしまうと、どうやら感じていると勘違いしてしまったらしく、愛撫はさらに大胆さを増し尾形の肌を舐め始めたのだ。
 これには驚きを隠せなかったがすぐにその拙い愛撫に身体が熱くなり始めるのを感じ、甘い吐息をつくと、胸から顔を上げた勇作に唇を奪われてしまい、その情熱を叩きつけられているような口づけに、思わず息を乱してしまう。
 先ほどの拙さは何処へ行ったのか、巧みに勇作の舌が動き尾形の舌を絡め取って吸い、ぢゅっと音を立てて唾液を持っていかれ、ごぐっごぐっとのどを鳴らして唾液を飲み下し、さらに唇に吸いついて来て角度を変えて何度も啄むように口づけてくる。
 今まで積極的にそういった感じに動かれたことが無かったのでかなり驚いたが、だんだんとその強引さが心地よくなり、つい息を乱してしまう。
「あ、はあっはっはっ……んン、ゆうさく、どのっ……んっ!!」
「はあっはあっ、兄様、あにさまっ……!! んっく、あにさまっ……!!」
 勇作はしきりにのどを鳴らしながら尾形の身体の愛撫を始め、積極的に肌に手のひらを這わせ始める。
 その手は汗をかいているようで、しっとりとしていて熱いその手が肌に這うたび、言いようもない快感が這い上がって来てさらに尾形の息が乱れる。
 そのうちに、軍服のボタンも中に着ていたシャツのボタンも外されてしまい、前が全面はだけると、積極的に様々なところに勇作の手が乗っては擦ってくる。
「ん、はあっ……勇作、殿、肌に、肌にも接吻を……舐めてもいいです。ほら、こことか……気になりませんか。ココです、ココ」
 そう言って胸元に手を置き、ぽつんと勃っている乳首を乳輪共々強調するように見せつけると、さらに勇作はのどを鳴らしてじっと乳首を穴が空くほど見つめている。
「舐めてみて……舐められたい、勇作殿に」
「い、いいんですか、舐めても。……その、口に、含んでも……」
 こくんと尾形は言葉なく頷き、勇作の眼の前に右胸を持っていくと、もはやたまらないといった様子で乳首にしゃぶりつくが、どう舐めていいか分かりかねているようでまた拙い舌使いに戻ってしまった。
 世話が焼けるとばかりに、尾形は勇作の軍服に手を伸ばした。
「あ、兄様っ……!!」
「こうするのですよ、勇作殿。少しじっとしていてください」
 軍服の前をはだけさせ、そしてシャツのボタンにも手をかけると、勇作の真っ白なキメの細かい肌が露わになり、思わず尾形ものどを鳴らしてしまう。
 こんなに極上の肌もあるのだ。様々な女を抱いてきたが、こんなにまできれいな肌は女でも出会ったことが無い。それほどまでに勇作の肌は飛び抜けて美しく、思わず手で擦ってしまうとまるで手に吸いついてくるような手触りで、しっとりとしてもいるしさらさらとしてもいる、不思議かつ美しい肌は尾形が手で触れるごとにだんだんと桃色に染まり始め、現れた乳輪も色が薄く桃色がかったそれも、女でも見たことが無いほどにきれいな色で、のどを鳴らしながら舌を出し、べろっと大きく乳輪含め乳首を舐めると、甘い味が舌いっぱいに拡がる。
 それがなんとも心地よくて乳輪ごと口に含み咥内で舌を使い舐めしゃぶると、ぶるっと勇作の身体が震える。どうやら、感じてしまったらしい。
「分かりますか、こうです。もっといろいろ舐め方はありますが……」
「あ、はあっはあっ、あにさまっ……!! ん、ん、はあっ」
 勇作の余裕のない様子に、尾形は薄く笑いながら舌を出して乳首を突くように舐める。
「もしかして、感じてしまいましたか? 随分と感度がいいんですね、勇作殿は。それとも、俺が相手だからかな? だとしたら嬉しいです」
 すると、間髪入れず勇作が言い募ってくる。
「あ、兄様だからです! 兄様しかそんな風にはなりませんっ!」
 他の誰にもさせたことが無いくせに、よく言えるものだと尾形は内心冷め切った感情でさらに硬く尖り始めた乳首をしゃぶる。
「うっんっ……んあっ!! はあっはあっ、兄様っ……!!」
 何だかさらに甘くなったような感覚がする。感じると甘くなるのか、それとも尾形の舌が勝手に甘味を感じるようになってしまったのか。分かりかねるが、確かに先ほどよりも甘い気がする。
 不思議に思いながら左乳首にも吸いつくと、またビグッと勇作の身体が跳ねる。
「うぁっ!! あ、あ、ああっ……!! うああっ、兄様っ……!! はあっ、はあっはあっ、は、あっ」
「そろそろ勝手が掴めてきましたか? こうすると気持ちイイのですよ。自分の身体で感じるとよく分かるでしょう?」
「はあっはあっ、兄様、あにさまの、兄様の身体を舐めたいっ……!!」
 とうとう隠していた本音が出た。思わず顔に笑みを浮かべてしまうと、違う意味合いに勇作は取ったようで、尾形が喜んだと思ったらしい。
 乳首から口を離した尾形の顔を両手で挟み、頭に頬ずりをしてくる。随分とまあ、好かれたものだと思う。
 だが、悪い気はしない。どころか、優越感まで湧いてくる。勇作の心を独り占めできているのは今のところ、自分だけだという訳の分からない確信と自信を元に、尾形からも擦り寄ると勇作が熱い吐息を漏らした。
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