51話 ある使い魔のバレンタイン

 二十分後、私は静かに天使様のお部屋に舞い戻り、二枚のメッセージカードをこっそり、窓辺に置いた。きっと、目敏いお兄様なら見つけてくれるだろう。
 二人は見ているこちらが恥ずかしくなるほど、相変わらず仲睦まじい様子で微笑みあっている。私も好きな人と、そんなことをしてみたかったなあ、とちょっぴりだけ思うけれど、今は今で幸せだから、別にいい。そしてその幸せは、お兄様と天使様のお陰だから、その感謝の気持ちを、カードには込めた。
 二人とも、いつもありがとう。これからもよろしくお願いします。そしてどうか、そのままいつまでも幸せでいてください。
 読んだときの二人の表情を思い浮かべながら、私はそっと、姿を消した。
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