満ちる

 この島には様々なものが流れ着く。潮流の関係なのだろう。ビニール袋等は勿論、家電製品や小型ロボットなんて物までが、毎朝、砂浜に打ち上げられている。
「ろぼた、掃除お願い」
 散歩に必ずついてくる汎用型万能ロボ・ろぼたは、円筒形の胴から伸びたアームを駆使して、それらのゴミを片付けてくれる。と言ってもただ、砂浜から離れたゴミ置き場に運んで、既にある似たようなゴミの上に積み重ねていくだけだが。
 淡々とゴミを運ぶその仕事ぶりをぼんやり眺めていると、その腕の中に、ちかりと輝くものを見た気がした。
「ちょっとそれ見せて」
 ろぼたは素直に止まり、それを差し出してくれた。どうやら、透明な瓶らしい。
「オーケー、作業を続けて」
 瓶を受け取り、ぼくはその場を離れた。ろぼたが無言で仕事を再開するのを背中で感じた。
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