架空のお仕事ss

 サボテンに針を刺す仕事に就いた。

 彼らの針はストレスにさらされると抜け落ちてしまうので、新しく強い針を刺し直さねばならないのだ。サボテンたちにはそれぞれ針の配置の好みがあり、私はその小さな声に耳を傾けながら、一本一本丁寧に刺してやる。

 柔らかく穏やかな時間だった。

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