月見泥棒

 気づくと、縁側に寝転んでいた。名月はまだ頭上高く、白々と輝いている。
 そうだ、そう言えば随分昔にも、あの子に会ったことがある。その時もこんなふうに、お供物の横で寝てしまって……目覚めたらあの子が嬉しそうに宮殿を案内してくれたんだっけ。
 暫く月の輝きをぼうっと見つめていたけれど、ふと気がついて、お供えの団子に視線を移した。
 眠りに落ちる前よりも、確実にいくつか、減っていた。
3/3ページ
スキ