架空のお仕事ss

 ヤドカリ専門の、家屋販売をする仕事に就いた。

 朝早くから小さな家を砂浜に並べる。集まってきたヤドカリ達が、自分向きの家を見つけ、次々と引越してゆく。

 ミニカーの家、マッチ箱の家、ガラス瓶の家。

 夕方、私は彼らが脱ぎ捨てた家を回収する。きっとまた、誰かの城になるはずだ。

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