300字ss(2025年)
金賞が欲しかった。
十歳の時、図工の時間に描いた絵を先生に褒められた。それが文集の表紙に選ばれて、色んな大人に褒められた。
私は絵が得意なのかもしれないと思った。
それからは休み時間にも絵を描いて、中学校でも絵を描いて、高校の美術部に入ってからは友達も作らずに絵を描いた。コンクールには毎年自信作を提出した。のに、最後まで金賞は取れなかった。
「大丈夫。華さんは努力しているし、私は華さんの絵が好きだよ」
先生はそう言ってくれたけれど、そういう問題じゃない。私にはこれしかないと、私が一番わかっている。
それに。
絵筆を取り、色鮮やかなキャンバスを見つめて微笑む。
私は、金賞を追いかけている私のことが大好きなのだ。
十歳の時、図工の時間に描いた絵を先生に褒められた。それが文集の表紙に選ばれて、色んな大人に褒められた。
私は絵が得意なのかもしれないと思った。
それからは休み時間にも絵を描いて、中学校でも絵を描いて、高校の美術部に入ってからは友達も作らずに絵を描いた。コンクールには毎年自信作を提出した。のに、最後まで金賞は取れなかった。
「大丈夫。華さんは努力しているし、私は華さんの絵が好きだよ」
先生はそう言ってくれたけれど、そういう問題じゃない。私にはこれしかないと、私が一番わかっている。
それに。
絵筆を取り、色鮮やかなキャンバスを見つめて微笑む。
私は、金賞を追いかけている私のことが大好きなのだ。