kisses


 そこで歯磨き粉のかおりがかすかにしたので、月島も歯を磨いたことを知る。何とも準備万端なことだ。
 きっと、抱かれたらすぐに眠れるようにということなのだと思うが、こんなに疲れている月島を抱くのは、些か気が引けてきた。
 今日は大人しく寝ておいた方が、月島のためじゃないだろうか。
 逡巡していると、ゆっくりと月島の瞼が開いて黒目が顔を出してくる。その様が驚くほどにきれいで、思わずじっと見つめてしまうと、トロンとした顔つきでゆったりと笑い、至近距離でのそれに心臓を高鳴らせると、徐に月島の腕が伸びてきて鯉登の肩に引っかかる。
「……接吻、しないのですか?」
「して、いいか。いや……それより、今日は」
「抱いて、くれないんですか音之進、今日は気分が乗らない? 私はもう……完全にソノ気、ですけど。今も……助平な夢を見てました。音之進とのアレコレの夢……」
 もうたまらなかった。
「よし! では寝室に行くぞ」
 鯉登は月島の手首を引き、自分は後ろ歩きになって階段を上り始める。
「あ、危ないですよ音之進! 落ちます!!」
「なに、実家の階段は歩き慣れている。平気だ。それより、こっちこっち!」
 月島の両手首を引き、廊下まで出たところで彼の身体を壁に押しつけ、唇を奪う。
 するとすぐにでも月島の腕が両肩に引っかかり、早速鯉登の唇を吸ってきたのでそのまま吸い返すと吸い合いになり、角度を変えてのそれはかなり甘い感触がする。
 吸っては離れ、離れてはまた吸って、溢れ出る唾液を二人して分け合って飲み下し、そしてまた口づける。
「はあっ、んは、んはあっ、ンんっ、んっんっ、おとの、しんっ……あ、はあっ……!」
「つきしまっ……!!」
 唇が離れたら頬に口づけたり額にキスしたり、いつの間にか両手は互いの手を取っていて恋人繋ぎになっており、相手の手をきつく握りしめながら熱い口づけに溺れていく。
 積極的に鯉登から唇を吸うと、月島が熱の篭った吐息を零し、手を解いて身体のそこかしこに手を這わせ始める。
 まずは胸を揉むことにする。女のように出っ張ってはいないが、ソコが感じる場所だということを鯉登は知っている。
 片手で腰のラインを撫でつつ、手でマッサージするように胸筋で膨らんだ胸を揉むと、感極まったような月島の吐息が聞こえる。
「あ、はあっはあっ、は、はあっ……んんっ、んんううっ、んああっ、は、ああっ!!」
 その声に押されるよう、さらに両手で胸を揉みしだき、口づけをしては寝間着をくしゃくしゃにして胸を揉みたくる。
 すると、息を乱しながら月島が少し鯉登の胸を押し返してくる。
「ここ、ここは廊下です。するなら、部屋で……ゆっくり……」
「は、はあっ、そうだったな。では、自室へ案内しよう。来いっ」
 強く月島の手を引いて自室へ案内すると、またしてもポカンと口を開けた。
「物が……多いですね。ベッド大きい……。本棚に本がたくさんある。ここが、音之進の部屋ですか。らしいですね、なんだか」
「それより、つきしま……」
 くいっと手首を引き、月島をベッドに座らせると早速、両肩に腕が置かれ、鯉登はその手を取って頬に押しつける。
 熱い手だ。まるで、燃えているような感じさえする。
 すりすりとその手に擦り寄ると、愛しげに月島の両眼が細まり、笑みの形へと変わる。
「やはり、あなたはかわいいですよ。私なんかより、ずっと……ずっとかわいい」
「ばかを言え。お前の方がかわいいだろう、どう考えても」
 その言葉に顔を見合わせ、くすくすと笑い合って月島は壁側へと逃げるように完全にベッドに乗り上げ、鯉登を誘ってくる。
 その魅惑的な誘いに乗るよう、鯉登もベッドへと上がり両手首を掴まえて壁に縫いつけ、キスを迫るとぷいっと顔が横に向いてしまいぷちゅっと頬へ口づける羽目になり、そのままあごの下へ顔を突っ込み、膨らみがある喉仏にキスをしてから少し噛むと、月島が小さく啼き出した。
「あっ……!! あ、あ、あっ……ん、あぁっ……!! は、あっ……はあっはあっ、おとの、しんっ……!!」
 その感じている声丸出しの声色に興奮してしまい、鯉登の手は激情に任せて激しく動き、乱暴に胸を揉みながらパジャマをたくし上げて、素肌を愉しみながら早速、乳輪含め乳首に吸いつく。
「あァッ……!! あ、あ、あぁっ……!! ま、そんなっ……早く、してしまって……」
「つきしま、つきしまっ……月島っ……!! こうされたかったんだろう? 私に、して欲しかったと言え月島。下がきつくないか? 言ってみろ、言え月島っ!!」
「あ、はあっはあっ、して、欲しかった……もうずっとシてなかったから、もうずっとずっと、我慢してて、音之進に早くこうされたかった。激しく、抱いて欲しいっ……!!」
「つきしまっ……!!」
 ちゅばっちゅばっと音を立てさせながら胸の至るところに吸いつき、胸筋で膨らんだ胸を揉みしだく。
 手触りは硬いが、揉んでいる感覚はあるため興奮にはしっかりと繋がってくれる。それに、肌の味がたまらないと思う。
 甘い味が、舐めれば舐めるほど舌の上に乗り、鯉登を愉しませる。止められなくなり、ひたすら胸にしゃぶりついていると、月島の息もだんだんと上がってきて、肩で息をするようになり、胸も激しく上下を繰り返している。
 愛しい胸の両側にある乳首を、出した舌でべろべろに舐めてやるとだんだんと月島の身体が戦慄いてくる。
「あ、はあっ、はあっはあっ、はっはっ、おと、の、しんっ……はあ、き、気持ちいっ……! あっあっ、い、イイッ……!!」
「素直でイイコだ、月島は。えらいぞ、そういうことを言えるのはえらい」
「やっ……子ども扱いしてっ」
「抱いている時は私は男だ。異論はなかろう?」
 月島はその言葉にさらに顔を赤くして、甘い吐息をつきながら鯉登と目線を合わせてくる。鯉登も上目遣いで月島を見つめながら舌で乳輪ごと乳首を舐めしゃぶると、ぶるっと月島の身体が震えたのが分かった。
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