5話 十二月二十五日は外に出ない

 開けっ放しにしていた窓の外から、人間の子ども達が楽しげに歌うジングルベルが聴こえてきて目が覚めた。
 悪魔には無用の睡眠など、するものではない。お陰で、すっかり忘れていた昔のことを夢に見てしまった。濡れた頬を拭って寝台から身体を起こし、まだ覚醒しきっていない頭で、あの日のことを思い出す。
 なぜあいつのことが気にかかってならないのか、その理由を理解する。
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